ことも食堂めぐり #2

オーガニックのお弁当

商店街で月に1回開催されているこども食堂。商店街の片隅にあったオーガニックの食材会社が、こどもの食育をサポートしたいからと、オーガニック弁当の提供の話をもちかけてきたらしい。それを受けて、地域で児童支援などの活動をしていた人たちが商店街の管理するコミュニティスペースを借り、温かいお味噌汁をつくってお弁当と一緒に提供する形のこども食堂がスタート。30食のお弁当を出していた。

コロナがやってきた

コロナになって、みんなでわいわい食べる、という、こども食堂ならではの活動ができなくなった。しかたないので、お弁当を配る形式にしたところ「それならいらない」という人もいたらしい。地域の居場所という役割を果たしていたのだろう。

お弁当配布の形式になって、小学生が減って、幼児連れの親子の受け取りが増えたというのも、居場所としての機能が低下して、育児支援という機能が強まったからだろう。それもまた、こども食堂からできる、こども支援のありかたの一つ。

憎っくきコロナ

長引くコロナの影響で、いろんな変化が起きた。一つは、オーガニックの食材会社の業績悪化。規模を縮小し、商店街から撤退。さらに無償提供だったお弁当は、低価格とはいえ、有償提供になった。

さらに、お弁当を受け取りにくる人も増えた。先着順で人数分くばっていたお弁当。配布するお弁当の数を少し増やしても、開始から20~30分でなくなってしまう。仕事帰りでは間に合わない。苦肉の策として、配布を一世帯一つにして、広く浅くいきわたるように変えた。

こども三人を連れて受け取りにきても一つ、乳児を抱っこして受け取りにきても一つ。いろいろな思いが頭をよぎる・・・。ここにも、もちろん、正解はない。

アウトリーチのむずかしさ

コロナはだいぶ落ち着いてきて、周囲の人たちの受け止め方も変わっている。ここのこども食堂も、タイミングをみはからって、これまで通り会食形式に戻すことを考えているらしい。でも、そうなったら、お弁当受け取りの常連の人の中には、来ない人も出てくるかもしれない。

お弁当の数に限りがある。資金にもマンパワーにも限りがある。団体として何を優先するか。それはどこでも、なんにでも言えることだけれど、やっぱり判断はむずかしい。

広く浅く、少しでも多くのこどもにお弁当がいきわたれば、その中に、本来アプローチしたかった、ほんとうに必要なこどもが含まれているかもしれない。そうあったら、いい、と思う。



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