喘息と慢性鼻副鼻腔炎
日内会誌の記事を噛み砕くマガジン、第2回。いつまで続くか…。
内科学会員のみんな、毎月じっくり読む時間ないでしょ?
サンが気になったキーワードだけ拾って紹介するので、
詳しく知りたくなったら雑誌をひらけば良いと思うよ。
鼻副鼻腔炎の分類
急性(発症〜治癒まで1ヶ月以内)
vs
慢性(発症〜治癒まで3ヶ月以上)
急性は、ウイルス感染によるものが多く、自然に治ることが多い。
慢性は、以下のフェノタイプ分類が欧米で一般的。
鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎(Chronic rhinosinusitis with nasal polyps:CRSwNP)
鼻茸を伴わない慢性鼻副鼻腔炎(Chronic rhinosinusitis without nasal polyps:CRSsNP)
でも、この分類は日本ではあまり使われてないって。ごめん。
喘息における慢性鼻副鼻腔炎の合併率は5〜10%だそうです。
一般内科医としては、喘息なかなか良くならんなという時に
副鼻腔炎らしさがないか探してね。
身体診察では、
副鼻腔の圧痛、打診による疼痛
鼻腔内の視診
嗅覚検査
ペンライトで副鼻腔から口腔内への透光性を確認
などがあるって書いてあるけど、
ペンライトで副鼻腔から口腔内への透光性を確認ってどういうこと??
調べてみたけどhitしなかった。
やってる人いる…? ペンライトさえあればできるんか…?
好酸球性鼻副鼻腔炎と非好酸球性鼻副鼻腔炎
好酸球性鼻副鼻腔炎が増えてきている。
なる、予後予測に基づいた重症度分類が頻用されているとのこと。
両側か?
鼻茸あるか?
CTで篩骨洞優位か?
血中好酸球(%)の多さ
でスコアリングし、値がおおきければ(>11)、好酸球性副鼻腔炎でしょうねとなる。
ここくらいまでは、血液検査とCTの設備あれば、内科医でも検討つきそうか。
確定診断には、鼻茸組織中の好酸球数が必要らしいので耳鼻科相談になるが。
中等症以上が難病指定の対象となる。
ここの鑑別は重要。
治療方針が変わってくるから。
慢性 非好酸球性 鼻副鼻腔炎では、
マクロライド少量長期投与とカルボシステインが中心だが、
慢性 好酸球性 鼻副鼻腔炎では、
鼻噴霧用ステロイド
経口ステロイド
ESS(内視鏡下副鼻腔手術)
を組み合わせる。
最近のホットトピックとしては、
CRSwNP(鼻茸ある慢性鼻副鼻腔炎)に対する生物学的製剤が保険適用になっていることが挙げられる。
これは知っておいた方がいい。
デュピルマブ(デュピクセント)
2020年にCRSwNPに対して保険適用になった。
メポリズマブ(ヌーカラ)
2024年8月にCRSwNPに対して保険適用になった。
アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎 AFRS
アレルギー性気管支肺真菌症の副鼻腔ver.的なやつ。
アトピー素因を持つ比較的若年(20〜30代)の患者に多い
末梢血の好酸球数は多くないことも多い
総IgEが500〜1000くらいに増加
鼻内所見で、ピーナッツバター様の粘稠な粘液が認められる
話は変わるが、サンが、ピーナツバターを手作りしたくて買ったすり鉢があるので紹介する。
このまま食卓に並べても違和感のないサイズ・デザインのすり鉢。
おすすめ。
これがあれば、いりごまだけ買っておけばいいからな!
昔は、いりごま・すりごま・ねりごま全部買い揃えては、使いきれずに捨てていた。なんだったら、白胡麻と黒胡麻、両方買ってた時代があった…。
時々、ごまをするのに使っている。
買って数年経つが、もちろん面倒臭がりのサンなので、まだピーナツバターは作ってない。
話戻して…
CTでは、副鼻腔の高吸収域が特徴的。
これは、ABPMの肺CTでも同じだった。
診断には、
皮膚テストもしくは血清特異的IgE検査
病理学的に粘膜浸潤を伴わない真菌を認めることが必要
ここまで疑ってたら、耳鼻科にパスですな。
N-ERD
昔、アスピリン喘息と呼ばれていた疾患。
2019年以降、
nonsteroidal anti-inflamatory drugs excerbated respiratory disease
という呼び方に統一しましょうと提唱されているらしい。
NSAIDs全般に含まれるCOX-1阻害薬に対する、非アレルギー性の過敏症が病態だそうで。
非びらん性胃食道逆流症もNERD(non-erosive reflux disease)だから、区別するためにハイフンが入ってるんですね。
N-ERDは成人喘息の5〜10%
多くは30〜40代で発症
男女比 1:2
国内に20万人以上いると推定
N-ERDの半数以上が重症喘息
問診で引っ掛けるには、
ミントや練り歯磨き、香辛料で悪化しませんか?
NSAIDsで悪化しませんか?
嗅覚障害ありませんか?
などと聞こう。
NSAIDsで増悪する時って、
普通の喘息発作だけじゃなく
NSAID内服1時間以内に
強い鼻閉、鼻汁
顔面紅潮
眼球結膜充血
消化器症状(腹痛、嘔気、下痢)
胸痛
掻痒
蕁麻疹
も認める場合がある!(数時間持続)
なんでもあり〜!
卒後3年目か4年目に地方で研修してた時、1例診断したことあったが。
消化器症状とかもあるん、知らんかったなぁ。
こういった患者さんには、
アセトアミノフェン 300mg/回以下や、セレコキシブを鎮痛薬や解熱剤として処方しよう。
EGPAをお忘れなく
喘息や副鼻腔炎が先行し、その後、好酸球数増多→血管炎を発症するのが典型的な臨床経過である。
好酸球性副鼻腔炎だなぁ、、、で終わらず、
末梢神経障害など血管炎の所見がないかや、MPO-ANCAのチェックを忘れずに。
花嫁にもなれず、総合内科専門医にもなりきれぬ哀れで醜い可愛いサンをサポートしたいという気の触れたこだまたちはおらぬか!