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モダン:果敢バーンとトーブランレッド

はじめに


6月の下旬に初めてのnoteを投稿してからおよそ半年が経過した。

あの後、望外の反響を頂戴したため良い気になって2回目を早めに出したいと思ってはいたのだが、クオリティを担保し新鮮味のある内容で新たに投稿することはとても難しく、随分間が開いてしまった。

僕の次回作を期待して待ってくれていた数少ないマジモンのマニア達には大変申し訳なく思う。(そう、君の事だ)

また、今回初めて僕のnoteを開いてくれた人へ下記リンクも併せて紹介するので、名刺変わりとして僕の過去作なども是非楽しんで貰えれば幸いだ。

過去にはこのような形でモダンについて連載していたことやこんな感じで海外GPに出ていたこともあったが、今では関東近郊のイベントにでるのがせいぜいだ。※毎度の自己紹介です。


そして今回も前回同様前半は無料、後半は有料部分となっており前半では8月下旬からのモダンメタゲーム変遷と原因を解説するとともに、軽く禁止カードの話をした後、後半部分では僕が今月から非常に多くプレイした一般的ではないデッキについて2つ紹介する。

こんなデッキでもモダンってゲームに勝てるんだ!と少しは驚いて貰える内容だと自負しているし、2つ目に紹介するデッキに限って言えば日本語媒体、いや言語を問わずに世界初の記事となるかもしれない。

前後半共にある程度モダンのゲーム感に理解のある人向けの内容となっているが、ここ半年ほどモダンに触っていなかった人にも特に前半部分は役立てて貰えるだろう。

ことの起こり


それでは早速今回の時系列を整理していこう。

8月26日の禁止改定でホガークとフェニックスの夏が終わり、少し間を置いて石鍛冶ブームが一段落した後にはモダンホライゾンで《焦熱島嶼域》と《灼陽大峡谷》を得たバーンが今まで実現不可能であった「場には2.5枚の土地が欲しい」をほぼ実現し、一度は覇を唱えた。

禁止カード

しかし1ヶ月程でエルドレインの王権発売後スタンダード環境にて《王冠泥棒、オーコ》《むかしむかし》《金のガチョウ》が大暴れし、これら3種のカードパワーが異常だと気付かれ、モダン環境にもシミックウルザが登場。オーコとウルザの支配的な強さで中速デッキの大半を閉め出す結果となった。

ウルザの能力+軽量アーティファクト&打消し呪文のシナジーは地味だが強力で、序盤の展開後れを後半のカードパワーや必殺の一打で巻き返そうとするデッキすら押さえつける始末。3ターン目にはもうウルザが暴れ始めるような環境でちまちまとカードアドバンテージを重ねている場合ではないと、皆が肌で感じたことだろう。

本来はウルザに有利なデッキであるストームやタイタンブリーチなどの高速3キル即死コンボや圧倒的な制圧力を持つ緑単トロンだが、イマイチ追い上げてこないのは《否定の力》と《減衰球》が流行している関係で、特定の非クリーチャー呪文に頼るデッキは総じて位置取りが悪くなったと分析することが出来る。

その結果上位デッキはキーカードをアミュレットタイタン、グリクシス死の影、エルドラージトロンなどのクリーチャーに寄せたものとバーンのような1枚あたりのカードパワーが均一に近く《否定の力》で打ち消されても致命的でないデッキとなり、グリクシス死の影はシミックウルザに対し比較的有利なためどんどんその数を増している。毎週のようにこれらのデッキがマジックオンライン上の大型トーナメントで勝ち散らかしていたのにはちゃんと理由があるのだ。

否定の力


本来、このような面子で上位デッキが偏った場合は親和、バーンなどの横並び戦略や本体火力による飛び道具が一度復権しメタを動かすのだが、横並びはシミックウルザのメイン《仕組まれた爆薬》メイン4投入が非常に厳しく本体火力は《金のガチョウ》と《王冠泥棒、オーコ》が生成する食物トークンが致命的で伸びてこない。

それらの要因が絡み合い、シミックウルザに少し有利が取れるグリクシス死の影が現在では最も勢いがある。というのは先の説明で触れた通りだ。
グリクシス死の影は緑単トロンと5色人間を苦手とするがこれら2種が半年前と比べ大きく勢力を落としていることも追い風となっている。

※本稿執筆開始時は11月29日頃であり12月4日現在は人間デッキが盛り返してきている。

ここまで説明した主な流れはMagicOnlineとアメリカ国内の流行が強く反映されているため、君たちが地元の店舗で出るイベントで多少の流行り廃りはあっても、 個々人のリソースには通常、限界があるもので易々とデッキを乗り換えることはできないといった理由もあり、多様性は保たれているはずだ。

だが純粋にデッキの勝ちやすさ、強さをぶつけあった場合は先に紹介した上位デッキが優勢であることは疑いようがない。負け=追加課金が必要なMOとStar City Gamesの高額賞金からくる超資本主義はユーザーを正直にさせてしまうものだ。

今後の動きは死の影をはじめとした他のデッキがシミックウルザとオーコを駆逐すると信じているが《アーカムの天測儀》を禁止にするなどの弱体化措置も可能性としては残っている。

余談だが《アーカムの天測儀》は新たな《ギタクシア派の調査》だと僕は考えており、健全なカードではないため、僕がもしも禁止カードを制定するとしたら《王冠泥棒、オーコ》では無く、こちらかもしれない。
結局のところモダンで《最高工匠卿、ウルザ》と《王冠泥棒、オーコ》が強く使えるのは、《石のような静寂》で封じられるリスク無しに採用できるアーティファクトが増えすぎていることにある。また、天測儀と氷雪土地の組み合わせはマナベースにも大きな余裕を持たせ過ぎ、多色化にはライフを払うリスクがあるというのがモダンの特徴の一つであるべきだろう。レガシーの青白奇跡デッキにも採用されているのは異常なパワーカードである証だ。

さて話を戻そう。シミックウルザが柔軟性のあるデッキであることは分かったが、ここではいそうですかとウルザを使う僕ではない。10年前の僕ならそうしていただろうが、僕は今「誰も見向きしないデッキ」を見つけ進むことをモダンに求めており、いつものように新しい武器を探すこととした。

新・果敢バーン

とはいえ目新しいという理由だけで別に自分が楽しくないと感じるデッキをわざわざ使うつもりもなく、多少の捜索期間を経て興味を引かれたこのデッキから試してみることとした。

大元のリストは10月17日のMagic OnlineモダンチャレンジでXenowanが使用しスイスラウンドを7戦全勝した下記リストだ。絢爛コスト、待機コストでプレイする前提ではあるものの理論上すべてのカードが1マナでプレイ可能であり、1ターン目に1マナ、2ターン目に1+1の動きを絶対してやるぞという作りになっている。

バーン1


ただし、このままのリストでは土地から受けるダメージが多すぎること、《溶岩の投げ矢》のフラッシュバックコストを支払えない事が多あり構造に違和感を覚えたため、サイドボードを含めて下記のように変更した。

バーン2


構造上、通常のバーンと違い《焼尽の猛火》や《大歓楽の幻霊》が入っていないため土地コンボに手札を使い切れず負けることが無く、3キルも頻繁に発生する。ジャンドに対しても《ヴェールのリリアナ》で手札を破壊される前に手札をほぼ全て使い切っており、明確に有利だ。

しかし《焼尽の猛火》が無く《コーの火歩き》も使用できないためにバーンミラーでは厳しい戦いとなり、《ボロスの魔除け》《稲妻のらせん》が入っていないこともあってエルドラージトロンの《虚空の杯》だけで詰んでしまう事が多々あり、デッキの構成がメタにあっていないことは明白であった。

ローカルの店舗イベントであれば短いラウンドで均等に分散したメタであることが多いので問題はないが、オンラインやグランプリなどの大型イベントでの使用は現時点ではおすすめしない。もしも君が通う店のほとんどが土地コンボなら毎週優勝できるくらいには土地コンボに有利なのだが。

やってることは軽くなったバーンであるから、さすがにたまのMOリーグで5-0する程度には力強さは持ち合わせているものの、《王冠泥棒オーコ》の流行とオンライン特有の「デッキ調整<参加費を取り戻す」という超資本主義により周囲のデッキにメインから《機を見た援軍》が飛んで来たりと完全に別ゲーになってしまったこともありこの果敢バーンからは手を引いた。

その後、火力、横並び、即死コンボが駄目で、じゃあなにが残っているかを考えてると「打消し」か「墓地」となるのだが墓地デッキは台風19号の直撃の夜に十分試したし、打消しもわざわざ僕が喜んで飛びつくようなアーキタイプやリストでは無かった。そして《否定の力》を4枚買うのも嫌だった。※僕は普段、記事内価格の話はしないが当時のMO内では1枚69ドル、約7500円だ。誰だって嫌だろう

唯一《創案の火》と《瞬間の味わい》が入った青赤無限ターンには若干心が揺らいだものの、特に試すことなく時が過ぎて行き特に収穫もない日が続いた。

本デッキ紹介

そんな中、11月12日のモダンリーグ5-0デッキリストの1つにこんなものが載っていた。使用者は先ほど載せたバーンと同じプレイヤーでタイトルも「Mono Red Aggro」だったことから「あ~やっぱりコピー元の人は違うなあ。俺諦めたのにさすがやな~」と開いたところ...これだ

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初見ではパイオニアと間違えたかと思ったが《稲妻》はしっかり入っている。

しかし《灰の妄信者》とは何事だろうか?2012年スタンダードでは無く令和元年モダンだと言うのに。

1枚だけ入った《火葬》も混乱の極みである。しかも《月の大魔術師》はメイン2枚。

MOリーグを5-0することはそこまで簡単ではないのだが、1回だけなら正直運が良ければ誰でも出来る。

新しいデッキは理由無く出てこないとは頭では理解しているのだが、超幸運の可能性もあると思い細部まで見てスルーした3日後、なんと全く同じプレイヤーが同じリストで掲載されていた。

ここまで来ると偶然ではなく本物か、または試行回数が極端に多いかのどちらかであり、早速試してみると、初見の印象通りに《月の大魔術師》は4欲しいし《灰の妄信者》は攻撃が奇跡的に通れば2点入る謎カードではあったのだが感触はグッド。

一旦次のように変更し、通算6リーグ目で11月29日に5-0を達成。

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色、マナ域、能力の面から《灰の妄信者》を《過酷な指導者》へ変更し《火葬》《削剥》はサイドボードの2枚のみに。

《過酷な指導者》は《大歓楽の幻霊》のように放置できない生物として除去を引きつける役割があり、後続の《ゴブリンの熟練先導者》《軍勢の戦親分》へとうまくつなげることが出来るのだが、肝心の《軍勢の戦親分》で何の圧も与えられず《霊気の薬瓶》がこちらの戦略を一部否定してくることが不満だった。

それを加味して最適化を行った結果、11月31日に通算8リーグ目、2度目の5-0を達成。

デッキリストは12月4日現在、英語版公式サイトまたは某有名海外デッキ紹介サイトにて確認ができるが、下記で詳しく説明していく。

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12月4日現在、11リーグ(55マッチ)プレイ済みで39勝16敗といった感じだ。結局のところ大切なのはトーナメントを勝ち抜く強さであるからして勝率というのはMTGにおいてほとんど意味を持たない数字だが、7割くらいならまあ悪くはないだろう。

デッキリストと特徴

《炎の印章》

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一見、1マナ火力シリーズの下位互換のようにも見えるが 《炎の印章》は置きっぱなしにできる点が後述の《歴戦の紅蓮術師》と相性が良く、5色人間のサリアをラグ無く倒すなどの役割もあり単純にトーブランと相性のいい火力というだけではない。今のメタゲームで即時倒すべきクリーチャーでタフネス3が少ないのも追い風だ。

かといってカードパワーはただの《ショック》なので環境が変化すれば抜きたいとすら思っている。

《ファイレクシアの破棄者》

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《過酷な指導者》は放置しづらいスペックを持つが《霊気の薬瓶》デッキに対して嫌がらせ程度にしかならず《宝石の洞窟》経由で1ターン目に出すなら《大歓楽の幻霊》が優先されるためいまいち圧を感じなかった。

そこで《探検の地図》《霊気の薬瓶》《歩行バリスタ》《王冠泥棒、オーコ》《最高工匠卿、ウルザ》《忘却石》などを封じることのできる破棄者を採用。この変更は手前味噌ながら大変すばらしく、4枚目の採用も検討している。

《削剥》

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役割としては《月の大魔術師》《血染めの月》プレイ中に出てきた《忘却石》や《霊気の薬瓶》などのアーティファクト破壊を期待しての採用となるが《王冠泥棒、オーコ》で鹿となったブロッカーを除去しつつも無駄カードになりづらく75枚中に3枚欲しいため、メインに1枚採用。

《歴戦の紅蓮術師》

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《朱地洞の族長、トーブラン》《虚空の力線》《発火の力線》《血染めの月》と素引きや複数枚重なると仇となるカードが非常に多く、それらをトークンという形で場に還元できる能力も《アンバレンス城》と相性がよく文句なし。相性が大幅に逆転したわけではないが《ヴェールのリリアナ》《爆発域》《仕組まれた爆薬》《疫病を仕組むもの》などにも少し耐性が付いた。カードラッシュ所属、井川プロの猛プッシュにより4枚採用。

《呪文滑り》

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《血染めの月》《月の大魔術師》が効果的な緑単トロン、アミュレット、感染などが相手の場合《四肢切断》《次元の歪曲》《自然の要求》が主な相手側の対策である。それらから月を守るために採用。

緑単トロン相手の場合、無色除去とエンチャント破壊の両方が入っているため裏目を引かないよう《呪文滑り》は本当に重宝する。
先出しせずとも後半のトーブランを守れたりと良い事ばかりだ。

また《王冠泥棒、オーコ》が入ったデッキにもサイドインして食物ではなく《呪文滑り》を鹿にさせるつもりでプレイする。

しょうもない役割に思えるだろうがオーコ相手には意外と効果的だった。

解雇・不採用となったカード

《軍勢の戦親分》

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《猿人の指導霊》で加速しプレイしたとしてもゴブリンは相手の肉壁に突撃して爆散。次ターンにお供と攻撃しようものなら自身は一切強化されておらずやはり爆散してしまうことから解雇となった。

一言でいうなら迫力が無い。

《熱烈の神ハゾレト》

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サイドインしたいマッチでは対処されやすいうえに毎回ストレートに4マナまで伸びるようなデッキでもないことから不採用。サイドボードの枠があれば検討してもいいなと思える程度のスペックはあるが《反逆の先導者、チャンドラ》の方がデッキにはマッチしているだろう。

《粉々》

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ライフを削りきることは最終目標だが、相手の場を封じ込めるか《猿人の指導霊》《宝石の洞窟》を絡めての理不尽な初動を手段としているため、3点入るかどうかよりも《削剥》のように無駄になりづらいカードが好ましいため不採用。

《暴れまわるフェロキドン》

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バーンと違い、リソースを投げ捨ててライフを最速で狙うデッキではない。ゲイン禁止の能力は魅力的だが特にプレッシャーにならず不採用。《機をみた援軍》に対しては後述の《ゴブリンの鎖回し》が最も効果的だ。


見慣れないカード

《朱地洞の族長、トーブラン》


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このヒゲ、初見では不要に思えるかもしれないが、このカードがトークン戦術の無理攻めを可能としており「えっ、この場で13点?」とバーストダメージで突然勝つことがままある。次に紹介するカードとも相性が抜群。MOだと対戦相手がフリーズしてファッキンを連発してくる(実際は伏字となり見えないが)

《発火の力線》

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主にバーン、ジャンド、グリクシス死の影へ対するサイドで活躍の場は見た目以上に広い。クリーチャーがたくさん入っているこのデッキと相性が良いため4枚採用したいところだが枠の都合で現在は3枚になっている。このデッキだけでなく赤いデッキなら必ず採用したほうがいいと思えるレベルで強かったので取り合ず4枚買おう。本当に4枚買うんだぞ。

《ゴブリンの鎖回し》

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《機を見た援軍》を使うデッキ全般、ストーム、親和、人間、スピリット、その他マナクリーチャーデッキなどにサイドイン。
トーブランとの相性が抜群で予測が難しいカードなので引けた場合は常に活躍している。抜きたいものはあるが入れるものが無い、相手はフェアデッキだが偶然月がハマって買ってしまったという場合もクリーチャーというだけでサイドインすることがある。


動かし方のセオリー

デッキの狙いは1~2ターン目を除去か《大歓楽の幻霊》《ファイレクシアの破棄者》でお茶を濁しながら3マナ圏のカードを連打するだけだ。

また、相手のデッキで対処されないことがわかってない限りは1ターン目に2マナのカードをプレイする動きは取らない。
このデッキは3マナ以降のカードを多く採用しており、2ターン目に3マナのカード、3ターン目にも3マナのカードと連打する動きを理想としている為だ。

1ターン目に《猿人の指導霊》を2枚切るのは先手で手札に土地が1枚、《歴戦の紅蓮術師》があるときだけでそれ以外は絶対行わない。また、上記の手札も原則としてマリガンなのでまずは原則に沿って動かそう。

マリガン基準

先手:赤マナの出る土地2枚、2ターン目までのアクション2枚、3マナのアクション1枚があればキープ。《猿人の指導霊》で1ターン目に《大歓楽の幻霊》を出せる手札であっても無理に出さないこと。
出したうえで即除去されて2ターン目をパスするのは一番ダメなパターンだ。ただし手札に追加の《大歓楽の幻霊》が控えている場合はこの動きもOKとする。

サイドボーディング

グリクシス死の影
in:
《呪文滑り》+2
《発火の力線》+3
《虚空の力線》+4
out:
《削剥》-1
《炎の印章》-2
《朱地洞の族長、トーブラン》- 2
《稲妻》-4
予想される相手のサイドカード:《疫病を仕組むもの》《仕組まれた爆薬》《集団的蛮行》《湖での水難》

比較的メインから五分~有利寄りの相手。
死の影デッキ全般に言えることだが《コジレックの審問》《思考囲い》で要所を落とし《頑固な否認》や除去で蓋をすることを勝ちパターンとしている。

そのため半端に火力を残していても肝心の場をつくるクリーチャーだけを狙われた結果、行き場の無い火力を本体にプレイするくらいしかない。
力戦をたくさん入れるため、さらに火力まで残した場合肝心の攻め手が無いなんてことになってしまうことは避けたい。

《月の大魔術師》は相手が《沼》からフェッチしてくることを考えると効果が薄く露ほどもイージーウィンする可能性は無いが、手札破壊でクリーチャーだけを抜かれ攻め手が足りなくなるよりはマシで、自分視点では弱くとも一応生物であることが肝要である。もしも《月の大魔術師》を1戦目で強く印象付けたなら《ゴブリンの鎖回し》と交換しても良いが基本的には手札破壊で見てない角度からトップデッキすることも考え、抜くことは無い。

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《ファイレクシアの破棄者》は《ミシュラのガラクタ》を指定。

スゥルタイ死の影
in:
《呪文滑り》+2
《血染めの月》+2
《発火の力線》+3
out:
《削剥》+1
《炎の印章》+2
《稲妻》+4
予想される相手のサイドカード:《疫病を仕組むもの》《仕組まれた爆薬》《集団的蛮行》《王冠泥棒、オーコ》《暗殺者の戦利品》


メインは少し不利だがサイド後は五分~有利寄りの相手。相手が4色のため月勝ちしやすく、グリクシスよりは幾分有利になっている。
《タルモゴイフ》が居る関係上、地上の攻撃が通りづらいが《瞬唱の魔道士》が居ない為アドバンテージ勝負をされく見た目よりは悪いマッチではない。グリクシス死の影より短期決戦になるイメージを持とう。

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《ファイレクシアの破棄者》は《王冠泥棒、オーコ》を指定。

エルドラージトロン先手
in:
《血染めの月》+2
《呪文滑り》+2
《削剥》+2
out:
《大歓楽の幻霊》-4
《炎の印章》-2
エルドラージトロン後手
in:
《血染めの月》+2
《呪文滑り》+2
《ゴブリンの鎖回し》+2
out:
《大歓楽の幻霊》-4
《炎の印章》-2
予想される相手のサイドカード:《次元の歪曲》《ワームとぐろエンジン》


《大歓楽の幻霊》は効果的な要素がほとんどないため即サイドアウト。残した場合《作り変えるもの》《難題の予見者》に場を蓋されてそのままゴールされてしまう。

ゲーム感としては月で減速させつつも相手は《大いなる創造者、カーン》《歩行バリスタ》《精神石》などで粘ってくる展開になりやすい。
先手と後手で《削剥》の有無に差があるのは《探検の地図》を破壊するタイミングがあるかどうかだ。

《ファイレクシアの破棄者》は出された返しなら《探検の地図》を指定し、ゲーム中盤では 《大いなる創造者、カーン》か《歩行バリスタ》を指定するが月が出ていればカーンで出ていなければバリスタという感覚で良い。
《爆発域》は指定できないので注意すること。

バーン
in:
《血染めの月》+2
《呪文滑り》+2
《削剥》+2
《発火の力線》+3
out:
《朱地洞の族長、トーブラン》- 2
《ファイレクシアの破棄者》-3
《大歓楽の幻霊》-4
予想される相手のサイドカード:《コーの火歩き》《流刑への道》

不利。昨今《コーの火歩き》がガン積みされているため白マナ絡みのカードを相手がたくさん引くことに期待して《血染めの月》もサイドイン。

守っても勝てないので刺しあう気持ちで殴り合うのと一番勝つ可能性が高い。《発火の力線》か2ターン目《血染めの月》が出せる手札は初手キープポイントUP。

5色人間
in:
《血染めの月》+2
《呪文滑り》+2
《削剥》+2
《ゴブリンの鎖回し》+2
out:
《ゴブリンの熟練先導者》-4
《大歓楽の幻霊》-4
予想される相手のサイドカード:《拘留代理人》


少し有利。意外に思うだろうが少し有利だ。
《血染めの月》《月の大魔術師》《稲妻》《炎の印章》《砕骨の巨人》《ゴブリンの鎖回し》《ファイレクシアの破棄者》これらすべてが効果的でハメ技にもって行きやすい。

サイドの入れ替え自体は単純なもので、場に対して弱いカードを抜いて効果的なカードを入れるだけのサイドチェンジになる。ゲーム感としては除去の多いこちらが守る側になる。

勝ちパターンとしては《霊気の薬瓶》《貴族の教主》を封じての月ハメだ。
そこまで考える要素は無いが、除去の使い方がもっとも重要でどの火力でどのクリーチャーを除去するか、間違えると一気に押し込まれる。基準としては《教区の勇者》《サリアの副官》などのサイズアップ系が一番まずく、次点で飛行の《カマキリの乗り手》となる。

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《ファイレクシアの破棄者》は《霊気の薬瓶》を指定。

緑単トロン
in:
《血染めの月》+2
《呪文滑り》+2
《削剥》+2
out:
《砕骨の巨人》-4
《炎の印章》-2
予想される相手のサイドカード:《次元の歪曲》《自然の要求》《四肢切断》《スラーグ牙》


有利なマッチ。勝つも負けるも簡単なマッチというほうが正しいかもしれない。負けパターンは月で封じれずストレートに《ワームとぐろエンジン》のパターンなので何よりも2種入ってる月が大切となる。

月で封じながら《ファイレクシアの破棄者》は《探検の地図》《歩行バリスタ》《忘却石》《大いなる創造者、カーン》などを状況に応じて指定する。
この相手のプレイで一番難しいのは《ファイレクシアの破棄者》かもしれない。《呪文滑り》は《四肢切断》《次元の歪曲》《自然の要求》対策で《削剥》は月環境下での《忘却石》や《罠の橋》《スラーグ牙》を対象としている。

シミックウルザ
in:《呪文滑り》+2
out:《月の大魔術師》-2
予想される相手のサイドカード:《思考囲い》《致命的な一押し》《集団的蛮行》

ド不利(真顔)
《血染めの月》《月の大魔術師》は《アーカムの天測儀》《金のガチョウ》《オパールのモックス》で回避され《王冠泥棒、オーコ》はブロッカーを量産するし《最高工匠卿、ウルザ》は除去できないと来た。
特効薬的なサイドボードも採用しておらず勝てる要素がほぼない。

昨今マジックオンライン上のPTQやMOCSプレイオフなどの結果を見ると、死の影、感染、人間と対策されつくして大きく負け組側に落ちてきているのでこのまま居なくなることを祈っている。
人間の精神が技術に追いつくのが遅いようにオンラインのメタゲームに現実が追いつくには時間がかかるため、気長に待とう。

さて愚痴ばかりになってしまったがサイドインの理由を説明しよう。
《呪文滑り》は《王冠泥棒、オーコ》の能力をひきつけるために投入し《月の大魔術師》は本当にわずかな期待だがフェッチランドと《神秘の聖域》が無効化できたらいいな程度での継続だ。
もしも対策するとなれば《大いなる創造者、カーン》をサイドの《虚空の力線》と入れ替えることとなるが、このデッキでそうやすやすとストレートに4マナを生み出し打消しをかいくぐるなんてことは都合が良すぎるので、素直にグルールカーンなどの1マナクリーチャーから《三なる宝球》《血染めの月》デッキを組み替えよう。

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《ファイレクシアの破棄者》は相手が3マナに到達するまでは《王冠泥棒、オーコ》、それ以降は《最高工匠卿、ウルザ》を指定。

サイドチェンジに困ったら

今回は現行の上位メタデッキに絞った紹介となったためサイドチェンジの大まかな指針も残しておくこととする。

下記のカードはよく抜けるが、クリーチャーは基本的には減らさない。増やす分にはOKだ。

青いコントロールデッキ:《稲妻》《炎の印章》《削剥》などを抜いて《発火の力線》《ゴブリンの鎖回し》
マナクリーチャーが多いデッキ:《月の大魔術師》を抜いて《ゴブリンの鎖回し》や石鍛冶対策に《削剥》
墓地系のデッキ:《稲妻》《炎の印章》《削剥》などを抜いて《血染めの月》《虚空の力線》《ゴブリンの鎖回し》
手札破壊&除去のデッキ:《炎の印章》《削剥》などを抜いて《発火の力線》

おわりに

最後まで読んでくれてありがとう。

デッキの旬を逃さないため駆け足で用意したこともあり、少し話したりない部分があったかもしれないが、モダンの秘めた無限の可能性を少しでも感じ取ってもらえたら幸いだ。巷ではパイオニアの盛り上がり(角度によっては盛り下がり)を感じるがまだまだモダンも捨てたもんじゃない。必ずメタゲームは回るし、禁止カードも毎週でるなんてことは無いのだから、楽しく遊べるぞ。

デッキについてわからないことがあれば下記Twitterアカウントへ適当に話しかけてほしい。返事は原則として正午ごろか夜間になるが必ず返答はするよ。

それではまた、いずれ。

みっくす:(@SAMURAIDRIVE_Tw)


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