現地で感じた課題
地方創生とは
まず最近よく耳にする「地方創生」とは何か。
少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する。
簡単にいうと、地方の魅力発信や社会制度を充実したさせることによって、都心への人口集中を抑え、地方が活性化し、未来も今も都市だけでなく日本全体を活力のあるものにしていこうというものです。
まち・ひと・しごと創生
地方創生にあたって、現状とともに将来の姿を示し、今後目指すべき、将来の方向を掲示するのが「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」で、これは、平成26年に内閣が決定したものです。
ここでいうまち・ひと・しごとは次のような意味を持っています。
まち…国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営める地域社会の形成
ひと…地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保
しごと…地域における魅力ある多様な就業の機会の創出
日本の現状
①人口
少子高齢化は日本の大きな社会問題です。
人口ピラミッドの変化を見て分かる通り、働き手となる緑色の部分(20〜64歳)が2010年に人口の60%を締めていましたが、2040年には50%まで減少しています。これは日本の消費、経済力の低下に大きく影響を与えると考えられています。
②都市部への人口集中
次のグラフは2018年の総務省の人口推計をもとに、都道府県別に人口の増減を表したものです。
47都道府県中40都道府県が減少しているのがわかります。大学進学や就職などで地方から学生が都市部へ移動し、そのまま地元に戻らず暮らすというパターンが問題視されてきている。
「若者にとって、働く場所がなかったり、学びの場で魅力的なかったりしたら、東京へ行かざるを得ないという状況を変えなければならない。」
人口の都市部への流入は出生率にも関係してくるそうです。
この人口集中に歯止めをかけるためには、地方自体の魅力、制度に問題があるのではとおもいます。
地方といってもどんなところかイメージしにくいので、次は実際の地方にフォーカスを当ててみたいと思います。
栃木の地方活性化
私がインターンで関わっている、実際の地方活性化の取り組みについて紹介します。
場所は栃木県那須烏山市。宇都宮からローカル線である烏山線に乗って1時間の終点の地です。
皆さんの身近なところでいうと、2008年に公開された「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」の舞台、ロケ地となった地域です。
自然豊かで山々や田んぼが広がっている地域ですが、人口減少、農家の後継者不足が大きな問題となっています。
上の図が烏山市の総人口の推移です。
5年間ごとに1000人以上が減少しており、2040年には世田谷区の人口の50分の1にあたる、18500人にまでなってしまう予想です。
また、後継者不足に関しては、栄えていた商店街の店が次々と閉店や、果樹園の閉園が相次ぐなど、街自体の活気もないのが現状です。
実際に私が参加している取り組みは、
・廃校になった小学校を地域のコミュニティスペースにリノベーションする
・後継者のいないりんご園での手伝いや情報の発信
の2点です。
東京の大学生が中心に進めているのですが、2点とも市役所の人や地元の高校生、宇都宮大学の生徒など、地元の方と一緒に取り組んでいます。
活動をしていくなかで、現場で関わるからこそわかる地方創生の難しさがありました。
・新しいものが受け入れられない
高齢者のコミュニティが出来上がっているため、なにか新しいプロジェクトなどへの参加意欲がなく、なかなか認めてもらえない。
・情報発信の少なさ
後継者不足の大きな問題として、農家の方がご高齢で息子が継がないのでやめるというパターンがあり、その後の募集につながらないというところがあります。
・働き手不足
高校生までは市内にいるのですが、その後の20代〜40代がいないので、一番産業の担い手となる世代が都心へ行ってしまっている。
このような課題がありました。また、この前起こった台風の被害で川が氾濫し、多くの地域が浸水しました。その災害支援活動の場では、高齢者が高齢者の家のお手伝いをするという、若者不足の弊害が顕著に現れたように感じました。
地方活性化は一筋縄ではいかないと実感しました。しかし、関わるのをやめたとき、考えるのをやめたときが本当に日本が廃れてしまうときだとおもいます。3つ課題を挙げましたが、関わり続けることで関係性に変化があったり、認めてもらえたりすることもありました。
これから働き方も多様になるなかで、働く場所も自分で選べる時代が来ると思います。
私自身、田舎の自然が好きなので、将来的に地方にいながらお仕事ができればと思っています。
地方創生は社会で働く上で、人材業界で働く上で考えずにはいられない問題だとおもいます。
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