その《血染めの月》マジで必要?
先月、Twitterで果敢デッキについてツイートをしていたところ、リプライやダイレクトメッセージで質問が複数あった。
興味深いことに、どれもサイドチェンジまたはサイドボードに採用しているカードについての質問という共通点があり、折角なので纏めることとした。
掲題に偽りありというほどではないが、《血染めの月》について話す前に前置きがあるため心してほしい。
有料部分では僕がオンラインで使用しているモダンとパイオニアのデッキリスト2種について紹介している。正直ちょっと長いとおもう。
また、今回言いたいことはほとんど無料部分で出し切っているつもりだ。
有料部分では「自分、赤が大好きっす。ブン回り良いすか」ってぐらい赤いデッキに飢えている人、気が触れてしまい僕のお菓子代になりたい現人神以外は見なくて大丈夫。強がってません。
そして今回初めて僕のnoteを開いてくれた人へ。下記リンクを紹介するので、名刺変わりとして僕の過去作なども是非楽しんで貰えれば幸いだ。
さてそれでは本題へと移ろう
【果敢とバーンの違い】
この2つはアグロらしく1ターンでも早く相手のライフを削るというコンセプトこそ共通しているものの、その手段が実は別物である。
・バーン:《ゴブリンの先達》に代表される速攻クリーチャーの攻撃と、マナ効率のいい火力呪文を対戦相手へ連打する。
1~2ターン目に出したクリーチャーが除去された後は火力のみでゲームが終わることも多い。
・果敢:ドロー付きの呪文や《溶岩の投げ矢》を使用し、手札の枚数をあまり減らさずに果敢能力を誘発させ攻撃する。
あくまでも勝つにはクリーチャーでの攻撃が必須で、クリーチャーを1枚もプレイせずに火力だけで倒しきることは滅多にない。また、そんな手札を7枚ではキープしない。
バーンは安定4キルだが果敢はクリーチャーの打点が膨れ上がっていくシステムを採用しているため構成次第で3~4キルと少し早い反面、除去に弱い。
【果敢とバーンの優劣】
この2つに優劣はない。これは環境に適応した結果である。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《金のガチョウ》《夢の巣のルールス》《塵へのしがみつき》等の継続したライフゲイン要素や消耗戦に強いカードが続々と登場した影響で、赤いアグロは刹那的なバーンから若干の継戦能力を有する果敢戦略へ舵を切った。
注)メタゲームは常に変化している。
9月6日現在の赤は赤白バーンに《夢の巣のルールス》または赤黒果敢に《夢の巣のルールス》と《塵へのしがみつき》を投入し、その他の赤アグロに徹底的な消耗戦を挑んでおり、それは有効に機能しているようだ。
【バーンは損をしてなぜ勝てる?】
自分のカードと相手のライフを交換しつづけるバーン戦略が根本的に「なぜ成立するのか」を、考えたことはあるだろうか。
一般的にはカードアドバンテージを得ることで有効なカード枚数が増え、その数の差分で対戦相手よりもゲームを有利に進められるはずだ。
それをかなぐり捨てることは、ともすれば異常行動とも言える。
ではなぜ積極的にリソースを減らすのだろう?
初心者の時分、君はあれだけ枚数差で擦り潰されたというのに。
突き詰めればもっと多く意見がでるとは思うが、バーン戦略が肯定されるのは下記の2点が成り立っているからと僕は考えている。君はどう思う?
【《血染めの月》】
バーンや果敢デッキにおいて「赤いデッキなら月、つかうよね」と安易に《血染めの月》を採用するとしばしば矛盾が生じてしまう。
ライフをゼロにする自己の戦略と噛み合いを考え、特別な制約や理由が無い限りはダメージを優先した方が良い。
とはいえ、1度でもこの手のカードが刺さると、癖になり止められないのも事実。
では一度デッキの構造を分解しつつ逆算して考えてみることとする。
君が使うのは赤青果敢ビートダウンで、相手はみんな大好き緑単トロンだ。
と、ここまでは誰でもすぐ理解できる。
では前述の勝利の条件達成に《血染めの月》は貢献するだろうか?
《舞台照らし》から早いターンに捲れてしまったら?でも遅いターンでは間に合わない。
捲れたもう1枚が重いカードだったら?月を優先してプレイするなら、片方は無駄になる。
マリガンしてでも探しに行きたい?
きっと君は1マナクリーチャーの方がキープしたいと思うはずだ。
おや?事前の話では《血染めの月》で勝てるはずなのに、なぜ1マナクリーチャーのほうが欲しいのだろうか。
もうお分かりだろう。
つまり月を出すターンに相手のライフが0になっていれば、そもそも不要なカードであり、自分の動きが出来たうえでしか《血染めの月》は機能しない。
赤いアグロデッキでは《血染めの月》で「相手のエンジンをとめて」土地コンボ対策をするのではなく「相手が動きだす前に勝つ」のが正解であり、追加の火力呪文や《窯の悪鬼》のように対処されなければ一瞬で勝つカードをサイドボードに積むのをおすすめする。
しかしこれは「赤いアグロデッキが土地コンボに対して《血染めの月》を使うのはよろしくないですよ」という話である。
《死者の原野》コントロールにはゲームを加速させても除去呪文で簡単にいなされるため、《血染めの月》を複数枚採用するのは肯定される。
特に序盤から《流刑への道》を使用する青いデッキに対してはこちらは3マナまで簡単に伸びるため、3マナという重さも気にならない。
そんなコントロールが主流の時に果敢を使うなよと思った君は大正解だが、それはそれ。
人間の性なのか、それともまた別の何かかがそうさせるのか、デッキを問わずとにかく《血染めの月》《安らかなる眠り》《石のような静寂》《霊気の疾風》《夏の帳》など「対処する」カードを採用する人は非常に多い。
"とりあえず。で、積んでませんか?"
「〇〇をされたから負けた」や「〇〇さえ封じれば勝てる」と言った思考に囚われてしまっているパターンだ。
自分が「脅威に対処しつづける」戦略であればそれで構わないのだが、赤いアグロデッキの場合はこの思考を一旦忘れよう。
例えば《前兆の壁》や《台所の嫌がらせ屋》を擁した青白コントロールが流行っているとする。
そうすると「対処する」思考方法だと「壁を除去でどけよう」「ライフを得れないようにしよう」と考えがちだ。
しかしこのような場合、赤いアグロでとるべき解決策は例えば
「飛行かプロテクションで乗り越える」
「《若き紅蓮術師》で手札を減らさず面展開する」
「1撃の打点を大幅にあげる」
このようになるべきだ。
要するにに思考の方向性の話で、ここが普段は除去系のデッキを好んで使っている人が躓きやすいポイントだと思う。
【運だけでもいいじゃない】
赤いアグロは初手の7枚に大きく依存し、先手後手でブレ幅が大きい場合も少なくない。
こう書くとなぜか皆一様に「不運」「下ブレ」の話をするのだが、今回話したいのは「幸運」「上ブレ」の話、つまり超ブン回りだ。
これこそがアグロデッキ最大の武器。
そのため果敢デッキでは《溶岩の投げ矢》《突破》《魔力変》を全抜きしないように。
果敢は大別するとアグロだが、冒頭で説明した通り、手札をできるだけ減らさずに果敢を誘発させ続戦能力を維持して攻撃しする必要がある。
最後は火力でとどめとするが、デッキ全体がそれぞれを支え合っているコンボデッキの側面も備えているということだ。
先の3種はその戦略を維持するために必要不可欠なパーツで、抜いてしまうとデッキの動きが途端に悪くなる。
コントロールデッキ相手にトランプルをつけたり、1点火力を残す事はためらいたくなるものだが、抜いてしまうとそれこそ《僧院の速槍》《損魂魔導士》を強化するため、3点以上の火力呪文を自分から打ち込まなくてはならない。
そこに除去を合わされたらどうなるか、その後の展開は想像に難くないだろう。
《突破》《魔力変》は手札を減らさず攻めるために必要で、《機を見た援軍》のトークン、《オーリオックのチャンピオン》《コーの火歩き》を乗り越えるのに役立つし、1ドロー効果で《霊気の疾風》から素早く立ち直ることもできる。
またロンドンマリガンの恩恵で1マリガンなら積極的に行う都合上、ドロー付きの呪文は、一見不要なコントロール相手にも、少ないリソースから勝つチャンスを作るカードとして作用する。
そしてデッキの動きが最良なら不利も覆せ、マナスクリューの相手を一気に追い詰めることも可能となる。
大きくサイドチェンジせず、ゲーム全体を想像して最低限の入れ替えにとどめよう。
「ブンブン過ぎで普通の回りなら対処できたんですが・・・」君も言ったこと、言われたことが一度や二度ではないはずだろう。
ブン回りはただの運といえばそれまでだが、より確かなサイドチェンジで当たりくじを引き寄せたと考えてもいいんじゃないだろうか。
【陳腐化した戦法】
赤アグロがコントロールへのサイドプランとしてプレインズウォーカー、除去に多少強いクリーチャー、エンチャント、アーティファクト、を用いて持久戦に食らいつこうとするのは使い古された手法だが、近年までは比較的有効であった。
カードの例を挙げると《燃え上がる憤怒の祭殿》《熱烈の神ハゾレト》《反逆の先導者、チャンドラ》《騒乱の歓楽者》などのことだ。
だが、灯争対戦以後、世界は一変した。
《時を解す者、テフェリー》でバウンスされ《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のタフガイボディは神の攻撃を容易く受け止めてしまう。
《流刑への道》が効かず大きな顔をしていた《反逆の先導者、チャンドラ》も、今では雑に積まれた《霊気の疾風》でいなされ、チクチク継戦することができない。
モダンの青コントロールは最早コンボデッキだ。
今や伝統的な《瞬唱の魔導士》《マナ漏出》《流刑への道》でリソースを枯らし《天界の列柱》で攻撃していた奴らはもういない。
コントロールデッキのテンポの悪さを《成長のらせん》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が埋め、マナ加速や土地そのものがフィニッシャーとライフ回復を兼ねている関係でスロットが節約できた結果、より多くの対応カードをコントロール側が搭載するようになった。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《サメ台風》《荒野の再生》《死者の原野》、そしてそういったデッキが《差し戻し》を採用していることからも察する通り、少しのターンさえ稼げば負けることはない場を構築してしまうのだ。
また、青以外の除去デッキも充分すぎるほど強化されている。
ジャンドと赤緑ミッドレンジには《運命の神、クローティス》《暗殺者の戦利品》《長老ガーガロス》《歴戦の紅蓮術士》《死の飢えのタイタン、クロクサ》が新戦力として加入しており、《燃え上がる憤怒の祭殿》を積み上げている場合ではない。
つーか追加されすぎだろ、キレそう。
赤いデッキを使う際、くれぐれも長期戦に持ち込めばイケるなんて思わないように。それが通用するのはミラーマッチだけとなった。
【デッキ紹介】
7月4日から8月6日までの間、計6リーグ(30マッチ)をこのデッキでプレイした。
当然、開始時と最終リーグでは構成は変わっているが、そこはご愛敬。
赤単で《窯の悪鬼》を採用しているタイプとして見てほしい。
いまでこそ、赤青、赤白(ルールス)、赤黒(ルールス)とバリエーション豊富だがプレイしはじめた当初は全然居なかったので、特に色を追加することなくこのまま弄っていた。
赤単は不純物が少なく全力で《窯の悪鬼》&《魔力変》《突破》《変異原性の成長》をぶちこむため、コンボと赤緑ミッドレンジに対して最も強いが、赤アグロと除去ベースの《ジャンド》 《死の影》《死者の原野》コントロールに対して厳しい。
と、ここまでは体感した相性の話で本題はここから。
見慣れないカードと本来入っているはずのカードが見当たらないだろう?
《騒乱の歓楽者》の不採用
歓楽者を否定するポイントは4つ
・《信仰無き物あさり》が禁止されている現状ではプレイできるターンが遅すぎる。
・多くのフェアデッキが《運命の神、クローティス》《塵へのしがみつき》《漁る軟泥》などメインボードから墓地に干渉する手段を持っている。
・3枚引いたところで入っているカードのパワーが低いため《死者の原野》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に抗えない。
また、先ほども説明した通りこのデッキは《窯の悪鬼》の最大バリューを引き出す構成であり、リソースのやり取りで勝つことを前提としていないため不採用。
《ドラゴンの爪》不採用
多くの果敢デッキには《ドラゴンの爪》はミラーマッチ、バーン対策として2~4枚採用されている。
が、しかしもう一度デッキリストをよく見返してほしい。
この構成で持久戦いけそうって思う・・・?
果敢系ミラーでお互いが除去をプレイしあっても、結局相手だけ《騒乱の歓楽者》 《夢の巣のルールス》《コーの火歩き》って入っているのなら、負けるのは想像に難くない。
あくまでもこっちがオフェンス、相手がディフェンスを徹底しているので赤系と戦う際は《変異原性の成長》でテンポを取って押し込むのが理想。
《批判家刺殺》の採用
見ての通り、ただの火力呪文だがこれは主に苦手とするジャンド、死の影などハンデスと《タルモゴイフ》の入ったデッキへの対策カードだ。
当然僕も《発火の力線》をはじめ前述の《燃え上がる憤怒の祭殿》《熱烈の神ハゾレト》《反逆の先導者、チャンドラ》《騒乱の歓楽者》も試したがことごとくだめだったため、本当に不利なのかどうか、ここでも一度分解して考えることにした。
と、印象通り不利な要素が多い。
じゃあ何が残っているかと考え「ライフはどうだ?」となる。
果敢側は土地からのダメージを受けず、ジャンドは逆に土地からライフはガンガン減るし、こっちは引いた火力はすべて本体に撃つため「ライフなら勝負になるな」と思ったわけだ。
さすがにそりゃそうだろうと誰でもわかるかもしれないが、まだ続きがある。
ライフを削るには果敢側はクリーチャーの攻撃を通すしかないのだが《致命的な一押し》《稲妻》《タルモゴイフ》をはじめありとあらゆる手段でこちらの攻撃を防いでくるため、攻撃ではライフを削れない。
本稿の冒頭部分でも説明しているがクリーチャーの攻撃で勝つデッキが、攻撃は通らないってじゃあどうすんだ。
と、なった時に当然火力しかないのだが、どこのスロットと入れ替えるか、下記のような考えに至った。
さて、入れ替えるスロットは決まった。肝心の火力呪文をどうするかを整理していく。
と、まあなんともワガママな男だが赤単色、1マナで撃てる、舞台照らしとの相性が悪くない《批判家刺殺》に落ち着いた。
さすがに結構考えただけあり、過去に試したどのサイドカードよりも効果的だった。今のジャンドは回復手段も多く有利はつかないのだが、それでも「トップから火力」というどんな巧者相手にも強制的に五分五分のフィールドへ降ろす手段を得たのは大きい。
とても気に入っている。
《乱撃斬》の採用と《噴出の稲妻》の不採用
そもそも《噴出の稲妻》は《孤光のフェニックス》が現役で《遁走する蒸気族》まで採用されていた時期、蒸気族が生み出すマナからキッカー込みでプレイしやすいことが採用の理由であり、今回紹介している赤単果敢ではロングゲームになりづらくワンチャンあるショック程度のものだ。
一方《乱撃斬》はショック+インクの染みに見えるだろうがこの染みが肝心でブロックしてきた《コーの火歩き》《ブレンタンの炉の世話人》《オーリオックのチャンピオン》《波使い》などのプロテクションの軽減を無効にし、戦闘ダメージで打ち取ることが出来る。
さて、君はどちらを取る?
《ティムールの激闘》の採用
赤いアグロデッキを少しでも使ったことがあれば体感としてわかってもらえるはずだが、赤いアグロはクリーチャーに防御されることが一番苦手だ。
だからこそ《焼尽の猛火》や《灼熱の血》など、除去兼本体火力が重宝されてきたのだが、果敢では《焼尽の猛火》はフェッチランドが不採用で使いづらく、《灼熱の血》は昨今のパワフルなクリーチャーを除去できない。
ネガティブな要素はまだある。
赤いデッキが流行していることもあって《コーの火歩き》《オーリオックのチャンピオン》などの極端なヘイトカードも広く使われるようになってしまった。
ここで思い出してほしいのが、「対処する」思考方法に陥らない。ということだ。
「対処する」思考ではこういうヘイトカードに対し《コジレックの帰還》《流刑への道》《漸増爆弾》で対処しがちだが僕は《窯の悪鬼》と《ティムールの激闘》でライフゲインとプロテクションの壁を圧倒的なバーストダメージで乗り越えることを選んだ。
当初はヘイトカード対策、クリーチャーの壁対策として採用した《ティムールの激闘》だが、白緑オーラ、アドグレイス、トロン、ストーム、ドレッジ、白緑無限ドルイドなどの除去が薄めのデッキ、または赤に有利なコンボデッキに対してもチャンスメイクできる素晴らしい役割を持つこととなった。
例としてウルザトロンとの対戦ではこのような活躍を見せたのでご覧いただこう。
こちらの後手3ターン目《神聖の力線》で腐った火力呪文も《魔力変》《ティムールの激闘》自分へ《溶岩の撃ち込み》で20点ぴったりの勝利。
不利マッチ、無理な対策を乗り越えるだけの力があるので、僕が今最もお勧めするカードだ。ぜひお試しあれ。
【サイドチェンジの思想】
普段は「この相手にはこれを抜いて、こういうカードが入ってくると予想されますよ」と記載しているが、今回筆を執る経緯となったフォロワーたちの質問内容からみるに、根本的な考え方から沁みこんでもらった方が良いと感じた。
原則はこうだ。
続いてアーキタイプ事の少し踏み込んだ入れ替えに移る。
・コンボ相手にはまず《舞台照らし》次に《乱撃斬》を抜いて《ティムールの激闘》《変異原性の成長》を入れる。
コンボには《舞台照らし》を抜いてね。という話だが、コンボデッキもそれぞれ性質が違うので、抜く枚数が問題だ。
簡単な判別方法としてこちらを妨害しつつ決めてくるコンボなら2枚、全力で自分のことだけ考えてくるコンボなら4枚サイドアウトする。
前者は《風景の変容》、ウルザ、ストームなどのインスタント単体除去が増量されるタイプのデッキ、後者はアミュレットタイタンやウルザトロン、白緑無限ドルイドなどの完全スピード勝負だ。
この例外はドレッジで、《舞台照らし》は4枚残す。
ドレッジは《稲妻の斧》《燃焼》で妨害してくるので、先に《乱撃斬》や《溶岩の撃ち込み》からサイドアウトする。これはこちらが即死しなければグダグダになりやすく《舞台照らし》を残した方がチャンスが出るからだ。
・5色人間にも《舞台照らし》から抜く
こいつ《舞台照らし》めっちゃ抜くやんって思うよね。わかる。
5色人間との決着はどうやって着くのだろうか。
そう、場を支配して攻撃し続けた方が勝つ。
そのために果敢側は除去をプレイしながらクリーチャーで攻撃するわけだけども、その攻撃は《オーリオックのチャンピオン》に止められたり、削ったライフが戻ってしまい、次第に相手の場が整い、クリーチャーサイズで押し負ける。
またはクリーチャーを除去するだけで相手のライフが減らず、ただの引き勝負になり、相手の方が有効となるカードが多く負けるし、そもそも論として5色人間のすべてのクリーチャーを除去し尽くして勝つのは不可能だ。
ただでさえ火力の圏外となりがちなサイズをしているところ、昨今は《不確定な船乗り》と《ドラニスのクードロ将軍》まで入っており、長期戦はとてもじゃないが耐えられない。
さっさと《ティムールの激闘》や《変異原性の成長》で吹き飛ばしてくれ。
一方、デッキ内の火力で相手の全クリーチャーを除去できるような《硬化した鱗》《エルフ》などの対戦では《舞台照らし》は燃料補給係の役割があるため抜かず《溶岩の撃ち込み》から抜く。
《溶岩の撃ち込み》はキルターン短縮のカードで盤面の掃除とは無関係だ。
要するに《舞台照らし》はリソースの交換を長く継続することに意味がある対戦でのみ残し、そうでないならさっさと勝とうということ。
・《削剥》は《粉砕》と思え
《削剥》は除去にもなるしアーティファクトも割れる!と思った君、プレイヤーに飛ばない3点火力をモダンで使うのはどうかとおもうぞ。
《削剥》は《虚空の杯》《石鍛冶の神秘家》《ドラゴンの爪》《罠の橋》《電結の荒廃者》を採用している相手にしかサイドインしない半専用カードと考えるのが良い。
まとめ
マジックオンライン上では土地コンボと赤緑ミッドレンジが隆盛してきており、使用感としては悪くはないのだが、赤系ミラーマッチや除去デッキに弱いので店舗大会にて使用する際は注意してほしい。
110日ぶりのパイオニア~赤単結構やれるやん編~
8月31日、僕は掲題の通り110日ぶりにパイオニアのリーグへジョインした。
アリーナのスタンダードと果敢とウーロ相手ばかりにも疲れたし、たまには違うことでもするか。という気持ちだった。
ネットの海から適当に複数回入賞しているプレイヤーを見つけそのままコピーしたのが、これ。
初見では「《栄光をもたらすもの》抜けたんや。《変わり谷》も減ったな~サイドボードのカード性にあわね~」印象。
特に難しいデッキでもないので10マッチして4-1、5-0したところで早速《ゴブリンの熟練扇動者》が弱いことに気づく。
パイオニアが国内で最も盛り上がっていたころと環境は大きく変わりティムール再生、緑単プレインズウォーカー、ラクドスパイロマンサー、ジェスカイルーカなどのデッキがTier1となっていたし、《砕骨の巨人》や《溶岩のしぶき》で簡単に除去されてしまうのだ。
除去されないマッチでは相手にマナクリーチャーが採用されているというパターンが多く、これまた1~3ターン目までは除去するターンとして使い3ターン目に《ゴブリンの熟練扇動者》を出すなら《鎖回し》を出したいし、4ターン目には2アクションが取りたい・・・と、じゃあこいつって何者?となり抜けていった。
代わりに白羽の矢がたったのは最も理不尽な禁止をだされたこともある《暴れ回るフェロキドン》だった。
《暴れ回るフェロキドン》はカードを見ればわかるがタフネス3のボディに加え、流行りの《自然のタイタン、ウーロ》《メレティス誕生》《太陽の神のお告げ》《食物トークン》《ズーラポートの殺し屋》によるライフゲインを防ぎ、ジャンドサクリファイスの横並び戦略にも1点ずつダメージをあたえ、《サメ台風》に突撃してしまうこともなかった。
フェロキドンの採用後にも10マッチ行い、5-0、3-2となったところで更なる問題に気づく。
《熱烈の神ハゾレト》が良い働きをしない。
それも当然で、4ターン目に手札が空になっていることが少ない割に1枚しか採用していないせいで肝心な時には引いておらず、かといってデッキを軽くしすぎるとハゾレト頼みになるという自己矛盾と毎度おなじみ《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《長老ガーガロス》ジェスカイルーカには壁やトークンが多く攻撃が通らないうえに隙が大きくコンボを決められてしまう。
つまりハゾレトは4ターン目以降の拮抗したリソース勝負となった時に真価を発揮するカードで、今のパイオニアで赤単アグロを使うと4ターン目にはかなりゲームの天秤がどちらかへ傾いていることが非常に多く、ハゾレトのカードパワーでは逆転することができない。
また、サイドボードにロータスコンボ対策が少ないこともよろしくなかった。《大歓楽の幻霊》は確かに強力ではあるがロータス側のドロースペルと勝ち手段は4マナ以上で蓋はできないし、《ゴブリンの熟練扇動者》を非採用としている関係でこちらのスピードが足りていないのだ。
そこで全くほしいとおもう対戦がなかった《溶岩コイル》《丸焼き》《削剥》を抜いて《減衰球》4枚を投入。当然ながらこれによりロータス相手にターンを稼げトーブランが間に合う展開が多くなった。変更後に10マッチプレイして3-2、5-0となったのがこちらのリスト。
上記リストに変更後、もっと回そうと気分よくリーグに入るも2-3、3-2と芳しくない。
上位デッキでもないし自分はリーグ所属プロでもないので常勝できるわけがないのだが、それにしても雑な負け方が目立った。
リプレイで負けのゲームを振り返ってみると3マナのカードがかさばる展開がおおく《砕骨の巨人》を除去としか使えず、3ターン目にプレイする余裕もないことに気づく。
それもそのはずで、巨人の4/3ボディは黒単アグロ、赤単ミラー、緑単アグロなどの地上を這って真面目に攻めてくるデッキに対して良いスペックではあるが今のパイオニアではマナクリーチャーをはじめ、除去しなければならない低マナのクリーチャーが多く序盤は除去を連打したいし可能なら《鎖回し》もプレイしたい。
コントロールデッキはライフゲインを多用するため先に《暴れまわるフェロキドン》をプレイしたい。と、なると《砕骨の巨人》を出す暇がなくせっかくの出来事持ちカードが2マナのインスタント除去としか機能していなかったのだ。
また、序盤の動きが悪いことも気になった。
初動3ターン目の手札などキープできるわけもないが、かといって《僧院の速槍》《損魂魔導士》からスタートしたにもかかわらず2ターン目のアクションが火力呪文しかない場合、それでは相手がクリーチャー主体でなければ1ターンパスしてしまうようなものだった。
長々と話したがまずはリストをみせよう。
《灰の猛信者》の採用
特別目立つカードでもなければ今まで誰も試していないカードでもないが当然、クリーチャーデッキ相手には先制攻撃は魅力的で《大歓楽の幻霊》と違い後手でも速攻により最低限の動きが期待でき、雀の涙ではあるが《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の脱出ゲインを1回無効にできるところを評価した。
正直なところ1ターン目のクリーチャーの後に展開できれば何でもよかったが、今のところはこれに落ち着いているが《鐘鳴らしのズルゴ》でもいいかもしれない。
《マグマの噴流》の採用
《砕骨の巨人》が実質2点除去としか機能しないのであれば、このカードに置き換えで問題ない。
特に昨今は序盤に除去したいクリーチャーが多く複数枚の火力が必要になるため探しに行きたいし、マナフラッド、マナスクリューを少しでも防止でき、3ターン目以降の動きが良くなった。
これら2種類の変更を加え、さっそくリーグへ潜ったところ1回目で5-0を達成。都合4度目の5-0。通算34-11となった。
まとめ
モダン設立以来、赤アグロは今最も隆盛しておりこのビッグウェーブは一度体験してもらいたいので、紹介した赤単でなくてもいいし、友達に貸してもらってでもぜひ一度プレイしてみてほしい。
また、パイオニアの赤単アグロはピーク時よりその勢いを落とし、このデッキでなければならない理由も特段ないが、周りが思っているよりは悪くないので一度諦めた人や興味がある人は店舗大会などで使ってみてくれ。
相変わらず、他人が諦めたデッキばかり試す僕のnoteを最後まで読んでくれてありがとう。
それではまた、いずれ。
みっくす:(@SAMURAIDRIVE_Tw)
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