渡瀬さなぎ

短歌をはじめました。シャニP。

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  • 短歌まとめ

    詠んだ短歌をまとめています。

  • バンクーバーへの旅

    バンクーバー旅行での所感をまとめています。

最近の記事

短歌 2024年4月

4月1日 近道をするためとおる獣道 草木がはばむぐあいが春だ 4月2日 くずれゆくショートケーキに哀悼を 満ち足りていた時代のあとで 4月3日 つきだしのゆでアスパラの穂先にはとりとめもない会話のあとさき 4月4日 おやすみ 4月5日 勇気ある君は光に飛び込んで世界は変わる原理から変わる   郁田はるきさんに寄せて(はるきさんのお誕生日お祝いの短歌) 4月6日 釉薬をかけたみたいな烏たち生命はふと冷たさ見せる 4月7日 ほねつぎの意味も知らずに生きてきた二八年 今

    • バンクーバーへの旅(3)

      ユートピア ふだん昼夜逆転の生活を送っているからか、時差の影響で、バンクーバーでは夜に自然に眠ることができた。いつもの不眠も嘘のようだった。何も考え込むことなく、眠りにつくことができた。夢も見ずに。  アラームなしで健康的な時間に起きる。ホテルの窓から、朝日がダウンタウンを照らすのを眺める。ひとびとが少し早歩きでTim Hortonsというチェーンのカフェに入っていくのが見える。朝食をすませてから、会社や学校に向かうのだろう。  夜に寝て朝に起きられること、これだけで海外

      • バンクーバーへの旅(2)

        Salmon Aburi Sushi Roll ホテルにチェックインし、荷ほどきと着替えをすませる。ホテルのエレベーターはやたらと速く、慣性で身体が浮き上がりそうになる。  仕事を終えた兄の妻とも合流し、ホテルの近くのバーレストランで食事をすることになった。  バンクーバーの――というよりも、欧米諸国の、なのかもしれないが――一定レベル以上の店では、自分からホールスタッフに話しかけて注文することはない。席に通されたらスタッフが注文を取りに来るの待つ。スタッフがやってきたら

        • バンクーバーへの旅(1)

          桜 電車の窓に景色が流れていく。誰かがSakuraと声をあげる。桜並木が遠目に見える。桜、というには、あまりにビビッドなピンク色だった。日本であれば、何とか桜といったように、何らかの形容詞を必要とするだろう花々。それがただSakura、という名で呼ばれている。ここが日本ではないことを実感させられる。  桜並木のはるか向こうには、雪を被った険しい山々が連なっている。石を叩いて割ったかのように鋭利で、指でなぞると皮膚を傷つけてしまいそうだった。  山脈はどこまでも続き、その終わり

        短歌 2024年4月

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        • 短歌まとめ
          3本
        • バンクーバーへの旅
          3本

        記事

          短歌 2024年3月

          3月1日 青空がステンドグラスにぶつかって楽譜となって花嫁を待つ 3月2日 懸命に息をしながら話すのは無理だと知った 夜光虫の波 あのひとのピアノがいいなとおもったらケーキを買ってなめらかな供犠 3月3日 一筋の光も届かぬ海底も独りで泳ぐ鯛焼きであれ 一言:毎日毎日ぼくらは鉄板の云々。 3月4日 星辰はめぐりつづける 結ばれた手の感触が祈りとなって (風野灯織さんに寄せて) 一言:灯織ちゃんおめでとうございました。スローモーションのMVのイメージであり、FR@GMENT

          短歌 2024年3月

          短歌 2024年2月

          2024年2月15日から29日にポストした短歌をまとめます。 2024年2月15日 特典のクリアファイルの置き場すらみいだせぬほど満ち満ちて、春。 2月16日 つめた〜い/あったか〜いが光るから許された気がした夜は雨 一言:寒そう。 2月17日 よく味が染みたお茄子の色だった 今日から明日へ変わりゆく夜は 一言:お茄子のへたのほうのグラデーション。 2月18日 靴ひもをむすぶのを待つ十五秒 つむじの向きをはじめて知った 愛ゆえに磨く物販説明文「普段使いもできる」への信

          短歌 2024年2月