マイクロソフトの採用面接、古川ブログ再投稿_002

マイクロソフトの採用試験は現在電子化されて広く応募要項はインターネットで 公開されており、20数人の新入社員合格者に対して応募倍率は2千数百分の1だ と聞いたことがあります。 いつも社内で話をしているのは、最終学歴が高卒の 私(Sam)ではきっと一次試験で落ちてしまって、今のマイクロソフトには採用して貰え ないだろうな、と思う私なのですが...過去、マイクロソフトの社員の採用にあた り、私自身で2000人以上の方と個人面接をしたのではないかと思います。 マイ クロソフトの採用試験や面接では、何かシンプルな問題でありながら論理的に証明するのはとてもが難しい問題を与えてその人の賢さを探るという手法を使うの です。私が面接を場合によく使った方法は「貴方が一番好きな本」、「定期購読 している雑誌」、「最近観た映画もしくはテレビ番組」、「貴方の趣味の世 界」、「最近訪問した場所でお勧めは」、「好きなレストラン」、どれでも良い からテーマを自分で選んでそれを私に推薦してもらえませんか?という質問をしま す。
相手は採用面接に際しては、当然マイクロソフトに関することや、プロダクツのこと、はたまたプログラミング技術のことを聞いてくると思っているものだか ら、私の質問に結構動揺するのだけど...そんな質問をする理由は、未来を一緒に 創ろうってパートナーになるかも知れない人に、私たちがてがけた既に過去のこ とを聞いてもしょうがないので、面接する相手が現在の私たちに無いどのような 時代背景で育ち、どのようなことに関心を持ち、会社にどのような新しい風を持ち込んでくれるのかを嗅 ぎ分けるのです。
相手が映画や音楽の話を始めた時には、結構大変な試練が待ち受けています。 たとえば、
面接者:「宜しくお願いします。」
古川:「最近聴いた観た、もしくは昔から好きなジャンルの音楽か映画のタイトルは何?」
面接者:「映画では、TAXIなんて、面白かったですね」
古川:「へぇー、フランス版、アメリカ版? フランス版だったら TAXI の 1,2、それとも3?」

面接者:「えっ、フランス版ってのもあるんですか? えーと、黒人の女性が出ているヤツです?」
古川:「あーっ、Queen Latifahのアメリカ版ね、最近彼女は役者としても面白い 味出してるね、彼女は昔ラップの女王だったのだけど、最近 Jazzのスタンダード や昔のチューンで良い唄い方してるねぇ、オジサンは彼女の "夢のカリフォルニ ア“を聴くと、オリジナルのママス&パパスを思い出してしまうのさ、ところ でQueen LatifahのShampooって観たかな、これも70年代のTVドラマ シャンプー がモチーフなんだろうな」
面接者:「....」「....」 古川:「うん、私ばかり喋ってしまいゴメン、それで TAXIのどこがお勧めかな?」
面接者:「....」
古川:(心の中で、ほれ頑張れ、ウチに入ったらビルゲイツ君の前でもっと激しいスピードで質問攻め合い、こんなことも知らないで俺に意見する気か、と厳しい仕打ちが待っているんだぜぃ、君はそれに耐えるだけではなく、それを楽しむことが出来るかい???)
古川:「ごめん、話題を変えよう、どんな音楽が好き、アーティストは?」
面接者:「ロックは何でも聴きますけれど、シカゴは好きですね。」
古川:「へぇー、奇遇だね、シカゴは僕もChicagoのファーストアルバムではバ ンド名がシカゴ・トランジット・オーソリティって名前でシカゴ交通局って変な名前だったのを思い出すな、あの頃にあった曲でシカゴ暴動をモチーフにした のがあったな、シカゴのメンバーは自分たちをChicago Sevenになぞらえていたの かもね、ところで貴方が好きなシカゴの曲を5曲ぐらい教えてくれるかな?」
面接者:「えーと、”長い夜”とか」
古川:「25 or 6 to 4ね、僕もこの曲で4時25から6分前って英語の表現覚えた な..Chicago2だよね、最初の2枚組みアルバム、あの頃はまだ30cmLPだったな。そ の頃の時代であればボーカルは、ピーター・セテラとロバート・ラムどちらが好 きだった?」
面接者:「...」
古川:「他に好きな曲をもう2、3曲教えてよ?」
面接者:「そうですね、ハートブレーカーなんていいですね、良く聴きました」 古川:「へぇー、どんな感じのいつ頃の曲だっけ?」
面接者:「...」
古川:「僕の知っているハートブレーカーって曲は、古くはレイ・チャールズ、 もちろんレッド・ゼッペリン、FREE、そしてグランド・ファンク・レイルロー ドのハートブレーカーね、これらはみんな違う曲だけど、最近Pat Beneterが唄っ ているハートブレーカーはブロンディが唄っているのと同じ曲だよね?ところ で、シカゴはハートブレーカーという曲をやっていたっけ?」
面接者:「...」「...」「...」「...」 古川:「では、採否の結果は追って人事から連絡をしますから.今日はどうもあり
がとう」
面接者:「...」 撃沈!!!

というリズムとパターンで話は進行します。もちろん内容は、時には東京で一番旨いラーメン屋さんだったり、鴻上さんの演劇であったり、 BMWが好きです、 キューブリックが好きだの、ロスアンジェルスなら観光案内バッチリです、とい う話にアチコチ相手の一番好きな土俵で私が稽古をつけてあげるのですが、90% の方は撃沈されたままで面接が終わってしまいます。 別にイジメでやっている のではないのにねぇ..その面接をくぐってマイクロソフトに入社した人たちに後 から聞くと、「古川さんばかり喋っていて、自分は何を喋ったか覚えていない」 というのがよくあるパターンです。でもね、この領域だけは誰にも負けないって 分野で面接者がテーマに選んだ議論で私に挑みながら、その領域でも簡単に私に 撃沈されるようじゃマイクロソフトで生き抜くは難しいと思うので、お引取り願っていたわけです。
入社面接の時に、私が「学生の時にどんなハチャメチャな遊びをしましたか?」 という質問に対して、入社してその後、取締役にまでなった、 O氏(本人の名誉 のために敢えて名前は伏せますが..)はこんな話をしました。
「そうですね、皆で飲みに繰り出したときに友達の面子(メンツです、メンコで はありません)が足りないって話になりまして、当然その頃携帯なんて無いです から、公衆電話から友人の家に電話しても誰もいなかったんですよ」
「そこで、歩いていたらケンタッキー・フライドチキンの前にカーネル・サンダ ースの例の人形がありましてね、一緒に飲みに行こうと連れ出しました」
おいおい、180cmありそうなデカイ人形のあれかい?? 「2、3軒一緒に連れて飲みに行ったんですがね、あまりにもデカくて重たいので..」 おい、まさか途中で捨てたんじゃないだろうな?と訊いたら、何と
「捨てたら犯罪ですからねぇ、そのまま朝になってしまったんで、公衆電話ボッ クスに人形押し込んで、ケンタッキーの代表電話に電話しました。」
何、人形を拾いましたとか..連絡したのか? 「いえ、電話に向かって鼻をつまんだ声で、“おい、ワシじゃ、カーネル・サンダースじゃ、迎えの車を寄こしてくれ”って、連絡しました」 おいおい、それって立派な犯罪ではなかろうか?とは思ったのだけど、もう時効かな? 面接の結果は、“一芸に秀(ひい)でる人間として、即刻採用”となりました。 良い子は、こんなお馬鹿なこと、絶対にマネしちゃだめですよ !!
今は、マイクロソフトは現在も優秀な人材が沢山採用されているのだけど、最初 の頃に採用された人たちはフツーじゃない人ばかりだったのです。「変態!」と呼ばれると、褒められたと思ってしまう輩ばかり!
だから、「君の会社は、外資系ではなくて体育会系か動物園みたいだね」とお褒 めの言葉(なのかな)を頂いたことも度々ありました。はいっ、私は動物園の園長さ んか、サーカスの猛獣使いみたいな感覚で社長をやっていました。


では、ふるかわでした

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古川 享こと俗称「サム」は、アスキーに8年、Microsoftに20年、慶應義塾大学大学院に14年間勤めて、2020/3で定年を迎える65歳。残り35年は、「明るい大人の悪巧み団」の結成を考えています!
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