モリゼミ オープンレクチャーvol.2 台湾

先日のデンマークに続き、今回は台湾。
人口:約2,360万人、面積は、九州よりやや小さめ、デンマークと同じくらいだ。GDPは、約5,900億ドルを稼ぎ出す。サービス業と製造業がメインの国。実は、モリゼミに参加する時、デンマークと台湾でかなり迷った。
両国とも未訪問だけど、地元に直通便のある台湾は、身近だし。でも、デンマークを選んだのは、台湾のテーマが、政治だったから。
正直、親日とか観光とかでないためイメージがわかなかったし。

今回のレクのタイトルは、”なぜ台湾で、市民主体の地域・社会づくりができたのか?
森さんの口からは知ってたようで知らない話が次々。
歴史、選挙などテーマが示される中、特に興味深かったのが、いわゆる市民参加のまちづくり。

ハードのURS(都市再生前線基地)と、ソフトのOPEN GREEN

URS(都市再生前線基地)

URS(Urban Regeneration Station)は、都市再生前線基地(1992~)歴史的文化的建築物や図書館、公民館など行政が、コンペ形式で市民、デザイナーなどから使用者を選び無償で貸す制度。ゼミ外で、空き家やまちづくりにもからむことのある自分としては、俄然興味の沸く制度だ。
これによりコミュニティーデザインも発達してきたようで、背景には、日本の有名建築家など関わり、建築物だけでなく地域のアーティストなどと一緒にコミュニティー、歴史を紡いできた事も関係しているみたいだ。台北のまちなかにもたくさんのURSが点在し、心地よい空間は観光名所にもなっている。


そして、この中で、行政の役割は、プラットフォーマー。人を繋げることを大事にしている。行政がネットワークを使って、使いたい人に主導権を渡している。

OPEN GREEN

Openとは、たれでも参加・利用できる開かれた場所をつくること。
Greenには、自然環境や緑を増やす、と言う意味のほかに、社会に良い、地域全体が良くなる。といったソーシャルな活動の意味合いもある。
そして、OPEN GREENは、日本のグッドデザイン賞にも選ばれている。

この制度は、マッチングファンドプロジェクトになっている。例えば、昔ながらの路地や空き地、地域が持つ空間の活用について、行政に要請するだけでなく、自分たちで組合を作って、パブリックスペースとしての計画を作り、行政提案することで、助成や人的ネットワークの情報提供を受けることができ、website、mapにも掲載される。そのことで、人が集まり、関わろうとする横のつながりが増える。出資する企業が現れることもある。
OPEN GREENは、占有地ではない。事業を行う人だけが利益を享受するわけではない。地域にとっても良いことを行うから、地域も後押しする。また、外部空間だけでなく、市民が集う建物(公民館など)も利用することがある。例えば、地域で使えるオープンキッチンや、DIYに使えるまちの工房などだ。

こうしたまちの人たちと行政との関係には、選挙で選ばれた地域の首長(自治会長のような役?)が、地域のコミュニティマネージャのような役割も担っているようだ。首長が、市民とともにまちづくりに取り組むため、市民も首長を選ぶことが、政治に関わることのトレーニングになっている面もあるらしい。

日本でも、リノベーション手法を使ったまちづくりや公民連携が進み初め、コロナ禍を受け、道路利用既成の緩和などさらに加速してきた感があり、期待したいところだ。
ただ、この動きが、台湾のように、政治参加まで広がって行くかといわれると、なかなか直接繋がりにくいと感じる。

地勢的にも、経済的にも、人口構成も似ている日本と台湾だが、政治への意識は大きく違いすぎる。
レクの最後に”今日の香港は明日の台湾”という言葉が紹介されていたが、やはり、中国本土との関係が大きく影響しているのか。

ともかく、台湾には、魅力的な食や観光名所だけでなく、そこに暮らす人たちが、自分たちの地域のまちづくりに主体的に関わることで、より魅力的なまちとして成り立っていることが分かった。
いかん。台湾に行きたい理由がまた増えてしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?