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気候変動サミットで感じたことと決意

4月22から23日、米国のバイデン大統領主催で気候サミット「Leaders’ Summit on Climate」がオンラインで開催された。

日本を含め、中国やインド、ロシアなど世界の首脳40人が参加した。

以下が参加国や団体のリスト

1.アンティグア・バーブーダ
2.アルゼンチン
3.オーストラリア
4.バングラディッシュ
5.ブータン
6.ブラジル
7.カナダ
8.チリ
9.中国の人民共和国
10.コロンビア
11.コンゴ民主共和国
12.デンマーク
13.欧州委員会
14.欧州理事会
15.フランス
16.ガボン
17.ドイツ
18.インド
19.インドネシア
20.イスラエル
21.イタリア
22.ジャマイカ
23.日本
24.ケニア
25.マーシャル諸島共和国
26.メキシコ
27.ニュージーランド
28.ナイジェリア
29.ノルウェー
30.ポーランド
31.韓国
32.ロシア連邦
33.サウジアラビア王国
34.シンガポール
35.南アフリカ共和国
36.スペイン
37.トルコ
38.アラブ首長国連邦
39.イギリス
40.ベトナム
(参照:THE WHITE HOUSE)
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2021/03/26/president-biden-invites-40-world-leaders-to-leaders-summit-on-climate/

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各国に5~6分間のスピーチの時間が与えられており、気候変動に対する課題認識温室効果ガスの削減目標と取組を表明した。
https://www.c-span.org/video/?511175-1/white-house-hosts-virtual-leaders-summit-climate-day-1

まず開催国としてバイデン大統領がトップバッターでスピーチが行われた。

[気候サミット バイデン大統領発言 全文(English)]
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2021/04/22/remarks-by-president-biden-at-the-virtual-leaders-summit-on-climate-opening-session/

冒頭での「気候変動問題に対するリーダーシップは、すべての国の人々、特に若い人々にこの瞬間を迎える準備ができていることを表明する」という言葉が、まさにこのコロナ渦で国を超えてオンライン上であらゆる世代が同時に見ている中、世界に伝えるメッセージとして、共通の課題を認識しそしてリーダーシップをもって行動していく。そんな意気込みを感じた。

You know, your leadership on this issue is a statement to the people of your nation and to the people of every nation, especially our young people, that we’re ready to meet this moment.
「気候変動問題に対するリーダーシップは、すべての国の人々、特に若い人々にこの瞬間を迎える準備ができていることを表明する」

また、クリーンテクノロジーが生み出されるインフラの構築についての言及は、これまでシェールガスなど国力の源泉となっていた巨大なインフラから、クリーンテクノロジー向けのインフラに投資していく。ここでいうインフラは、雇用を生み出すということにかかっていて、近代的な送電線の構築、メタンガスの漏れの防ぎ、電気自動車の製造、充電ステーションの設置、クリーンな鉄鋼やセメントの製造、二酸化炭素回収プラントや水素プラントの建設などを行い、クリーンエネルギーに投資をし温室効果ガスを削減することで、アメリカで何百万もの雇用を創出することにつながる。このあたりは日本はまだ踏み込めていない概念だなと感じた。

 I want to build a — a critical infrastructure to produce and deploy clean technology — both those we can harness today and those that we’ll invent tomorrow.
「私は、重要なインフラを構築したいと考えている。今活用できるクリーンテクノロジーと将来考案するクリーンテクノロジーの両方を、開発し、展開するためだ。」

クリーンエネルギーに投資することが、経済回復と国際競争力を高めることに繋がるという言及もあり、気候変動危機と戦うことが経済的にも豊かになると言っている。

You know, those that do take action and make bold investments in their people and clean energy future will win the good jobs of tomorrow, and make their economies more resilient and more competitive.
「行動を起こし、人々やクリーンエネルギーの未来のために大胆な投資を行った国は、将来の良い仕事を獲得し、経済の回復力と競争力を高めることができるでしょう。」

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次に日本の菅総理

[気候サミット 菅総理発言 全文(日本語)]
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100180268.pdf

米国訪問でジョーと親しくなった布石をさっそく回収。

「ジョーはじめ、皆さまとまたお目にかかれてうれしく思います。一週間前、私を温かくホワイトハウスに迎えていただいたことに、改めて感謝します。」

また、自分自身が総理就任直後に2050年カーボンニュートラルを宣言し、気候変動問題が人類全体で解決を目指すべき課題として認識していることを強調。

[2020年10月26日 菅首相 脱炭素社会宣言 全文書き起こし]
https://blog.enerbank.co.jp/ceoblog/suga/

そして、今回のサミットで日本にとって最も重要な温室効果ガスの削減目標を表明。2030年度に46%削減(2013年度対比)を目指すと。これまで2050年に対する具体的なマイルストンは示されてこなかったので、ポジティブな意味でのリスクのある大きな宣言をしたと思った。

地球規模の課題の解決に、わが国としても大きく踏み出します。2050年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、わが国は、2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指します。さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けてまいります。

これまでの目標を7割以上引き上げるもので、成長戦略として脱炭素化で日本のリーダーシップを発揮すると宣言

この46%の削減は、これまでの目標を7割以上引き上げるもので、決して容易なものではありません。しかしながら、世界のものづくりを支える国として、次なる成長戦略にふさわしいトップレベルの野心的な目標を掲げることで、わが国が世界の脱炭素化のリーダーシップをとっていきたいと考えています。

このあたりは先日3/11にトヨタ自動車 豊田社長が会見で発言した「現在の日本の電源構成のままだと国内で車が作れなくなる可能性がある」という内容とリンクしているように思う。46%が高い目標であることを認識しつつ、ものづくりを日本国内で維持、成長していくためには、なんとしても達成しないといけないという危機感も産業界にはあるのだろう。
https://jp.reuters.com/article/japan-auto-akio-toyoda-idJPKBN2B30RS

地域の取組に触れたことも印象的だった。ちょうど、国・地方脱炭素実現会議にて4月20日にまとめた100の都市での脱炭素の実現をここでも宣言した。ここは、現在、私がエナーバンクで取り組んでいる自治体のゼロ・カーボンシティの推進とつながってくるので、さらに力を入れていきたい。

また、国と地域が協力して、2030年までに、全国各地の100以上の地域で脱炭素の実現を目指します。食料・農林水産業において、生産力を向上させながら、持続性も確保するためのイノベーションの実現にも取り組んでまいります。さらに、サーキュラーエコノミーへの移行を進め、新産業や雇用を創出をします。

その他、インドや中国のスピーチも確認したが、触れると長くなりすぎるため今回はやめておく。リンクだけ置いておき、また時間があれば記載する。

[インド モディ首相スピーチ動画]
https://youtu.be/4L6VE6M1v_E

[中国 習近平国家主席スピーチ全文]
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/zgyw/t1870954.htm

未来への決意

タイトルに「気候変動サミットで感じたことと決意」と書いたので、最後に私がどのようにこの気候変動に向かってアクションするかを書いて終わろうと思う。

私が経営するエナーバンクは「エネルギーをもっとシンプルに」というミッションを持って創業した。これは複雑化する電力やエネルギーの制度、そして企業に環境配慮が求められる中で、電力やエネルギーを使用するすべての人々や企業 = 需要家に対して、公平公正かつわかりやすく情報を変換し、提供することで、自分の意思で選択しながらコストを抑制し、実現したい未来にチャレンジする、そのような事業を成し遂げたいと志し、現在メンバーと日々切磋琢磨しながら仕事をしている。

今回の気候変動サミットで各国のリーダーから発信された内容はそのど真ん中で、事業を早く広げていかないといけないし、エナーバンクが成長することで実現すべき世界を前倒しできると確信した

【決意
エナーバンクは電力オークションサービス「エネオク」と、環境価値取引プラットフォーム「グリーンチケット」の武器で、まずは日本の2030年の46%削減目標に必ず貢献し、貢献を毎年ホームページで可視化します。そして、世界中で気候変動と戦う優秀なテクノロジースタートアップと連携し、グローバルでエネルギー問題を解決に導きます。この2つを決意とします。


創業ストーリーにも書いたが、望んで、臨んで、悔しい思いもしながら今この場にいることの重要性を再確認し、迷わずに突き進んでいきたい。
https://blog.enerbank.co.jp/company/establish-story/

2021/4/25 気候サミットLeaders’ Summit on Climate後の決意
エナーバンク 代表取締役 村中 健一
https://www.enerbank.co.jp/


---過去ブログ---


いつも応援してくださる皆様に村中健一は支えられています.本当にありがとうございます.