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【百物語】大嶽丸

はじめに

大嶽丸の背景ストーリーです。

鈴鹿山の宝

宝探したちが陸を離れるとき、財宝と美しい夢を歌う。
風浪を突き進むとき、運も実力のうちと賛美する。
深海に沈んでいくとき、遺言は彼とともに海底に永眠する。

彼らが歌う鈴鹿山は、深海の果てにあり、天下の秘宝が収められ、鬼神たちに守られている。それは宝を求める者たちの一生の夢である。それは、往々にして見る者たちの命を奪う。

航海士たちにとって、もっとも危険なのは浪でもなければ、海獣でもない。
もっとも恐ろしいのは荒れ狂う荒波のあとに待ち構えている、鈴鹿山の守護神、大嶽丸である。

陰陽師大嶽丸伝記伝説
式神 大嶽丸

この大嶽丸様に挑む気か。

異聞によれば、大嶽丸は武力をもって鈴鹿山を支配し、もっとも貴重な宝をわがものにしている。
八尺瓊勾玉(やさかぎのまがたま)を手に入れた大嶽丸は、宝探したちを落胆させる恐ろしい怪談となった。

宝を欲する者に、死を。
侵入する者に、死を。
裏切り者に、死を。

しかし、宝の山の伝説は、いまだに大海原の奥底で微かな光を放ち続けている。
たとえ鈴鹿山に向かう海図を描ける者がいなくとも、異聞ひとつだけで船出する宝探したちは後を絶たない──行くがよい、陸と故郷に背を向けて出発する。荒々しい浪を越えると、鈴鹿山があなたを待っている。

陰陽師大嶽丸伝記伝説
覆土の術

俺らの鈴鹿山に近づくな!

お前が耳にした鈴鹿山の伝説は、全部本当だ。
だが、それを知ってどうする?
俺がいる限り、こっちの海域に近づくことすら不可能だ。
もし運よく嵐と大渦を乗り越えて、六種の海の妖怪から逃れても結局俺には勝てねえぞ。
鈴鹿山で、最強の妖怪は俺だ。
伝説のお宝の在り処は、俺が支配し、俺が守り続ける。
俺の許しがなければ、誰にも近づかせねぇ。
お前らの目的なんざお見通しだ。笑わせんな。

陰陽師大嶽丸伝記1
覚醒・大嶽丸

鈴鹿を敵に回す覚悟はできたか?

八尺瓊勾玉(やさかぎのまがたま)がわが手に渡った瞬間、吾はこの鈴鹿山でもっとも強き存在となった。
長年この鈴鹿山に眠る宝は、吾の息に同化され、吾の体の一部となった。

実に素晴らしい。吾が強ければ、このごちゃごちゃした奴らを守れるのだ。
鈴鹿山を守ることは重大な使命。だから吾は鈴鹿山の住人と約束をした。
吾とともにこの家を守る約束だ。

海妖は従わなければ殺す、住人も裏切ればその場で殺す。
よそ者が残りたいのなら……できなくはない。
本心からここを家だと思って、秘密を守ることを誓い、二度とここを離れないのなら。どうせ、ここの子供たちはやつらが持ってくる外の話が好きだしな。

鈴鹿山の住人は単純だが、愚かではない。
彼らはよくわかっている、誰が鈴鹿山を大切に思う仲間なのかを。

大海は鈴鹿山にとって最高の障壁だと海鳴は言う。
外界の欲望と我らを隔て、侵入を遠ざけてくれる。
だが吾は半信半疑だ。

時々大海も私の質問に答えてくれる。あいつがどこに行ったのかを教えてくれたり、海妖を殺したことを責めたり、または海の怪談を話してくれたりする。

この大海はいつも気まぐれで、吾のいうことを一度も聞いてくれなかった。
大海は吾と何の約束もしてくれなかった、鈴鹿山の秘密を守る約束もしてくれなかった。

ちっ、それならば、吾が自らそれを解決すればよい。吾は大嶽丸なのだ。

陰陽師大嶽丸絵巻お宝

あの子はいつも「若」と名乗り、長の威厳など気にしていませんでした。
彼が鈴鹿山でやり遂げたことだけでも、彼を王たらしめるのには十分すぎます。

しかしあの子はやはり足りないと思い、まだ続けたいのです。彼は鈴鹿山を大海の伝説にするつもりです。そして彼はついに成し遂げました。

しかし残念なことに、繁華はただ一粒の濁雨によって砕かれました。
鈴鹿山に一体何が起きたのか、今は私にもよくわかりません。はっきりと言えるのは、あの事件が彼を後戻りのできない旅路へと追い込んだということだけです。

「鈴鹿山が病気になった、俺たちは島の病を治すべきだ。」彼はそう言って、島の小さい子供たちに説明しました、なぜ海を渡るのか、なぜ見知らぬ土地に向かうのか。

勘のいい彼ですから、多かれ少なかれ気付いていたのでしょう。鈴鹿山はもうどうしようもないほど、深刻な状態であることに。

しかし彼にとって、島を砕いて肩で背負い、船に乗せることを選択してでも、島から離れるという選択だけはありませんでした。

鬼船は旅立ち、ここで生まれ、ここで育った子供達は故郷にしばしの別れを告げました。
残された島は、死の影の中で光が戻るのを待っています。

陰陽師麓鳴大嶽丸絵巻無力
陰陽師麓鳴大嶽丸絵巻再来
鈴鹿山の志

八尺瓊勾玉(やさかぎのまがたま)、俺に従え。

浮世青行燈
「堂々たる鈴鹿山の主、ようこそお出でくださいました。なんと珍しい。」
 鈴鹿御前
「珍しいと思っているようには、全く見えないが。」
 浮世青行燈
「察するに、あんたは鬼王の宴で何かを知ったんだろう。それで、あたいに何の用だい?」
 鈴鹿御前
「あなたは物語を司るあやかしだと、人々は言っている。「私をある物語の中に入れる」、この程度のことなら、あなたにだってできるだろう。」
 浮世青行燈
「なぜあたいがそのようなことを?物語の完結後に登場する「役」として、何をしてくれるんだい?」
 鈴鹿御前
「ちっ、お前は三途の川のあいつと一緒か。あんたらみたいなやつらと接するのは苦手だ。煮え切らないことばかり言って、はっきりしたらどうだ?」
浮世青行燈
「失礼。鈴鹿山の主はまことに海のように豪快だね。私に大嶽丸が都を進攻した経緯を再現して見せてほしいのはわかった。問題ない。だがその代わり、あんたを媒介として、物語の新たな可能性を集めさせてもらうよ。」
鈴鹿御前
「何をすればいい?」
浮世青行燈
「あんたは見ているだけでいい。物語の結末はもう決まっている。だが私はそれよりも、見たことのない物語に興味がある。いらっしゃい。大嶽丸がここで、どんな物語を残したのか、見せてあげよう……」

── 幻境の中へ ──
 
鈴鹿御前
「これがお前が構築した幻境か?ここは……鈴鹿山付近の海域!今の時間は?!」 
浮世青行燈
「ちょっとお待ち、物語りはまだ始まっていない。余計だとは思うが、一応確認させてくれ。まさか、既に起きたことを変えられると思っているのではないだろうね。」
鈴鹿御前
「わかった。大嶽丸がしでかしたこと、そして彼…彼の結末も、もう過ぎたことだ。」
浮世青行燈
「それで、あんたは何を得るために、この物語を見返すんだい?」
鈴鹿御前
「すべてを知りたい。私のいない間に大嶽丸は何を経験したのか、そして何を考えていたのかを知りたい。もちろんだ、何か手掛かりを見つけることができれば尚良いが。ん?あれは私の鬼船ではないか?!」
浮世青行燈
「おや?来たようだね。」
鈴鹿御前
「あいつが鈴鹿山の下に埋まっていた鬼船を動かしたのか?そんなことをしたら、鈴鹿山は……ええ、こ、これはどういうことだ?」
 
その時、海の向こうでは、海国の軍隊が準備をしている。
 
大嶽丸
「遠慮することはない、海の宝物を存分に使って強くなるがいい!我、大嶽丸は、ここで皆と約束する!俺は必ず皆を連れて、共に鈴鹿山の未来を取り戻す!
「海の向こうにある大地よ、海国の怒りを思い知れ!帆を上げろ!目標は……平安京だ!その第一歩が、荒川だ!」

陰陽師幻境試練・海国編
麓鳴・穿

俺の覚悟…試してみるか?

大嶽丸
「ここが荒川か?やはり鈴鹿山に劣らず美しい場所だ。友よ、許してくれ。」
鈴鹿御前
「私たちは今どこに?」
浮世青行燈
「ここは荒川、大嶽丸の都侵攻の最初の目標だよ。」
鈴鹿御前
「近海の川流か?川と坂を見れば分かる、ここは鈴鹿山のような平和な場所だと。血!戦闘はもう始まったのか?大嶽丸はどこだ?!」

一方、本当の戦場の中

久次良
「お前らしかいないのか?荒川の主はどっかに引っ込んでるのか?」
金魚姫
「オオバカは臆病じゃないわ!」
晴明
「罠にはまるな。彼は荒川のあやかしを追いかけていたのに、挑発ばかりして、手を出さない。荒川の主をおびき出そうとしているんだ。」
久次良
「悪あがきはやめろ。さっさと荒川の主を引き渡してくれれば、この戦争も早く終わる。」
晴明
「それほど荒川の主が怖いのか。ならばなぜわざわざここを攻めたんだ。」
久次良
「彼を警戒しているのもあるが…若には迷って欲しくないからだ。」
晴明
「残念だが望み通りには行かない。その傷だらけの姿から察するに、かなり長く戦ってきたようだな。今ならお前を退治できる。」
久次良
「…死と隣り合う身だ。久次良は決して後に引かない。」

陰陽師幻境試練・海国編
麓鳴・滅

故郷に戻るために…犠牲は必要だ。

鈴鹿御前
「彼らの表情がおかしい。何もかも顧みない興奮、そして厚く邪悪な殺気……我が鈴鹿山の妖怪に、こんな一面があるとは。」
浮世青行燈
「大嶽丸の配下の海妖たちは戦に長け、死を恐れず、敗退しても士気が下がることはないと人々が言っている。」
鈴鹿御前
「こんな戦い方は、まるで命を削っているみたいだ。海鳴に操られたのか?!こんな手段を使って仲間を、彼らを……」
浮世青行燈
「幻の情熱に溺れ、ふるさとを遠く離れた地で死にゆく。」
鈴鹿御前
「百物語の主は、はっきりと皮肉を言うんだね。」
浮世青行燈
「あたいは事実を述べたに過ぎない。」
鈴鹿御前
「大嶽丸は、なぜ海鳴が仲間の精神を操ることを放任していた?あれを許せると言うのか?!」
浮世青行燈
「噂をすれば、出てきたね。」
晴明
「戦線は終わった、お前の負けだ。」
大嶽丸
「勝敗はまだ決まってねえ!!」
源博雅
「ようやく大将のお出ましか。お前を倒せば海妖らも出て行ってくれるか!」
大嶽丸
「俺が現われたということは、お前らの実力が全て見抜かれたってことだ。鈴鹿山の民よ、我が命令を聞け!全員、進め!!」
金魚姫
「オオバカったら、一体どこに行ったのよ…」
七人岬・雲
「…やれやれ、もう少しで金魚ちゃんの首を取れたのに。」
驍浪荒川の主
「ふん。海妖ごときが、荒川の主を前にしてまだ足搔くのか?我の荒川に足を踏み入れるとは、死ぬ覚悟はできているのだろうな!」
大嶽丸
「下がってろ。彼は俺が相手してやる。」

驍浪荒川の主と大嶽丸が、激しい戦闘を繰り広げている。
荒川の主の出現によって、海国の侵攻が収まりつつある。

大嶽丸
「まだまだ!!お前とだけだ、こんなに痛快に戦えるのは!」
驍浪荒川の主
「ふん、攻めがあまりにも弱い、迷いがあるからだ!」
大嶽丸
「この一戦が鈴鹿山の民にとって何を意味するのか、お前にわかるものか。」
驍浪荒川の主
我が知っているのは、我のこの刀「海国作」は大切な親友からの贈り物だということだけだ。鈴鹿山のあやかしはこの刀のように血気盛んだと聞くが、何故海妖どもの言いなりに成り下がれようか!「川と海、いずれは合流するもの。」これは大嶽丸、汝の言葉ではなかったのか!
大嶽丸
「お前の「親友」とやらは、もう死んだんだろう。これだけは教えておく。荒川を攻略できるまで、絶対に手を引かない!」
白蔵主
「荒川の主が海妖の首領を引きつけているうちに、荒川の民の撤退を擁護しなければなりません!」
金魚姫
「くそっ!私がもっと強ければ……」
蟹姫
「若が戦っている隙に逃げるなんて、そうはいかないわ!待ちなさい!」
浮世青行燈
「……」
鈴鹿御前
「大嶽丸の「友達」を見るのは初めてだ。今になって、このような場所と状況で、彼の友に会うことになるとは。」

大嶽丸
「続けろ!荒川の主!」
驍浪荒川の主
「ふん、疲れ知らずなやつだ。チビ。あいつらを連れて撤退を……」
金魚姫
「なんだと?」
驍浪荒川の主
「撤退だ!」
金魚姫
「いや!最後の一息までここで戦うわ!」
驍浪荒川の主
「振り返って、我々の名前を見ろ。忘れるでない、荒川の主の本当の役目は、荒川の民を守ることだ。行け、我がいる限り、お主たちが海妖に追い付かれることはない。」
金魚姫
「オオバカ、ずるすぎるよ…」
鈴鹿御前
「本当に……」
源博雅
「荒川の主!その傷は!」
驍浪荒川の主
「ここは吾一人で守れば良い。汝らは早くチビと離れろ。」
源博雅
「無理するな。大嶽丸を止めたとしても、海妖の軍勢をどうやって一人で止めるっていうんだ!?」
八百比丘尼
「微力ながら、私の浄化で傷口の浸食を止めることはできます。海には因縁があります。私も残りましょう。彼らもまた都の敵でしょう?」
源博雅
「そうだ、俺たちはお前を見捨てたりしない!」
大嶽丸
「ふっ、荒川が負けを認めた。そう考えても良いだろう?この調子で行けば、我が軍はまもなくこの流域を一掃し、逃げ回るあやかしに追いつく」
驍浪荒川の主
「なんと言われようが、彼らの命を守るまでだ。汝のような強者には感心するが、無意味な殺戮は好まぬ。お主の背後にあるのは屍、我の背後にいるのは我が民……お主が勝てるわけはなかろう!汝らを止めるには吾一人で十分だ!」
大嶽丸
「諦めろ、友よ。」
驍浪荒川の主
「魂より創り出した結界!お主をこれ以上一歩も進ませぬ!!」

陰陽師幻境試練・海国編
麓鳴・轟

あきらめたらどうた?お前らの運命はもう決まっている。

大嶽丸
「荒川の結界は解けた。我が友よ。荒川を治めることは本望ではない。「目的」を達成するためには、ここを「占領」しなければならない。だが、全てが終わったら、荒川を本当の主に返すことを約束しよう。」
「平安京など恐れるに足りない!続けろ!!」

陰陽師幻境試練・海国編
麓鳴・襲

お前らの度胸は認めるが…勝利は鈴鹿山のものだ。

浮世青行燈
「大嶽丸が荒川から離れ、次々と逢魔ヶ原、七角山、黒夜山を攻め落とし、血祭の陣を残した。今、残りはこの難攻不落の地だけ……」
鈴鹿御前
「鬼域の入り口……大江山。」
浮世青行燈
「素晴らしい一戦だね。」
鈴鹿御前
「素晴らしい……」
浮世青行燈
「失礼、言い方が悪かったね。」
大嶽丸
「もうすぐ終わりだ……」
浮世青行燈
「都側は大嶽丸の侵攻路線から、彼が都及びその周辺で五芒星法陣を造ろうとしていることを推測した。大嶽丸は神器を利用して法陣を隠していた。道理で都は彼の次の行動を知っていながらも、阻止できなかったわけだ。大江山は、大嶽丸の都侵攻に対する、最後の砦だと言えるだろう。」
鈴鹿御前
「さぞ激しい戦いになるだろう。大江山のふもとに集まっているのは、人間の軍隊か?」
浮世青行燈
「あれは都の源氏の軍隊だね。この戦において、珍しく人間とあやかしが手を組み、共に敵に対抗する。」
大嶽丸
「やっと着いたな、最後の血祭の地。ふるさとに戻るまであと少しだ。俺はこの手で大江山の鬼王を倒す。」
浮世青行燈
「始まったね。」
酒呑童子
「ちっ、鬼船が来た途端に、海風の匂いが生臭くなったぜ。俺様の酒も不味くなった。源氏の部隊は大江山に集結した。俺たちをおとりにしたんだ。源氏がどうであれ、こんなに堂々と船を山頂に漕ぎつけるなんて、実に大胆だな。鬼の衆、俺様と共に出撃だ。」
大嶽丸
「大江山の妖怪はやはり強いが、水中での戦闘には慣れていないから、俺たちの奇襲に反抗することは難しいだろう。源氏の兵器には注意しなければならないが、奴らと大江山は互いに憚り、牽制しあっている。恐れるに足りない。先生の計画さえ成功すれば、この場を攻略し最後の血祭を執行できるだろう。あれは……何だ?」
酒呑童子
「好き放題やってくれたな!!」
大嶽丸
「ふん、その調子付いた赤髪、鬼王酒呑童子だろう。なら俺が、鬼王の頭をもう一度切り落としてやろう!」
茨木童子
「薄汚い海賊風情が、酒呑童子の髪一本でも触れる事ができると思うな。死にたくなければさっさと巣に戻れ!」
大嶽丸
「ふん、茨木童子のもう一本の腕も、俺が切り落としてやる!勝算のかけらもないのにかかってくるのか、ならばお望み通り!今日がお前らの命日だ!」
源頼光
「ふん、果たして誰の命日になるだろうな。行くぞ、鬼切!」
鬼切
「源頼光、お前の命令は必要ない、私は自ら動く!」
大嶽丸
「陸の妖怪たちが我らの後方へ回り込んだ?どうすれば水中でそんなに速く動くことが……まさか!大江山と源氏は、同盟を結んだのか?」
浮世青行燈
「源氏と大江山の協力に対し、大嶽丸は敗退していて、撤収せざるをえないように見える。」
鈴鹿御前
「彼処は既に山の最北端だ、大江山の辺境まで撤退するとは、何か策でもあるのか?」
浮世青行燈
「あんたの思った通りだ。」
白蔵主
「うわああ!!!あ、あれは!!津波だ!!!」
鈴鹿御前
「この規模の海水を召喚できるとは、海鳴の持つ力は一体……」
浮世青行燈
「海鳴が津波を召喚して源氏と大江山の者を蹴散らした。次の舞台は、大江山の山頂だよ。分散する前に、山頂の「鬼王座」に集合するよう、酒呑童子が命令を下した。海鳴が「鬼王座」付近に張った結界の罠が、山頂に集まっていた妖怪たちを閉じ込めた。」
酒呑童子
「どうなっている……?俺様は死んだのか?なぜ俺はこんなところで死んだんだ?少し油断しただけで、こんな様になったのか?悔しい……俺はまだ、死ねない。大江山、百鬼の衆、救えなかった奴と、晴らせなかった仇も…………俺は……立つのだ!」
大嶽丸
「フ、大江山の鬼王も、この程度か!首を刎ねられ、倒れ、地に伏して死を待つだけとは。」
酒呑童子
「俺様は、大江山を守れなかった。悪いな、みんな。俺様は今夜、やらねばならんことがある!夜が過ぎたら、新しい酒を開け、お前らを送ってやるからな!鈴鹿山の主、出てこい!」
大嶽丸
「よくぞ来た、大江山の鬼王!これでこそ、俺に倒される価値がある!」
酒呑童子
「かかってこい!大嶽丸!」

陰陽師幻境試練・海国編
無限剣獄

すべては鈴鹿山ののために!

大嶽丸
「根性は認めよう、そしてお前らの抵抗には敬意を表する。しかし今は、俺たちは既に「認められる」為にここに立ってるわけじゃねえ。「戦争」こそ問題を解決する方法だ!」
鈴鹿御前
「大嶽丸……「戦争」は本当に問題を解決できるのか……?」
大嶽丸
俺たちの鈴鹿山を取り戻すため、俺たちの故郷を元の姿に戻すためだ。この一戦は、絶対に負けねえ!俺が行ったことは全て、家に帰るために過ぎねえ。お前らから見て、俺は悪鬼に過ぎない。なら俺は悪を貫き通す!!かかってこい、平安京!

陰陽師幻境試練・海国編

浮世青行燈
「残念だけど、彼は成功しなかった。」
鈴鹿御前
「私は……私はわかっている。平安京を落したところで、鈴鹿山は救えない。」
海鳴
「わしはあなた様が平安京を新たな領地として、故郷を建て直すことを望んでおります。もし、もし若がいなければ、すべては意味を失うのです!」
大嶽丸
「海鳴、お前は本当に……」
晴明
「すべてが終わった。お前たちは海国の罪を償わなければいけない。」
大嶽丸
「この間違った戦争の引き金を引いたのは俺だ、俺が終わらせてやる……」
鈴鹿御前
「……」
海鳴
「若様!!!!」
蟹姫
「若様……若様!!!!蟹姫と約束したの、一緒に帰るって……」
浮世青行燈
「これが物語の結末だよ。どう思ったかい?」
鈴鹿御前
「三途の川から帰ってきて以来、色んなことが起きて、頭が追い付く前にすべてが終わってしまった。私からしてみれば、最後に大嶽丸と会ってから一ヶ月も経っていない。あいつと分かれた時の、彼の表情、彼の言葉、今もはっきりと覚えている。しかしたった今、私はゆっくりと気がついた、本当に数百年経ったんだと。あの子が幼い頃から、ずっと見てきた……大嶽丸、私の一番大切な人はもういない。」
鈴鹿御前
「大嶽丸……ほんとに…馬鹿なんだから……」

陰陽師幻境試練・海国編

鈴鹿山には数え切れないほどのお宝が眠ってる。

この伝説も、勿論本当だ。
一番狙われているのはこの八尺瓊勾玉だろう。

だが、こいつは俺のもんだ。残念だったな。
俺を倒すなんて寝言は言うなよ?俺は大嶽丸様だ。
神器も、書物も、真珠も、水晶も、お前らには指一本触れさせねぇ。

鈴鹿山の妖怪は財宝に溺れねえし、執着もしねえ。
俺たちにとって一番大事なものは鈴鹿山の木や草花だ。
誰であろうと、俺たちの物に手出しはさせねぇ。
金銀財宝も、葉っぱや花の一枚だってな。

鈴鹿山で一番の宝は、お互いのことを大切に想うここにいる妖怪達の絆だ。
鈴鹿山の妖怪にとって、この土地こそ、一番の大切なお宝だからな。

陰陽師大嶽丸伝記2


参考

おしまい

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