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【1/3】スマートエネルギーでまちづくりを!~自治体が進めるRE100電力調達~(SCI-Jウェビナー全文)

ウェビナー概要
今回は、株式会社エナーバンクの村中健一氏、佐藤丞吾氏をゲストにお迎えします。株式会社エナーバンクは、企業や自治体の電力調達を効率化し地域のCO2削減や再生可能エネルギーを推進するスタートアップです。2020年10月にカーボンニュートラル宣言が行われ、自治体においてもSDGs・ゼロ・カーボンシティの取組が活性化しています。
その中でエナーバンクは、全国の電力会社が競争する、国内唯一のリバース(競り下げ方式)オークションプラットフォームを運営しています。
環境省や島根県益田市の公共施設への導入や、神奈川県、さいたま市と協定を結び地域の事業者向けの再エネオークションの実施など、すぐに実施できるソリューションをご紹介します。
電力リバースオークションサービスの強みや、自治体内で導入する際にハードルとなる課題の解決方法、実際にオークションを活用した再エネプランの導入事例や電力高騰の時事的な話題などを交えご紹介します。

登壇者紹介 村中 健一氏
株式会社エナーバンク 代表取締役

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登壇者紹介 佐藤 丞吾氏
株式会社エナーバンク 共同創業者COO

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ファシリテーション 杉原 美智子氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング LEAP OVER事業統括 
2005年にUFJ総合研究所に入社。官公庁におけるICT分野のベンチャー施策の立案・実行に従事。 2017年にOpen Innovation Platform LEAP OVERを立ち上げ、大企業や自治体によるオープンイノベーションを通してスタートアップをサポート。
MURCアクセラレータLEAP OVERの責任者をつとめる。

事務局 土屋 英敏
スマートシティ・インスティテュート事務局

はじめに

土屋さん みなさん、こんばんは。スマートシティ・インスティテュート事務局の土屋です。本日も私どものWebinarご視聴頂きまして誠にありがとうございます。今日はスタートアップシリーズということで、私が進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
コロナがどんどん大変になってきていますね。大阪もですが東京でもさらに一段と感染者が増え、ゴールデンウィーク迎えようというところで大変心配な状況です。

一方で、スマートシティ関連業界の我々の最大の関心事項は、スーパーシティ構想ですね。こちらの公募が先週4月16日金曜日に締め切られ、共同の場合も含めて31地域の自治体が応募されました。31の自治体の提案内容は内閣府さんのホームページ*1ですでに公開されていますので、すでにご覧になられた方もいらっしゃるかと思います。自治体の関心事項はある意味で似通っている部分が多いかな、という印象を受けます。
いろんな課題の中でも、データ活用型のスマートシティは注目ですが、エネルギーの問題はコロナ禍や災害の激甚化を受けて大変注目されているテーマかなと思います。カーボンニュートラル宣言が昨年発表されて、小泉大臣の旗振りの下ゼロカーボンシティが色々な自治体で宣言され、非常に大きな課題になっているわけです。
ということで、今日のテーマは、「スマートエネルギーでまちづくりを!~自治体が進めるRE100電力調達~」、として、エナーバンクの代表取締役社長の村中さん共同創業者の佐藤さんのお二人をゲストとしてお招きしております。
いつもの通りスタートアップシリーズのため、三菱UFJ リサーチ&コンサルティングの杉原さんにもご参加していただいています。
今日は再生エネルギーの活用につながるテーマのお話をしていただきます。お二人からプレゼンをしていただいて、その後に議論といういつものパターンです。視聴者の皆さんにお願いでございますが、チャットの機能を使ってご質問・ご意見ご感想を寄せて頂ければと思っています。

*1:スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する公募の応募状況についてhttps://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/supercity/supercity_sckoubo2.html

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前半 エナーバンク プレゼンテーション 電力リバースオークションについて(村中さん)

村中さん それでは、私の方からプレゼンテーションさせていただきますのでよろしくお願いします。

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「スマートエネルギーでまちづくりを!~自治体が進めるRE100電力調達~電力リバースオークションサービス」のご紹介を本日させていただきます。株式会社エナーバンク代表取締役の村中と申します。本日はどうぞよろしくお願い致します。
先程お話があった通り、脱炭素の動きや・コロナ後に、グローバルもしくは国内で再生可能エネルギーをどう普及させていくかという取り組みへ、自治体が非常に深く関わってきます。そこへ本日ご紹介させていくリバースオークションが現在導入されつつあるという流れを、背景も含めてご紹介させていただければと思っております。

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まずは、私の自己紹介になりますが、元々システム工学を専攻しておりまして、その後ソフトバンクに入社しております。経済産業省のプラットフォーム実証にソフトバンクとして関係する中で、電力自由化の流れや家庭・事業者が使用するデータを基にどういった新しい事業を作っていくかというビジネス実証に携わってきました。
その中で見えてきた課題に対して、よりフラットな立ち位置で仕事ができる場、つまり、エネルギーのデジタル化を考えていくところを目指して、2018年7月に会社を創業しております。現在、電力リバースオークションの「エネオク」と、環境価値取引の「グリーンチケット」というサービスを運営しております。

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エナーバンクの私たちのミッションは「エネルギーをもっとシンプルに」として、これを実現していくエネルギーテック、つまり、エネルギー・電力とIT・テクノロジーを掛けあわした領域で会社を運営しております。

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本日のテーマは2つの方向性でお話をさせていただきます。前半は私の方より電力リバースオークションについてご説明させていただいて、後半は具体的な自治体での取り組みを、佐藤の方からご説明させていただきます。

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はじめに、2050年のカーボンニュートラルの実現というところで、菅総理が10月26日に気候変動及び日本のカーボンニュートラルを2050年に達成することを宣言されました。それをもとに、ゼロカーボンシティの推進というところで、本日4月26日時点で全国372の自治体が表明している状況になります。

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2019年12月時点では32の自治体がゼロカーボンシティを宣言されていたのですが、現在は372の自治体にまで増えて2050年までに二酸化炭素排出実質0を実現する、ということを表明されています。1億1,011万人がこのゼロカーボン宣言している自治体の総人口になります。

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その中で、カーボンニュートラルをどう進めていくのかというロードマップが参考値として出ています。2019年時点では再生可能エネ比率が約18パーセントまで導入されているのですけど、これを2050年までに50%〜60%まで普及させていくというアグレッシブな方針が出まして、その中間目標として2030年までに22%〜24%に定めていこうという取り組みになっています。
この目標は電力会社さんだけが頑張って実現できるものではなく、地域内の再生可能エネルギーの普及や、民間事業者・自治体の公共施設へも再エネへの導入を加速させていかなければいけないという状況です。

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一方で、FIT制度(固定買取制度)の中で再エネ普及が取り組まれてきましたが、この再生可能エネルギーの賦課金の料金が年々上がってきて、2021年5月時点で3.36円/kWhまで上昇しています。
これは電気代に占める再生可能エネルギー賦課金が産業用で15%、家庭用で11%まで上がってきていて、何も対策をしないと電気代が上がってくるという状況になっています。なので、自治体、もしくは、民間事業者にとっても今すぐなんとかしていかなければいけない課題になりつつあります。

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2016年4月より、電力自由化がスタートしました。年々電力の切り替え率が高まってきて、2020年12月地点で19.9%が全国平均での比率(販売量ベース)です。小売電気事業者の登録者数は716社まで増えてきて、これは日本の中で電力事業が解放されてきて色々な事業体の方々が電力を供給できるようになってきているということを示しております。

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この中で、考えていくべき課題を今回インプットさせていただきますと、再エネ浸透は求められている上がっていくコストをどうにか抑えていかないといけないという掛け算の中で、どのように自治体さんが取り組んでいくかかというところです。そこに対して、我々は何ができるのかを本日ご紹介させていただきます。

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電力リバースオークション、エネオクについてです。

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エネオクは、全国の小売電気事業者さんの中から最安の電力契約を選定する、国内初の電力リバースオークションサービスになります。法人さん、もしくは、自治体さんにエネオクにご登録いただいて、過去12ヶ月の請求書情報をアップロードしていただきます。その中で下げオークションつまり競り下げの方式で小売電気事業者から入札を促していきます。例えば A 社が入札した後に 、B 社が A 社の入札を見ながらさらに安い価格を入札することや、 C 社が入札した後にさらに再入札することもできるという仕組みで、最安の小売電気事業者を見つけ出すというプラットフォームになっています。この中で需要者さんの方で、RE 100、もしくは、 CO2削減などの条件を付けながら電力契約を導けるというサービスになっております。動画をご用意させていただきましたので説明させていただきます。

ステップは3つになります。一つ目は、お客さんのオークションへの登録です。 WEB から簡単に登録ができるようなサービスになっております。エネオクと検索していただき、ホームページの右上の新規登録からメールアドレスを入力いただくと個社ごとにマイページが発行されます。こちらでオークションの新規登録をしていただいて、施設名や施設の用途を入力していただきます。そして、12ヶ月分の請求書情報をアップロードしていただきます。お客様にやっていただくのはこれだけです。あとはオークションが開始されるのを待っていただきます。
2つ目は、我々が、記載されているデータを全部可視化しcsv ファイルとして電力会社に配信をします。電力会社は、各個社のマイページで、今どんな案件が出ているかをチェックします。そこで見積もりを作成し、この案件だったらいくらで入札できるというのを決めていただいて入札をしていただく。これを繰り返し行います。お客さんのページでは入札がある毎に入札金額が確認でき、どんどんコストが削減されていきます。
最後の3つ目は、2週間でオークションを終了し、チャットで電力会社とお客さんが直接やりとりをしながら契約交渉を進めていただき、安心して電力会社を選んでいただくことが可能になります。
こういったところを全てデジタルの中で実現しているのがエネオクサービスになります。

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エネオクには3つの特徴があります。①透明性があること、②リバースオークションで比較検討ができること、③さらに最短3週間の中でオークション開始から契約成立まで進むことができることができることです。

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こちらがエネオクの実績になります。2019年1月から開始させていただき、昨年6月時点で452施設、総取扱金額としては42億円の実績があります。現時点では800〜900施設ほどで、電力オークションを使っていただいている状況になります。

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この中で、我々電力リバースオークションが、環境省が提供する「公共機関のための再エネ調達ガイド」に掲載され、また、環境省さんにエネオクを使っていただきました。環境省さんの施設で、例えば吉野管理事務所や土佐清水自然保護官事務所で使っていただいており、RE100の条件を設定し切り替えを行いそれぞれ削減率18.6%、22.1%を達成できております。

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この結果、小泉環境大臣の方から、電力リバースオークション活用した結果として、再エネ比率を上げることでコストが上げるわけではないということを関係者自らが示したと記者会見の中で発表していただき、その結果、エネオクが自治体さんや環境省さんで広く使われるようになってきております。

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リバースオークションの仕組みですが、通常再エネを調達していくと再エネ価値の部分に対して、コストが上がる傾向にあるのですけども、これはリバースオークションでコストダウンを図ることによって、現在と同じ、もしくは、現在よりも安くなる可能性を最後まで導いていく。必ずしも安くなるわけではないが、適正な価格を再生可能エネルギーにおいても導き出すところが特長になっております。

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特にゼロカーボンシティを宣言されている自治体さんより、全国からお問い合わせを頂いている状況です。

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大きな発表としては、さいたま市さんと協定書を結ばせていただいたり、神奈川県の黒岩知事とは低炭素電力の調達の推進の取り組みをさせていただいたりしております。

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共同事業として、「さいたま再エネプロジェクト〜選ぼう、再エネ〜」で、自治体さんと共同で、地域の事業者向けにRE 100の電力を調達する仕組みを弊社と一緒に推進していく取り組みをさせていただいております。自治体の方から周知していただいて我々のリバースオークションを活用していただくことで、地域内の再エネ事業者もしくは全国の再エネ事業者から入札していただいて地域の事業者の再生可能エネルギーの切り替えを誘導していきます。

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こういった中で環境省さんや地域の自治体の公共施設向けというところでエネオクを活用していただき、再生可能エネルギーを選択しやすい環境づくりの取り組みをさせていただいております。

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我々はこういったコスト削減という形でエネオク事業を始め、今後は省エネサービスや太陽光蓄電池の導、PPAのモデルや電力の共同調達事業を進めながら、地域の事業者もしくは公共施設の RE100やSDGsの推進を強化してまいります。

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再エネが浸透する仕組みを一緒に作り上げていきましょう。
この後、佐藤の方より具体的な導入実績というところをご紹介させていただきます。

リバースオークション検討の自治体の方、エネオクのパートナーの方、検討頂いている小売電気事業者の方、お問い合わせを広く受け付けておりますのでお願いします。私のプレゼンテーションは以上になります。

① リバースオークション検討の自治体の方
② エネオクのパートナーの方
③ 小売電気事業者の方
Mail:info@enerbank.jp Tel:03-6868-8463
担当 村中、佐藤

↓↓↓↓ 2/3 佐藤さんプレゼンテーションはこちら ↓↓↓↓

• 登壇者資料
https://www.sci-japan.or.jp/vc-files/member/secure/speakers/20210421.pdf

・登壇動画


いつも応援してくださる皆様に村中健一は支えられています.本当にありがとうございます.