『現代思想入門』を読むためのメモ(第五章 精神分析と現代思想──ラカン、ルジャンドル)

p.144
デリダ「真理の配達人」(『現代思想』1982年2月臨時増刊号「デリダ読本」に翻訳が掲載) … 名高いラカン批判の論文
東浩紀『存在論的、郵便的』 … デリダのラカン批判があってこそ書かれた
ドゥルーズ+ガタリ『アンチ・オイディプス』 … 精神分析批判によって欲望の新たな捉え方を打ち出した
p.146
「自由エネルギー原理」 … 脳科学の新しい理論。イギリスのフリストンらが提唱し、注目されている。精神分析とも親和性が高く、その観点からフロイトを再検討する論文も書かれている
p.148
ドゥルーズ『本能と制度』(1953) … ドゥルーズが若いときに編集した引用集。序文で、人間はたんに本能的な必要性で生きてるだけではない、ということを強調している
p.149
ドゥルーズ「本能と制度」(『哲学の教科書』加賀野秀一訳、河出文庫、2010年、75頁) … (引用)本能と呼ばれるもの〜新たな環境にもたらすことによって変形してしまう。
p.152
ジャン・ラプランシュ『精神分析における生と死』(1970) … すべての人間を倒錯的なものとして捉える発想。全部読むのは大変なので、第一章だけでも
p.158
カント『純粋理性批判』 … 実はラカンの理論はカントOSの現代版と言えるもの(想像界→感性、象徴界→悟性、現実界→物自体)
p.163
原和之『ラカン──哲学空間のエクソダス』 … 入門書。千葉の研究におけるラカン解釈は本書の影響を受けている
向井雅明『ラカン入門』 … 同上
片岡一竹『疾風怒濤精神分析入門──ジャック・ラカン的生き方のススメ』 … 最初に読むのにお勧め。この著者は実際に精神分析を受けており、精神分析実践の様子も具体的に描かれている
松本卓也『人はみな妄想する──ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』 … 新世代のラカン研究者・松本の説明は際立って明晰。必読書。索引があり、用語事典のようにも使える
p.163
千葉雅也『勉強の哲学』 … 理由の掘り下げにはキリがなく、無限に続く。このことを本書ではアイロニーと呼んだ
p.169
カント『純粋理性批判』 … 人間が経験しているのは現象であり、現象は感覚的なインプットと概念の組み合わせでできていて、その向こう側に本当の物自体があるのだが、物自体にはアクセスできない、という図式を提示した。これがラカンの三つの界とだいたい対応する
p.170
フーコー『言葉と物』 … 捉えきれないものを捉えようとして失敗し続ける人間という「空回り的人間像」のようなものが成立したのが近代。こうした近代的人間のあり方を示した
p.171
東浩紀『存在論的、郵便的』 … 否定神学という言い方で近現代の思想を捉えた。東において、「否定神学システム」の代表と見なされるのがラカンの理論
フーコー『言葉と物』 … いかに否定神学システムから逃れるかが問題にされたのが日本現代思想の特徴。その前提にあるのが本書
p.173
松本卓也『人はみな妄想する』 … その人の特異性、「存在の偏り」であるような症状をラカンは「サントーム」と呼ぶ。「サントーム」については本書を参照のこと


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