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トニー・ハドリー

と聞いて、すぐにわかる人は80年代洋楽ファンのはず。Tony HadleyはSpandau Balletのフロントマンを務めていた、あのトニー・ハドリーのこと。スパンダー・バレエと聞いてぴんと来なくても、"True"や”Gold”を耳にしたら、「あ、あの曲!」となるのでは。


彼のコンサートに昨日出かけてきた。東京ミッドタウンにあるビルボード・ライブ東京。ここは数年前に八神純子さんのライブで行ったことがある。

今回チケットを取ったのもひょんなきっかけだった。私は80年代のイギリス洋楽が大好きで、自宅でHeart 80sというネットラジオを聴いている。数か月前のこと、"Gold"が流れてきたのだ。本当に懐かしかった。まだこれをリアルタイムで聴いていた自分の若かりし頃の記憶がよみがえってきた。

ネットで調べたところ、スパンダー・バレエはつい数年前にもライブをやっていたらしい。さらに、もう一つ私にとっての偶然がやってきた。たまたま通勤途上に地下鉄駅で「ビルボード」の広報誌を手にしたのだ。するとトニー来日公演の情報があった。迷わずチケット購入。そしてこの日めがけてひたすら動画サイトで「予習」した。

とても良いライブだった。時間としては1時間と少しだが、実に中身が濃かった。何よりも感激したのが、トニーの声量と音域が昔のままであったこと。ちなみに八神純子さんもRick Astleyも過去と変わらぬ音階で歌う。あの頃から数十年経っているのに、ものすごいことだと思う。

もう一つ気づいたことがある。それは、ビルボード東京で共に昨日のライブを味わった観客の多くが、おそらくは昔、リアルタイムでスパンダー・バレエに聞き入っていたであろうことだ。若い聴衆もいたけれど、年齢層は高め。つまり、あのバブル期を享受し、不景気へと突入していった日本社会の中で、それでも頑張って今日まで無事に生きてきたということなのだ。それだけでも、やはりすごいことと思ってしまう。

動画サイトのライブももちろん楽しい。でも、同じ空間で同じ空気の中で生で人の歌声を聞く。これは、聞き手に計り知れないパワーが与えられる。トニーの歌声とトーク、バンドの奏でる音楽に、とてもとても励まされた夕べだった。

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