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【百物語】天井下

はじめに

天井下の背景ストーリーです。

待ち人

臆病な小妖怪。

人間が好きだが、近づく勇気がない。いつも屋根の下に隠れては人間の暮らしを観察している。あるありふれた雨の日に、屋根に変化した天井下はある出会いを目撃した。

少年少女のときめく恋心が彼女の世界を照らした。

どうかお幸せに。雨上がりの虹が見れますように。

陰陽師天井下式神絵巻
式神 天井下

私が見守ってきたあなた達。幸せになるのよ。

私は人間が好きだけど、怖いと思うこともある。
ずっと屋根裏に隠れて、こっそり人間のことを観察していたら、まるで自分の家にいるみたいに思えてくるの。
そこには、妖怪の世界では感じることのできない温かさがあったわ。

でも、その温かさは、泡のように脆いものだった。

陰陽師天井下伝記1
騒ぎ声

しっ。気づかれちゃ駄目。

ある日、私はまた人間に家を追い出されて、困り果てて近くの神社の屋根裏に隠れていたの。

陰陽師天井下伝記1
雨避け

今日はどんな人にあえるのかな。

大雨の日だったわ。
そこには少年と少女がいて、止まない大雨をしのぎながらおしゃべりしていたわ。

陰陽師天井下伝記1
歓喜の音

このようなことがあるなんて。本当に良かった。

だんだん意気投合していく二人を見ているうちに、私は二人のことがとても好きになった。そして、二人が幸せになるのを見てみたい!って思ったの。

雨が降るたびに、二人は以心伝心で気持ちが分かるかのように、神社にやってきては雨宿りをしていたわ。

雨は、二人の思いを伝いあう、恋の合図のようだったの。

陰陽師天井下伝記1
陰陽師天井下伝記2
破砕の音

は…早く逃げて!

二人の間の幸せは、ゆっくりと育まれていったけれど、突然の戦によって打ち砕かれてしまった。
甲冑をまとった少年は、屋根の下で少女と固く、一生の約束を交わしていた。

陰陽師天井下伝記2
輝きの音

あの人はいつ帰ってくるのかしら。

それからというもの、少女は神社に来るたびがっかりして帰っていくようになったわ。

あの少年は、一体どこにいるの!
彼女を迎えにくるって言っていたはずよ!

さらに長い年月が過ぎた。
私が見守っていた少女は、髪が白くなるまで待っていたけど、あの日以来、少年は二度と現れなかった。

そしてある日、とうとう少女も姿を見せなくなったわ。

陰陽師天井下伝記2
陰陽師天井下伝記3
覚醒・天井下

時が全てを解決するわ。

私は怒りをこらえきれなかった。二人とも約束が守れないなんて!

でも、もしこれから少年がやって来て、少女がいないことに気づいたら、どれほど傷つくでしょう!

それはいけないわ。私があの少女になりすまして、ずっと待っていたと伝えてあげる!
そう!もう何年も経っているのだから、別れた時の彼女の姿にならなきゃ彼に気づいてもらえないわ!

何十年かかるとしても、私は待ち続けるの。

天井下伝記3

参考

おしまい


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