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ポインセチアに秋を伝える

実用

秋になり、毎朝・毎夕二つの部屋を行ったり来たり
ポインセチアの鉢を運んでいる。
ポインセチアを赤く色づかせるためだ。

ポインセチアの一見花のように見える部分は
実は花を取り囲む苞(ホウ)という部分が紅葉したもので

花はとても小さく地味で奇妙な形をしている

これは12時間以上の暗闇が無いと紅葉しないらしい。

では、秋になって日が短くなると
放っておいても紅葉するのかというと
そうはならない。
人がいる部屋では。
それは
人がいる部屋では夜、灯りをつけるから。
とはいえ、外に置いても
街灯が一晩中あたりを照らしているので
夜暗くなる場所をわざわざ作らなくてはならない。

仕方なく夕方になると鉢を持って
夜は使わない部屋に運び
窓からの街灯の光は遮光カーテンでさえぎって
朝になったら元の明るい部屋に戻す。
これを短日処理といい、1ヶ月ほど続けなくてはならない。

ポインセチアもそのうち紅葉してくるだろう。

紅葉前のポインセチア


紅葉後のポインセチア

それにしても人間が一年中普通にやっている
毎日が夏至のような、昼間を18時間続けてしまう生活は
本当はものすごく不自然で不経済なのだと思う。
夜更かしするから明るくして
明るくできるから夜更かしするのだ。

短日処理をして鉢植えの花を秋だと勘違いさせる…
って、実はホントに秋なのだけど。
だけど人間の生活に季節が無いから
人間と一緒に季節を勘違いしている鉢植えに
季節感を人工的に作って勘違いの勘違い…
じゃなくて人工的な光をさえぎって、元々の環境に戻してやる
というややこしいことに!

自然のままに暮らすしかなかった時代は
日が暮れれば暗くなり
冬になれば寒くなり
雨が降ればぬれてしまう…
それらのたくさんの制約の中で
何とか折り合いをつけながら暮らしてきたわけで

それらの制約=不便を克服してきたのが人間の歴史だと。

それでまた、制約が克服されてくるということは
人間にとって快適なのと同時に刺激も無くなるということで
わざわざアウトドアをやって不便を楽しみたくなるのは
大昔の制約を克服してきた経験が
「うずうず」してくるからなのかも。

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