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最低賃金って??


最低賃金、全国平均で上昇額は最高額に!

2023年7月28日 中央最低賃金審議会が2023年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられ、公表されました。

各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク41円Bランク40円Cランク39円となり、今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。

もし、目安どおりとなれば、全国加重平均の上昇額は41円(昨年度は31円)となり、1978年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。ちなみに目安における2023年度の最低賃金予想は下記の表となります。


目安どおりとなった場合の最低賃金

最低賃金とは?

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

厚生労働省 「最低賃金制度とは」より

最低賃金は、冒頭に出た「中央最低賃金審議会」という公益代表、労働者代表、使用者代表で構成された会議で審議し、最低賃金の目安を決定します。次に、決定した目安の最低賃金を、各都道府県にある「地方最低賃金審議委員会」に持ち込み、その額の審議を行います。
地方最低賃金審議委員会で審議を経た額を、最終的に各都道府県の労務局長の判断により、正式な最低賃金が制定されますが、その適用は例年10月1日頃となっています。

最低賃金といっても、下記の2種類があります。

①地域別最低賃金
 地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働 
   くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都 
 道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。
 今回のテーマとなっているのが、この「地域別最低賃金」です。
②特定最低賃金
 特定最低賃金は、特定の産業について設定されている最低賃金です。関係 
 労使の申出に基づき最低賃金審議会の調査審議を経て、同審議会が地域別 
 最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業 
 について設定されています。
 2020年4月1日現在、全国で228件の最低賃金が定められ、この228件のう
 ち、227件は各都道府県内の特定の産業について決定されています。な
 お、1件については全国単位で定められている産業別最低賃金で、全国非
 金属鉱業最低賃金となります。

ちなみに、地域別最低賃金と産業別最低賃金の両方が適用される場合には、高い方の最低賃金で従業員の給与を計算しなければなりませんので、ご注意ください。

最低賃金が支払われているか?

支払われる賃金が最低賃金額以上かどうかは、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較してみることになります。

なお、最低賃金の対象となる賃金とは、毎月支払われる基本的な賃金のことですが、具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
① 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
② 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③ 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
④ 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
⑤ 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
⑥ 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

<比較>
(1) 時間給制の場合
 時間給≧最低賃金額(時間額)
(2) 日給制の場合
 日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
※ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、下記となります。
 日給≧最低賃金額(日額)
(3) 月給制の場合
 月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
 出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計 算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除し て時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。
(5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合
 例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合 は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計し たものと最低賃金額(時間額)を比較します。

とはいえ、自分で計算するのは難しいと思われた方、安心してください。厚労省では、最低賃金の比較checkサイトを設けています。
下記URLにアクセスをしてみて下さい。

最低賃金に満たない場合は、どうなる?

最低賃金に満たない場合、前出した厚労省の「最低賃金制度とは」に記載しているように、最低賃金額との差額の支払い義務があります。
また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則により50万円以下の罰金、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則30万円以下の罰金が定められています。

では、どうして最低賃金を支払われていないことが分かってしまうのか?

労働基準監督署では、臨検監督という立ち入り調査を行うことがあります。この調査、定期的に行われる調査の他、労働者の申告によって行われる調査があり、これにより最低賃金が支払われていないことが分かってしまいます。

臨検監督については、また別のテーマとしてお話しさせていただく予定ですが、立ち入り調査で最低賃金に満たない給与であったことが発見された場合、労働基準監督署からは是正勧告書、指導票が交付されます。
会社は、それに記されている期日までに、最低賃金との差額を支払う、報告書を提出するなど対応することとなります。

実は、最低賃金をうっかり下回っていたという、会社さん意外と多いです。
9月には最低賃金が確定された額を厚労省のサイトで公表されますので、ぜひ、忘れずチャックしてくださいね。

東京都新宿区の社会保険労務士 社労士法人サムライブレイン (sr-morita.jp)


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