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白黒エルドラージタックスガイド:君がモダンでなぜ負けるのか

はじめに

モダンで開催されたGP横浜2019で白黒エルドラージタックスを使用し0BYE から初日8-1、二日目4-2、計12勝3敗とそれなりの成績を残すことができた。

僕はモダンの大会では基本的に直線的なオールインデッキを好んで使用している。しかし昨今は圧倒的に早く勝負を決めてしまう「発掘」や展開した脅威を全てゼロに戻す「イゼットフェニックス」が流行していたため、オールインよりも相手の戦略に積極的に干渉するデッキが時流にあっていると感じ、使用を決断したのだが、GP横浜2019終了後からTwitter上でいくつか同デッキについて質問を受けそのすべてがサイドボードについてのもので、やはりこの部分は気になる人が多いのだなと改めて感じたためこのような記事という形で残す事とした。

また今回はそれに加えてなぜそのようなサイドチェンジになるのかを一部のマッチではあるが僕の思考過程も一緒に話せればと思う。

ただし記事全体を通してモダンについて少し理解のある人向けの内容となっているためデッキの分類や主だった有利不利などは省略しているがご容赦いただきたい。

下記リンクでは僕がどういう形でマジックと関わっていたかを軽く名刺変わりに紹介しているので、過去の記事も本稿と併せて楽しんで貰えたら一層励みになる。

※過去にはこのような形でモダンについて連載していたことやこんな感じで海外GPに出ていたこともあったが、今では関東近郊のイベントにでるのがせいぜいだ。


本稿のサイドボーディングガイドをはじめとする有料部分ではモダンのグランプリでよく初日落ちしてしまう、スタンダードとリミテッドは勝てるのにモダンだけは負けてしまう。という人や、この1~2年でモダンをはじめた、そしてもっと勝ちたい。という人にとって必要な考え方と方法を記載した中級者向けの内容となっており、主にモダンのサイドボード構築で陥りやすい罠について語っている。

話の都合上、グランプリ向けの内容となるが店舗大会やミシックチャンピオンシップ予選でも少なからず流用してもらえる「考え方」でありグランプリにはなかなか行くことができない人にも意味のある内容に仕上げたつもりだ。

デッキリストと特徴

さて、前置きが長くなってしまったが肝心のデッキリストに移ろう。
今回は僕が現在マジックオンラインで使用しているものを元に話しをすすめさせてもらうこととする。このリストが全方位的に優れているとか現在のメタゲームに完璧に合致しているとは言わないが、GP後から今日まで使い続けており、同アーキタイプの構成としておすすめできることは確かだ。

【メインボードの特徴】

《修復の天使》

人によっては《致命的な一押し》《ルーンの与え手》《闇の腹心》《未練ある魂》などを採用しているスロットだが、僕は天使を優先している。
《ちらつき鬼火》《変位エルドラージ》《難題の予見者》《潮の虚ろの漕ぎ手》※1《レオニンの裁き人》《不毛の地の絞殺者》など、デッキの大部分とシナジーがあり主戦略を邪魔しないことはもちろんのこと、現在はあまり見る事の無いカードのため意表をつくことができる。《弧光のフェニックス》や《カマキリの乗り手》が衝突し散っていくのは爽快だ。

※1《レオニンの裁き人》でマナの支払いを宣言した後にライブラリーを探そうとしたタイミングで天使の能力で対象を取り明滅させるとさらに2マナの支払いを要求できる。

下記のカードはすべて試して比較したが、メインに不採用となったカードの理由をあげていこう。

《致命的な一押し》

《霊気の薬瓶》デッキすべてに共通することだが、この手のデッキはメインから除去を何枚も引いて1対1交換を行ったところで試合に勝てない。
必要なのは場を構築するクリーチャーであって除去はそれらを補助し、すれ違って勝つためのカードにすぎず主戦略ではない。しかし序盤の押されがちな盤面を支え、押し戻すためのサイドボードとしては悪くないのでサイドには2枚採用。

《ルーンの与え手》

2マナ圏の妨害クリーチャーを守りながら先に除去を使わせることもでき、一見キープ基準にもなりえる優秀な1マナ圏。しかしその能力の都合上攻撃に行くことはなく、単体ではまったく場が進まないため現時点では不採用。有利な相手により有利になるという部類のカードだ。
メタが動いて「5色人間」が増えた場合はメインに3枚採用するが良いだろう。その場合は《乱脈な気孔》ではなく《無声開拓地》に変更し、1ターン目にタップイン処理が発生しないよう工夫が必要。

《闇の腹心》


妨害能力持ちのクリーチャーより先に出すわけもなく、後から出しても圧の無いカードで1枚も引けずだした返しに盤面を詰まされるなど散々だった。
デッキ内平均マナコストも全く軽く無いため一瞬で解雇。

《未練ある魂》


このカードで《カマキリの乗り手》が止まるわけでもなく「BGミッドレンジ系」には《最後の望み、リリアナ》《漁る軟泥》で普通に処理されて終わり。

自身の《スレイベンの守護者、サリア》との相性も悪い。「ジェスカイコントロール」が流行している場合は有用だ。

《無声開拓地》

《乱脈な気孔》のタップインがもたらすストレスから入れ替えているリストをよく見るが、採用するとしても《コイロスの洞窟》か《秘密の中庭》と1枚だけ交換するにとどめるほうがいいだろう。

《乱脈な気孔》は地味で使っている側からすると強さがわかりづらいが、このデッキの数少ない長所だ。《無声開拓地》も良いカードであることには違いないが、1枚で場を覆すカードもなければ序盤は攻撃のスルーなどでライフを減らす展開が多いこのデッキではあまり強く使えそうにないため現時点では不採用。

【サイドボードの特徴】
《安らかなる眠り》の不採用と《貪欲な罠》


《貪欲な罠》は「発掘」への専用対策カードだ。

このデッキは手札と場に干渉するカードならメインサイドともに入っているが、こと墓地となると対策カード以外では全く干渉することができず押された場を盛り返す手段もない。そのためサイド後はマリガンしてでも墓地対策を探しに行くのだが、色マナの出ない土地が8枚入っており無色土地、《霊気の薬瓶》《安らかなる眠り》+その他の手札を祈りながらキープせざるを得ない事がしばしばあった。

《安らかなる眠り》は最も強力な墓地対策だが後手の時に間に合わないことも多く、場を作られた後に墓地を追放したところでゲームに負けては意味がない。墓地デッキ側が《安らかなる眠り》の存在を知らず、無策なはずもないのにいつまでも白いデッキのサイド =《安らかなる眠り》というのは思考停止ではないだろうか。そういうわけでプレイできないカードを抱え不本意なマリガンやリスクあるキープを少しでも減らし、相手のブン回りにも干渉したいことから《貪欲な罠》は4枚採用となった。


尚、「ホガークヴァイン」に対してもサイドインし、効果はあるが「発掘」相手ほど劇的ではない。もしも「ホガークヴァイン」をどうしても対処したいなら《貪欲な罠》ではなく《イクスリッドの看守》4枚採用するのがいいだろうが、すでにあちらも《暗黒破》《稲妻の斧》《致命的な一押し》など除去を増やしてきているので相変わらず罠を推奨だ。


《安らかなる眠り》は「青白x系コントロール」「BGミッドレンジ系」「マルドゥパイロマンサー」「死の影」「ホロウワン」「イゼットフェニックス」「赤単フェニックス」などにサイドインできるのではと思うかもしれないが、仮に採用していたとしても僕はこのデッキではサイドインしない。

それは「白黒エルドラージタックス」の取るべき戦術ではないからだ。
これについては後述のサイドボーディングでもう少し詳しく説明する。

《ブレンタンの炉の世話人》


「イゼットフェニックス」「赤単フェニックス」を標的としたカードだが、「バーン」「タイタンシフト」などにもサイドインする。

各種妨害クリーチャーよりも早いターンにプレイできることがポイントで、置き打ち消しのような役割を期待しており一般的に採用されていないことから相手にとっても想定外となることが多い。

役割の都合上こちらも早いターン、できることなら初手に欲しいため4枚採用となった。

《石のような静寂》の不採用


この手のカードは勝った時の印象が非常に強く残るため人気があるが《安らかなる眠り》と同様、アーティファクトデッキのプレイヤーが今どき無策ではないだろう。「親和」対策なら《戦争の報い、禍汰奇》がデッキの方向性ともかみ合っているし、「プリズン」対策であれば《領事府の弾圧》が最も良い。

メタにあわせて《ブレンタンの炉の世話人》を抜いてこれらを入れることもあるが今はアーティファクトは無視しているため不採用だ。

白いデッキのサイドなら使わない手は無いような感覚で皆採用しているが《霊気の薬瓶》が起動できなくなることについて軽く考え過ぎていると感じる。

マリガン基準

【キープorマリガン】
ドローを進めるカードや1枚で戦況を大きく変える手段が無く、ある程度のマナが必要なデッキのため比較的緩くキープし、《霊気の薬瓶》がある場合にはマナフラッドよりは土地が少ない手札がより好ましいという感覚で判断する。

《霊気の薬瓶》とアンタップイン可能な土地が1枚あればそれが《幽霊街》でもキープして良いが、残りのカードは常識の範囲内で検討しよう。
少し基準を明確にすると、《霊気の薬瓶》以外で2ターン目に動けるカードが2枚以上あるかどうかで判断しても良いだろう。


このデッキのセオリー

・《霊気の薬瓶》からターンエンド時に《ちらつき鬼火》を出し、パーマネントを追放した場合、その次のターン終了時に戻ってくる

・《潮の虚ろの漕ぎ手》《ちらつき鬼火》で追放したカードを餌に《不毛の地の絞殺者》の能力を使うことで、一時的な追放領域から墓地送りにできる

・《不毛の地の絞殺者》は場にクリーチャーが1体もいない場合でも自身を対象として《裂け目の稲妻》《祖先の幻視》《睡連の花》《風立ての高地》《明日への探索》《大いなるガルガドン》など追放領域のカードを叩き落すことができる

・《レオニンの裁き人》の2マナ支払いはスタックを用いない処理のため、ライブラリーを探そうとする前に支払い宣言をする必要がある

サイドボーディングガイド

5色人間
in
+2《致命的な一押し》
+2《オルゾフの司教》
+2《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》
+1《不毛の地の絞殺者》
out
-4《スレイベンの守護者、サリア》
-3《難題の予見者》
予想される相手のサイドカード:《拘留代理人》《秋の騎士》《四肢切断》

《スレイベンの守護者、サリア》と《レオニンの裁き人》で減速させることが出来ず、相手のクリーチャーサイズも大きい為不利だが、変にサイドカードでどうにかするよりは素直に《潮の虚ろの漕ぎ手》と《不毛の地の絞殺者》のコンボが決まることを期待した方がいいだろう。

新カードの《ルーンの与え手》をたくさん採用すれば地上を止めやすく、《カマキリの乗り手》用に除去を温存できるので今よりも相性が改善される可能性はある。

《サリアの副官》《教区の勇者》《反射魔道士》とは相打ちをとって構わないが、その他のクリーチャーとは即時相打ちはせず、こちらのシナジーが形成されることを期待してスルーも選択肢にいれていく。強烈な対策カードが欲しいのであればモダンホライゾンの新カード《遺棄の風》を2枚程サイドに採用するのがいいだろう。

小技:《不毛の地の絞殺者》は相手の追放領域にカードがなくても能力の対象は取ることができるので《幻影の像》を倒せる。

グリクシス死の影
サイドチェンジ無し
予想されるサイドカード:《最後の望み、リリアナ》《儀礼的拒否》

何言ってんだこいつ・・・という顔はやめて落ち着いてもらいたい。

この組み合わせでは空白ターンを作らないことが一番重要だ。空白ターンとは文字通り何もしないターンの事だが、相手が「こちらの動きに対し対応せずとも良いと思えるターン」の意味でも僕は使っている。

除去という大枠でみた場合、《不毛の地の絞殺者》を《致命的な一押し》や《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》と入れ替えてしまう気持ちは理解できるが、絞殺者は《エルドラージの寺院》経由限定で2ターン目に出せる2マナ圏のカードとしても最低限の役割がある。

仮にここの枠が《オレスコスの速爪》だったとしても僕は除去と交換しない。《流刑への道》《ちらつき鬼火》《変位エルドラージ》を強く使うためにも2~4ターン目はクリーチャーをプレイし、積極的にライフへ圧をかけよう。

《致命的な一押し》を入れた場合でサイド後の先手、自分の手札が下記の通りだとする。

《致命的な一押し》×2
《スレイベンの守護者、サリア》
《ちらつき鬼火》
《秘密の中庭》
《エルドラージの寺院》
《コイロスの洞窟》

ここで相手が《コジレックの審問》または《思考囲い》をプレイしたとしよう。
ほとんどの場合、相手はサリアをディスカードさせ《死の影》+《頑固な否認》などのバックアップ体制が整うまでゆったりと場をコントロールするか《グルマグのアンコウ》ルートで攻めるだけだろう。
一方、君は対象の無い除去を手札に抱えながら序盤をパスし《死の影》来い、と祈りながら《瞬唱の魔道士》にカモられる。

これは《致命的な一押し》が《安らかなる眠り》や《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》だったところで何もかわらない。同じようにまた裏目のある選択を迫られてしまう。クリーチャーであれば《頑固な否認》も当たらず相手の除去か手札破壊と交換はできるのだから、変にデッキのバランスが崩れてしまうようなサイドチェンジはしないほうがマシだ。

小技:一般的に「グリクシス死の影」には《山》が入っていないため《血の墓所》《蒸気孔》を対象とし、《レオニンの裁き人》がいない場合でも《幽霊街》を起動することに一定のリターンはあるが、最近は《四肢切断》がメイン除去で《稲妻》《コラガンの命令》《信仰無き物あさり》は減少傾向にあるため積極的に狙うほどではない。

イゼットフェニックス
in
+2《致命的な一押し》
+4《ブレンタンの炉の世話人》
out
-3《不毛の地の絞殺者》
-3《難題の予見者》
予想される相手のサイドカード:《血染めの月》《削剥》《儀礼的拒否》

《霊気の薬瓶》は《削剥》の対象となり《血染めの月》は対処不能で見た目よりは分が悪い。妨害クリーチャーを2種以上並べ、相手をスクリュー気味に追い込み《変位エルドラージ》と《ちらつき鬼火》で《氷の中の存在》の相手をすることで《流刑への道》を節約できるので、《ブレンタンの炉の世話人》を増やせば増やしただけ有利になる。

相手は《氷の中の存在》に全力を注いでくるがサリアか裁き人が場に残せていれば6枚の除去も合わせると3ターン目の変身はかなりケアできる。《弾けるドレイク》《変位エルドラージ》や《ちらつき鬼火》で明滅することを恐れてはいけない。

この組み合わせはカードの枚数を気にするより相手に手札を使い切らせず勝つことを目指す。《難題の予見者》は弱いわけではないのだがこちらが場を支配している状態で蓋をする役割で、キープ基準とはならないため優先度が低い。

小技:《スレイベンの守護者、サリア》が除去の対象になった時《霊気の薬瓶》から新たなサリアを出して除去対象のものと入れ替えることで次にプレイする呪文が1マナ軽くなるタイミングを相手に与えず済む。

赤単フェニックス
in
+2《致命的な一押し》
+4《ブレンタンの炉の世話人》
+2《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》
+1《不毛の地の絞殺者》
out
-2《変位エルドラージ》
-2《修復の天使》
-4《レオニンの裁き人》
-1《ちらつき鬼火》
予想される相手のサイドカード:《血染めの月》《削剥》《引き裂く流弾》

新カードの《溶岩の投げ矢》により以前より相性が厳しくなってしまったが、《血染めの月》次第といったところだ。こちらも《ルーンの与え手》を大量に採用して《スレイベンの守護者、サリア》を場持ちさせるなど構築面でやれることはある。

《血染めの月》がある関係上、自分の土地に《幽霊街》を起動し《流刑への道》を打つこともあり相手への妨害要素もない裁き人はサイドアウトする。《はらわた撃ち》《溶岩の投げ矢》《二股の稲妻》がある相手に《ちらつき鬼火》を残すのはうれしくないが《不毛の地の絞殺者》のコンボを成立させるために残している。

グリクシス死の影」の時にも説明したがこういう相手に墓地対策を入れてはいけない。相手の狙いは墓地ではない。ライフを狙う過程で墓地を使っているだけだ。

小技:《舞台照らし》、追放状態の《信仰無きものあさり》をエサに《不毛の地の絞殺者》の能力が使用できる。

発掘
in
+4《貪欲な罠》
+2《オルゾフの司教》
+2《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》
out
-4《ちらつき鬼火》
-4《難題の予見者》
予想される相手のサイドカード:《自然の要求》《稲妻の斧》《暗殺者の戦利品》

墓地対策を引き込めるかどうか以外に特にキーとなる要素は無いが、そのために積極的にマリガンする。《燃焼》と《稲妻の斧》を防ぐためだけに《ブレンタンの炉の世話人》をいれてはいけない。

《ちらつき鬼火》は《暗黒破》《ナルコメーバ》に弱く《難題の予見者》は死亡時に発掘が誘発してしまい、とんでもないことがおきるためサイドアウト必須だ。

青白コントロール/青白奇跡
in
+2《オルゾフの司教》
+1《不毛の地の絞殺者》
out
-3《流刑への道》
予想される相手のサイドカード:《機を見た援軍》《黎明をもたらす者ライラ》《悪斬の天使》

《オルゾフの司教》は《流刑への道》よりマシで《機を見た援軍》《瞬唱の魔道士》を綺麗にできるし一応という程度で入れているが《修復の天使》《黎明をもたらす者ライラ》《悪斬の天使》などを入れてくる相手も少なくないため2枚までなら流刑は残してもよい。

結局のところ悠々と天使を出されるということはもう場が大変な事になっているので流刑云々の話ではないのだけれども。

プレイの基本はクロックで圧をかけながら《潮の虚ろの漕ぎ手》や《難題の予見者》で適宜一番つらいカードを追放していくだけで、かなり有利な相手だ。追放する優先順位は《至高の評決》>3ターン目までの《時を解すもの、テフェリー》>《精神を刻むものジェイス》>《流刑への道》だが、ターン進行度合いにより変化していくので全体除去とPWだけは追放する点数を高めに見ておくイメージで良い。

《覆いを割く者、ナーセット》は無視だ。《霊気の薬瓶》をバウンスされたくないという理由で追放していたが、《時を解すもの、テフェリー》だが3ターン目以降はジェイスと追放優先度は逆になる。

・2マナクリーチャーのプレイ優先順
先手は最優先が《スレイベンの守護者、サリア》で攻撃後に《流刑への道》されなければ《レオニンの裁き人》でされた場合は《潮の虚ろの漕ぎ手》を出す。
《不毛の地の絞殺者》、《変位エルドラージ》は寺院経由で2ターン目に出せる場合は積極的に出していく。

どうせ《流刑への道》されるだけだがその目的でサイドから追加までしているので問題ない。パワーがあって攻撃できればなんでも良い。

《爆発域》を採用しているタイプも多く、《幽霊街》を《廃虚の地》で破壊されると後半になり《天界の列柱》を破壊できず損をするので、《幽霊街》は序盤にレオニンとのコンボを決められるなら使って良いが相手に4マナが揃った後なら1枚は場に出さず手札で温存する。


薬瓶デッキに共通していえることだが無駄に土地を置くとブラフもかけられないため6マナある場合、土地を出さず2枚くらいは手札で抱えよう。

小技その1:序盤限定だが《廃墟の地》の対象となった土地を《幽霊街》で破壊することで対象不適切となり能力が立ち消えるため相手の土地が減り、青青青も用意しづらくなる。このプレイは青白戦での基本。


小技その2:奇跡の誘発に対応して《霊気の薬瓶》から《潮の虚ろの漕ぎ手》か《難題の予見者》を出して《終末》を追放すれば奇跡が解決できず場を一掃されずに済む。

親和
先手
in
+2《致命的な一押し》
+2《オルゾフの司教》
+2《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》
+1《不毛の地の絞殺者》
out
-4《レオニンの裁き人》
-2《スレイベンの守護者、サリア》
-1《難題の予見者》
後手
in
+2《致命的な一押し》
+2《オルゾフの司教》
+2《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》
+1《不毛の地の絞殺者》
out
-3《レオニンの裁き人》
-4《難題の予見者》
予想される相手のサイドカード:《摩耗/損耗》《ギラプールの霊気格子》《急送》《実験の狂乱》《思考囲い》

今回、アーティファクト対策をまったく採用していないリストを紹介しているが、それでも相性は相手が《エーテリウムの達人》を2枚以上採用していないかぎりは五分だ。この組み合わせでは《鋼の監視者》フェイズ、《頭蓋囲い》フェイズ 《実験の狂乱》フェイズ3つの段階があり、すべてをいなすのが白黒側の勝ちパターンだ。

監視者は除去すればいいが《頭蓋囲い》は場に残り続けるため《変位エルドラージ》を引けているかどうかにかかっている。先手と後手でサリアと難題の枚数を調整しているのは《実験の狂乱》は最速ターンで出た瞬間にほぼ負けが確定してしまうためだ。

もしもしっかり対策を取りたいのなら親和側は《戦争の報い、禍汰奇》がすべてのカードの中で一番つらいので2、3枚採用しよう。

小技:《不毛の地の絞殺者》《変位エルドラージ》は欠色で無色のため《刻まれた勇者》をブロックできるし能力の対象にもできる。

今回のサイドボーディングガイドは以上だが、もし同アーキタイプで記載外のわからないサイドチェンジなどがあれば、僕のTwitterアカウント(@SAMURAIDRIVE_Tw)へ質問してくれて構わない。

その時は君のデッキリストも添えてくれるとより詳細な返答ができるだろう。僕もわからない相手や不正確な場合は君の意見とすり合わせてより良い答えを導き出せればとおもう。おすすめのサイドカードや構成なども教えてくれたら必ずオンラインリーグで1度は試すと約束する。

君がモダンで負けるワケ

スタンダードとリミテッドは勝てるのにモダンだけはどうしても勝てない、苦手という人が一定数存在する。(そして僕はモダンしかダメなタイプだ)得手不得手があるのは当たり前だし、それこそ本人が思っている「苦手」の基準が異常に厳しいパターンもあるのだが、これにはいくつか原因があるはずだ。思い当たる節はいくつかあるものの、すべてを説明するのは困難だろう。

そこで今回は僕が普段モダングランプリ前に行っているサイドボードの構築方法と注意点を中心にどうすればいいかを説明していく。

わざわざ購入してくださった方を長々と引っ張るのもどうかとおもうが、説得力を持たせるためにも次の数字をご覧いただこう。

ざっくり説明するとmtgeloproject.netという非公式サイトが全世界のGPとミシックチャンピオンシップに出た際の勝敗を記録し、世界TOP50名の勝率を現したもので下記は僕のモダンGPにおける勝率になる。

参加イベント母数が人により異なり、75マッチ以上モダンGPをプレイした人のみでの集計のため公平ではないし完全な強さの指針にはならないが、少なくとも僕がまったく的外れなことを言っているのではないことの補足とさせてもらいたい。

7イベント
63勝29敗
勝率68.5%

日本人は僕とカードラッシュスポンサードプロ高橋優太さんの2名で彼は海外遠征数が多く、僕の倍近くモダンGPをプレイしているのに画像の通りの勝率だ。誰もが認める実力者ではあるが、こうして数字で見ると一層彼の凄さが際立つ。しかも彼は全フォーマットで強者だ!

さて、手前味噌タイムはこれくらいにして本題に移ろう。

負ける理由その1:上だけをみて歩いている

スタンダードを主戦場としている場合、毎週移り変わるメタゲームを追いかけデッキリストの変化を分析して最も良いと思われるデッキを使うことになるが、この方法で同じようにモダングランプリにむけて準備した場合、上位10アーキタイプほどしか仮想敵として準備できないこととなる。すると当然視野も狭くなっているためサイドボードの構築も甘くなってしまう。

「5色人間」「イゼットフェニックス」「青白コントロール」「発掘」「ホガークヴァイン」「トロン」「赤単フェニックス」「バーン」「アミュレットタイタン」「タイタンシフト」これで10だ。

はて、それでは「ストーム」「親和」「感染」「ジャンド」「ブルームーン」「エルドラージトロン」「ジェスカイサヒーリ」「バントスピリット」「鱗神話」「マルドゥパイロマンサー」「ネオブランド」「アドグレイス」「エルフ」「ドルイドコンボ」「フェアリー」「ライブラリアウト」「マーフォーク」「青トロン」「ホロウワン」「赤緑ポンザ」「白単エメリア」「8hack」「純鋼ストーム」「小悪疫」「予言により死せる生」に対してどう立ち回るつもりなんだ?

モダンにはモダンの準備方法があり、最適なデッキを見つけるよりも最適なサイドボードをみつけることが、より重要だ。

僕はモダンの大会参加前は必ず上記少数派デッキについてもサイドチェンジを検討しているし、ひと一倍気にしている方だとおもうがもちろん検討した結果、サイドを用意しないとなることはある。

しかし、グランプリでは初日に当たりやすい少数派デッキこそ知識不足で足元をすくわれやすく危険で油断できない。君が0BYEなら尚の事だ。

たとえ興味が無いデッキだとしても、新セットが発売された後は更新されるたびにマジックオンライン上のリストをすべて見るくらいはしてもバチはあたらない。彼らは君よりもはるかに深くそのデッキのことを知っているし、ずっと考え続けている。

これを一言で表現すると「やりこみが重要」となるのだが、あまりにも省略が過ぎるので「少数派のデッキこそ勉強しよう」と伝えたい。モダンで勝つには予習の質が重要だと僕は思う。

負ける理由その2:「ふんわりサイド」で安心している

モダンで何故か支持されている謎の説がある。
「サイドボードは広く浅く用意しろ」だ。
これは《古えの遺恨》《仕組まれた爆薬》のように役割の似ている/一部被る部分のあるカードを1枚ずつ(たまに2枚)に分散させてサイドボード15枚を構築し対策が無くサイドチェンジできない相手を減らすというものだが、主に青いドローカードと《瞬唱の魔導士》が多く入り長い試合展開を想定しているデッキ、《召喚の調べ》や《異界の進化》が入っているデッキが取ることの出来る構築であって全てのデッキに対して適応できるものではない。

これが支持されるのは「何と当たるかわからないから全方位的に対策したい」という気持ちからだと思うが、しかしこれでは雑すぎる。

何と当たるかわからないフィールドに挑むとしても必ずその時々の参加者のデッキ選択や厚くしている対策など、一定の傾向はあるので勝ちたいのであればそのままにせず、面倒でも1大会ごとに練り直すべきだ。

また、「サイドが不要な相手」「無くてもなんとかなるかもしれない相手」はこれだけ多様なモダンであれば必ずあり、その方向性も似ていることが多い。

デッキを構築するにあたりその時々で環境全方位を見渡し、今何が存在するか、何が目立っているかを理解しよう。そして全方位の理解は必要でも全方位への対策は必要ないことも忘れずに。

白黒エルドラージタックス視点では青ベースのコントロールデッキと手札をそろえることがメインで盤面への干渉力が低いコンボデッキが「対策なしでOK」にあたる。ただし別デッキを対策した結果、偶然これらにサイドインするカードが用意できている場合もある。

6月23日現在のオンライン上のメタゲームでいうならば「ホガークヴァイン」の影響で墓地は異常なほど対策されているが、アーティファクトメインのデッキは大きく沈んでいる。環境にアーティファクトメインのデッキがいることを把握しつつもそちら方面の対策が不要だとわかる。

モダンのサイドボードは自身のメインボードではどうしても対応できない部分を補うためのカードを選び、適正ターンにプレイできるような枚数を積むべきだ。サイドインできる相手を増やして安心するためではないと心得よう。

対策カードは特にこの「適正ターン」にプレイできるかどうかで影響力が大きく変わってくるため、特定の対策は意識すると決めたのなら大きく厚く枠を割くべきだ。

もしも対策の割合がわからないのであれば、墓地対策は4枚、アーティファクト対策は3枚、《神々の憤怒》のような全体除去の追加は2枚からはじめていくのがいいだろう。もちろん、君が使うデッキの方向性次第で厚みは多少変化をつけてほしい。

そして、サイドボードを作る前はあまり難しく考えず、まず自分のデッキの有利不利を紙に書き出してみよう。

この時、何かの端末上で打ち込むのではなくアナログだが、でかい紙に殴り書くくらいがちょうどいい。授業中、君が昔よくやっていたアレだ。面倒でも頭だけで考えず必ず書こう。

やっていくうちにどんどん出てくるので、最初は1、2分でパッと思いつく範囲だけで構わないし、こういう地味な作業を癖つけておけば検討漏れも減っていく。書き終えたら不利なアーキタイプに共通項がないかを確認しよう。

色、キルターン、コンボ、コントロール、アグロのどこに属するか、流行のデッキか敬遠されがちか、負けるときのパターンなどなんでもいい。書きなぐった情報が多ければ多いほど原因の細分化はしやすくなる。

青白、ジェスカイ、エスパーコントロールに負けているとする。それは全体除去なのかプレインズウォーカーなのか、《流刑への道なのか》原因を割り出そう。もしも《流刑への道》なら撃たれる前提で少し重いサイドカードを採用してもいいし、マナフラッドで負けるなら土地をサイドアウトすることだってあり得る。

序盤は一気呵成にライフを攻めているのに《至高の評決》で負けてしまう?赤マナが出るのであれば《大いなるガルガドン》を採用し全体除去に合わせてすべて生贄とし、返しで大ダメージを与えてもいいしもっとシンプルに本体火力を検討してもいい。

突拍子もないカードや非現実的な対策もとりあえず書き出そう。練習中、最初は枚数比率を大きく間違えるかもしれないし、思いつきが裏目に出て、手酷く負けることもあるだろう。でも少しずつできるようになっていく。それが良いしそれで良いんだ。

負ける理由その3:情報収集不足・過多・思い込み

モダンのサイドボードを作り慣れ、習熟度も上がっていき、メタゲームの全体像を把握することができるようになったとしても、グランプリに参加するすべての人が君と同じように最先端の情報にアンテナを張っていると思わないことだ。

グランプリ参加者はそれぞれ出場理由や目標も違うため「とりあえず嗜みとして3枚」と《石のような静寂》や《古えの遺恨》が全く不要な環境でもそれらを積んでいることはザラにあるし時には《酸化》だって飛んでくる。

さらにグランプリ開催前週になると全国的に大会も多く開催されるため皆が、一気に伸びてくるものだし〇〇の立ち位置がよさそう、△△風向きがいい、あのデッキは〇〇に勝てない。など、いろんな表現を耳にしてもそれに惑わされず、直前でデッキ変更や入念な検討を経たはずのサイドボードに大きな変更を施さないようにすべきだ。

そういうことをずっと言っている人は自分が無策で困っているだけなので気にせず自分を信じよう。

情報収集の仕方も気を付けたほうが良い。モダンで開催されるグランプリやミシックチャンピオンシックなどに出場する場合、MTGgoldfishを信じるのはよくない。日本国内のイベントに出るのであれば、晴れる屋さんのデッキ検索システムが最も優秀だ。

メタゲームの更新スピードには若干のラグがあるし参加人数の少ない店舗大会結果なども入り混じっているが実はそれが一番大切な情報で、フィルタリング機能もあり国内の流行を見るにはベストだろう。


おわりに

最後まで読んでくれてありがとう。

購入してくれた君の期待には応えられただろうか?「普通」や「常識」に対して疑問を持ち再検証すること、サイドボードと準備の大切さが伝わっていると幸いだ。

モダン中級者の壁を乗り越えた君がグランプリ二日目進出と入賞することを本当に心から願っている。

それではまた、いずれ。

みっくす:(@SAMURAIDRIVE_Tw)



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