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詩誌「三」74号 あとがき 水谷水奏

 一年ほど前から、夜明けに勝手に目が覚めるようになりました。四時半とか、下手すると三時半とか。(もともとはかなりギリギリまで寝ているタイプでした)

 不眠でつらいという感覚はなく、調べると、鬱か、加齢か、と出てきてそれなら加齢の方が思い当たるなあとぼんやり感じています。

 「でも、仮面うつとかあるんじゃないの?自覚のないうちに疲れてるんじゃ?」などと、優しい友人が声をかけてくれたりしましたが、自分ではよく分からずです。
 
 目が覚めた時に毎朝まず目に入ってくるのは、カーテンのプリーツの波打ちからのぞく三角の光。

 夜勤がある家族がいるので、昼間でも暗くなるよう遮光カーテンにしているのですが、私はカーテンの真下に寝ているので、隙間から光が漏れるのです。

 朝ギリギリまで寝ていた時には、この三角の存在に私はあまり気がついていませんでした。

 気づいたからといって、何かが変わるわけでもなく、早い時間に目覚めるからといって、有意義な朝活をするでもなく、私の夜明けはただふわふわ過ぎていきます。

 ただ今の私が「朝」と聞いたら頭の中にはこのカーテンの三角がどうしてもイメージの中に出てきてしまいます。

 私はもう、三角とは別々に生きられない……
 
だから何だっていう話ですが、きっと誰にでもこういう、別に運命的でも悲劇でも喜劇でもない、ただの、日常の、しかしその人だけの景色があるんだなと思います。そういうことを詩に残していきたいです。

水谷水奏
 

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