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3000年前の世界崩壊

読書

「B.C1177 古代グローバル文明の崩壊」
エリック・H・クライン 筑摩書房
を読んだ。
今から3000年ほど前のこと。
エジプトをはじめヒッタイトやミノアなど
東地中海を中心とする古代の文明国が突如として崩壊していた。
古くは“海の民”がやってきて国が滅んだと言われてきたが
近年の調査研究によれば原因はそんな単純なハナシではなく
当時の最先端の文明を誇っていた各国そのものが内包していた問題によるのだと。
当時は青銅器時代から鉄器時代へかけて
それぞれの国々はそれぞれに”特産品“を生産してはそれぞれに交易していたのだが
あまりに専門化が進みすぎると
一旦どこかの何かが滞った時に・それに頼りきりだった他の国が
まるドミノ倒しのように一斉に立ち行かなくなってしまうのだ。
そうなると
国は機能できなくなって
普段は問題なく対処できるような“侵入者”にもなすすべがなく
生活できなくなった人々は秩序を乱し、果ては内乱を起こしたりする。
そうして国は完全に機能を失って崩壊し
人々は散り散りになってしまうのだ。
つまりは
当時の最先端の文明を誇った国々の崩壊は
ある時突然に降ってわいた厄災によって起こったのではなく
100年ほどの時間をかけて準備され起こるべくして起こったのだという。
ジェンガが崩れてしまうように。
これは
この数年パンデミックで滞ってしまった生産や物流を思い起こさせる。
食料でもエネルギーでも機械部品でも低い自給率は国を脅かすと。
これって
都会生活にどっぷりつかったひ弱な文明人が
突然インフラを取り上げられたような感じだろか。

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