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SCENE9:「餅②」【メイキングオブ『ワンダーら』】

●シーン概略

ようやく折り返し地点、そして「餅」の2人が再登場する。彼らはロケットを製造する。


◎リフレイン

やはり同じ登場人物が現れるだけで、”縦軸”を感じて安心する。このリフレインによる効果は演劇から学んだところが大きい。ただのシーンの羅列から一気になにかを感じやすくなる(はず)。
この「餅」一連の展開上の都合もあるが、「ここで一度顔を出してもらって、読み手の気を引いてください」と彼らにオファーしたような感じでもある。

◎突然出来上がるロケット

「ウォレスとグルミット」オマージュについては①のほうでさんざ述べたが、もちろんこのシーンもそう。
というかマジで『チーズ・ホリデー』観てみてください!このシーンほどじゃないけど、ほんと「え、ロケット!?」ってなるから。まあ本家はもうちょい製作過程のシーンがあるしそこが楽しいんだけど。
というわけなので、本作においてもいきなりロケットを登場させることに。「マンガとは飛躍だ」というのは私が考えた言葉だが、まあでもこの断片羅列スタイルだからこそロケット製造の工程を思いっきり端折っても「登場してない間に造ったんだな」と感じられるからいいですね(?)。しかし我ながらタケノコをロケットに見立てるのはナイスアイデア……。

◎自動筆記がごとく

このシーン、「餅①」にもまして2人が勝手に動いた(まあ都合2ページしかないけど)。
台本の時点ではセリフのやりとりなどは書いておらず、ただ「ロケットを造る」という目的しかなかった。それがいきなりトンカチで指打っててびっくりする。実は前の「工場見学」とこのシーンの間に切り離した幻のシーン(「川①」解説参照)があってそことのしりとりの都合でもあったんだけど、にしても事前に決めてない指打ちが唐突に起こった。
23ページなんて丸々アドリブである。いきなり飛び降りるのもそうだし、「カグヤマン」に異を唱えるのとかも私自身「知らんがな」と他人事のように描いていた。モチーフがどうとか区別がつかなくなるとかメタいこと言い出すのも、作中の2人のやりとりを「なんかメタいこと言ってる…」と思いながら私がその場で書き起こしているような感覚だった。

◎裏設定というまでもない設定

ちなみに。
この「区別がつかなくなる」というメタセリフだけど、私がキャラの描き分けをサボったというほかに、バニーの方がクローンであるという裏設定が、あるっちゃある。=ないっちゃない。別に作品には関係ないので。
自分の遺伝子からクローンを造ってみたんだろうなあ、とは思っている。
なお完成後に、バニーの子がプレート持って会話してるのって『らんま1/2』の乱馬父やんけと気づいた。

◎(もしかしたら)ゴツボ☆マサル

①では参照元は石黒正数氏である(但し馴染みすぎてだいぶ独自解釈)と書いたが、このアドリブシーンを見ているとゴツボ☆マサル氏の匂いの方がしてくる。中学くらいにハマり『少年探偵 犬神ゲル』を読み耽っていたからな…(雑誌の抽選でサイン色紙当たったことあるんだぜ)。絵柄的にもギャグのノリ的にも(23ページ4コマ目とか)、ここはゴツボ氏だと分析。

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