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Malicetic Lolita 2ndシングル「DOLCE」

DOLCE」はMalicetic Lolitaの2ndシングルで、2014年8月17日のコミックマーケット86で発売されました。

お世話になっている制作会社がクラウドファンディング事業を始めるとのことで、新しい物好きとしては興味津々。とりあえず打ち合わせに行って話を聞いているうちにすっかりその気になりました。全然関係ないですが、打ち合わせの後にノリノリな気分で神田のから揚げ食べ放題の居酒屋に行った記憶があります。

おかげさまでクラウドファンディングは開始から17時間ほどで目標金額をクリアし、先にスタートしていたイオシスさんを出し抜き、最終的には237%を達成して大成功を収めました。皆様、その節はお世話になりました。どうもありがとうございます!大変ありがたかったですが、リターンを用意するのも大変でした。

制作環境としては、今まで24bit/48kHzで作っていたのですが、このCDから24bit/96kHzで作業するようになりました。当初は「どうせシンセの音だからハイレゾにしても関係ないかな?」と高を括っていたのですが、実際にやってみるとあまりの音質の違いにびっくり。アナログシンセの音は倍音が少ないように見えて結構上の方まで伸びているんですね。ミックスが終わった音源を聴いてあまりの質感の違い、というか、クリアさに魅了されました。

1.DOLCE

この曲は基本的にヨーロピアンなサウンドを狙っているんですが、途中からガムランが出てきたりして、一筋縄ではいかないマリロリワールドが繰り広げられています。

イメージ的には久石譲さんが歌っていた昼メロ主題歌「冬の旅人」の雰囲気を狙っています。あちらは「I Like Chopin」に似た、クラシカルなポップスですが…。とても名曲なんでぜひ聴いてみてください。と、いきなり宣伝。久石さんのあのボーカルがいいのに、なんで黒歴史みたいな扱いなんでしょうか?。ベルばらの主題歌とか好きな人は絶対気に入るはずです。

16分音符を多用したメロディーラインは、自分の中で「DiCE CREAM」の延長線上にあるんですが、サウンド的にはかなり異なります。メインのシンセはあくまでもProphet-5なのですが、部分的にNIのFM8を使っています。

またドラムのパターンが特徴的で、大好きなJapanの「Still Life In Mobile Homes」からヒントを得て考え付きました。Japanは1拍2拍にスネアが入るんですが、こちらは2拍3拍です。オリジナリティーがありますね…。個人的にマリロリの曲の中で一番ドラムが好きな曲です。

2.仇桜

説明するまでもなく、和風なサウンドです。デモの段階ではそれほどでもなかったのですが、アレンジしていたらイントロを入れた瞬間に完全に和風になりました。イントロの力って強力です。曲を生かすも殺すもイントロ次第。一歩間違えると危険ですらあります。

この曲も6/8です。完全にZABADAKの影響です。やはりFM8も使っています。むしろ初期のザバの雰囲気を出すために積極的にFM音源を使ってみました。しかし、メインはやはりProphet-5です。

イントロの笛の音ですが、ピッチベンドとかは使っていなくて、例のPOLY MODでOSC Aにフィルターのエンベロープをかけて作っています。レコーディングの時はちゃんと温めてチューニングしてから演奏しているので大丈夫ですが、ライブでやるとわりと音痴になりやすいです。ひそかに鬼門な曲でもあります。

3.DOLCE(instrumental)

いきなり印象的な鐘の音で始まるんですが、POLY MODを使った音色の常で「不協和音」とか「ピッチがおかしい」とか言われます(笑)。これはこういうものなんです!ロックのギタリストが歪ませて自己主張するように、自分はPOLY MODで複雑な倍音や曖昧なピッチ感を作り出して自己主張しています。って、字面にするとなんか弱いですね…。

FM音源のハープみたいなプラックの音を左右に飛ばすのは、イエスの「ロンリーハート」のパクりです。大人になったらいつかやってみようと思っていました。

4.仇桜(instrumental)

この曲はシンセサウンドのバックにサンプリング音が散りばめてありまして、ドアをノックする音に深いリバーブをかけた音がサビのところで鳴っていたりとか、Bメロからサビに入るところでうっすらと犬の鳴き声が入っていたりとか(斉藤由貴のスケバン刑事ED曲「白い炎」のパクり)、サビ終わりにガラスの割れる音とか…いろいろ遊んでいます。

あとスネアの鳴るタイミングでスネアのリバース音も一緒に鳴らしています。そうすることによって重さとインパクトが出ます。これはZABADAKの「シェラフィータ」という曲のパクりで、これもまた大人になったらいつかやってみようと思っていました。

そういえばこの曲もエレキが入っていないです。アコギオンリーです。

DOLCE MV

このCDにはクラウドファンディングで作られたミュージックビデオもあります。「DOLCE」の方は実写で、ミオヤマザキのMV制作にも関わっているかがみさんに監督をお願いして、池袋のスタジオと千葉の公園で撮影しました。

スタジオは若干時間をオーバーして延長料金を取られただけで、ほぼノートラブルだったのですが…公園にはちゃんと書類を提出して撮影許可を取ったのに、さらに安くない使用料も払ったのに担当者がいい加減で、後から「ここは地主さんの土地で公園の敷地じゃないんで撮影禁止です」とか言い出す始末。「注意書きも仕切りもないのにそんなの分かるか!先に言え」と怒鳴りそうになって飲み込みました。それも今ではいい思い出です。

ちなみにアー写もこの公園で撮りました。ちゃんと敷地内の撮影OKな場所で。

自分は出番が少なかったので、ほとんど運転手兼食事係でしたが、若い人たちと一緒に行動出来て楽しかったです。

仇桜 MV

「仇桜」の方は歌うイラストレーター秋赤音さんに作ってもらいました。アニメーションです。赤音さんがこの曲を気に入ってくれたのがきっかけですが、思いっきり本気で作り込まれていて焦りました。なんか申し訳ないです。

色鮮やかでありながら、どこかわびさびを感じさせる不思議な世界観。衣装はドレスですし、要素的には洋物の方が圧倒的に多いのですが、メインのモチーフである桜の花や、ちょっとした小物、色使いで和を感じさせるセンスは凄いと思います。日本酒のCMにも合いそうです。

当然のように、再生回数が他のマリロリ動画のダブルスコア以上です。

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