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日本語で言わない理由

言語
コミュニケーション

昔々、喫茶店でアルバイトしていた時
お客さんから聞いた注文をカウンターの中のママに伝えるときには
例えば温かいコーヒーが「ひとつ」だったら
「ホットワン」で
「ふたつ」だったら
「ホットツー」と言うことになっていた。
とにかく数を言う時には「ワン、ツー、スリー」である。
で、ナンで?
それは、その方が聞き取りやすいから。
お店の中はBGMや話し声や換気扇の音などで結構ざわついていて
「ひとつ」「ふたつ」と注文すると
「ひとつ」も「ふたつ」も聞こえるのは「〇〇つ」だけで
「え?いくつですか?」ということになってしまう。
「ひ」も「ふ」も音の輪郭がはっきりしていないから。
それでカウンターの中に伝えるときには
「ひとつ」の時には「ワン」と言い
さらに指を1本立てて、間違いの無いようにするのだ。
似たようなやり方は思わぬところにあって
例えば無線通信では「A」はALFAだし「あ」はあかさかの「あ」と伝える。
無線でも電話でも音声による伝達で聞き間違いを少なくするためである。

以前、国文学の教授が
喫茶店でひとつふたつと言えばいいものを
どうしてわざわざ英語でワンだのツーだの言うのか
と、嘆いておられたが
先生、それにはこういうワケがあったのでございます。

講義中、挙手する勇気がなくて
ただただ、口をもぐもぐさせていた
学生時代の自分であった。

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