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催眠商法

催眠商法というのを聞いたことがおありだろうか。(六角精児の声で)
これはSF商法とも言われるもので
要するに、音楽やトークで会場内をアゲアゲにして
そこにいる人たちに「今ここで買わなきゃ損だ!」と思わせて
最終的に羽毛布団などの高額商品を「うっかり」買わせてしまうものだ。
まるで催眠術にかかったように買いたくなるから催眠商法なのである。

実は、昔々結婚したばかりの頃
町内の裏道を拡声器を乗せた軽トラがゆっくりと動いて行った。
「本日、10時より、○○寺におきまして…トイレットペーパー50円など…」
この「トイレットペーパー50円」に惹かれて、近所のお寺にノコノコ出向いたワケだ。
50円玉を握りしめてな。
だって、結婚したばかりで、とにかく節約しなくちゃ!だったし。
お寺の庭に面した本堂が売り場のようで庭にはパイプ椅子が何十脚か。
本堂には色々な商品が所狭しと並べられていて
一番奥には分厚い布団が積み上がっていた。
さてそこで
その場に集まったのが自分と知らないおばあさん3人で
要するに全部で4人w
業者がちょっと困った様子で
「ここらにはあんまり人がいないの?」と。
「若いモンはみーんな、パートに出ておる」と、おばあさん。
業者二人、困りながらも商売を始めた。
景気のいい音楽がラジカセ(昭和!)から大音量で流れ
お寺の本堂のパイプ椅子に腰かけた二人が
庭のパイプ椅子の観客に向かって営業用のニッカニカ顔でトーク開始!
「はい、みなさん、この便利な調理器がたったの200円ですよ!
買いたい人は手を挙げてくださーい!」
「こんなモン、使わんわな」とおばあさんたち。
(だって50円しか持ってこなかったし)と自分。
(それにこれ、ピーマンはみじん切りにできてもタマネギは無理じゃろ?)
全く盛り上がらない会場。。。
結局、人がたくさんいないと商売にならないからと
途中までで販売会は終了してしまった。
で、自分は50円玉を出して「トイレットペーパーください」。
4個入りトイレットペーパーをぶら下げて帰宅したのである。
翌日も軽トラが客集めをして回っていたが
自分は行かなかったのでどうなったのかはわからない。
欲しいものが無かったというより
業者の「うさんくささ」が決め手というか。
その後新聞などで催眠商法の事を知り
ああ、アレはコレであったか、と一つおりこうになったのであった。
とはいえ
もし、あの時たくさんの人が会場にあふれていたら?
自分は調子に乗ってしまったかもしれないよ?
お金が足りないから、家に取りに行きますとかやってはいなかったか?
連絡先書いて下さいねー、と言われたら
ほいほい書いていたのではないか?
その後も今に至るまで何十年にわたっていろいろな勧誘を受けてきた。
今になって思う所がいろいろと出てくるのでござる。


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