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今朝のブレイクスルー

2024.5/3
前回の記事が確定申告だったから、あっという間に怒涛の春の、前半を通過していた。

春休みを通過し、子どもの習い事の発表会が4月のあたまにあり、そのまま本業の繁忙期に突入し、このGWでは小休止。

5/1.2あたりも自分を取り戻すには充分な知らせや語り合いが友達と持てて、それを久しぶりに文章に起こそうかな…と思っていたのだけれど(だいたいnoteに触れることができる時間ができたってことが、もう自分取り戻し期間に入れたってことで、かなり嬉しい)

今朝の出来事があまりに印象的だったので。

今朝、猫のお世話の時になんとなく自分の本棚に目をやると(猫のケージの隣に本棚がある)、ふとサン=テグジュペリの星の王子さまのポップアップ絵本と目が合った。

あー、これこれ、かつての会社の上司がふいに事務担当の女性4人にプレゼントしてくれたんだよね。
その上司は本の虫で古書大好き。神戸のアーケードの古書店(今はまだあるのか不明)の話など、沢山聞かせてくれた。

久しぶりに開いたら、いつもの水彩の柔らかな星の王子さまと惑星の絵で、この世界が好きだったなあ、と思い出した。


今年のまだ寒い頃に、友達の所属するグループの子供WSイベントがあるというので、娘の希望で参加した。

いつもなら娘だけ放り込んで、私は会場を離れたりするのだけど、次から次へと友達がやってくるもんで、思わず話し込んだりしているうちに娘の申し込んだ講座も始まり、私はどこかへお出かけするには時間が足りなくなった。

なんとなくブラブラしていると、友達担当の絵の具を使うコーナーで、「大人もやってえんで。やってったらええやん」とのことで、甘えることにした。

そのWSは図書館などの廃棄対象の本や新聞を切り抜いて、活字や文章と自分で書く絵のコラージュ絵本をつくろう、というもので、これまた久しぶりに宮沢賢治に会った。

ところどころ既に切り取られていたけれど、カムパネルラ、と書いてあって、ああ、あれかあ、なんて思いながら切り出す文章を探してみると、ある。
ありすぎる。
どれもよくて、どれも素敵で、どれもウィットに富んでいて、どれも優しく、どれも寂しい。

宮沢賢治ってすごいんだな、とこの歳になってやっと気付いた。

小学生の時の読書感想文で、「注文の多い料理店」を題名だけで購入して後悔した。
展開は面白いと思ったけど、オチが小学生の私にはいまいち響かなかった。
なんかこう、もっと、がっ!と、そうくるかあー!という驚きやどんでん返しがオチ、と認識していたからか、

すん

と終わる文章に物足りなさを感じたんだと思う。すん、ではないにしても、もっと何かしらの展開が欲しかったんだろうなあ。今思うとなかなかなオチだと思うんだけど。

そして装丁の絵もこども心には響かず、いつしか本棚に置かれっぱなしで、いつしか消えていた。

サン=テグジュペリの星の王子さまもこども時代に出会っているけれど、こども心にもとても素敵な世界と感じた。
注文の多い料理店のようにならなかったのは、読んだ時期が宮沢賢治よりもう少し後で、精神が少し成長していたんだと思う。

宮沢賢治の素晴らしいが詰まった一文にやっと気付けて、久しぶりに星の王子さまをめくり、この2人の雰囲気はとても似ていると感じた。

どれもよくて、どれも素敵で、どれもウィットに富んでいて、どれも優しく、どれも寂しい。

この二人の作品が本棚からなかなか取り出されなかったのは、彼らのこの世の去り方が、こどもの私には悲しく、なんとなく辛かったからかもしれない。
本人たちは幸せを感じて去っていったのかもしれない、と今なら思う。


星の王子さまの本をプレゼントしてくれた、あの課長元気にしてるかなあ…。
昨年末、定年退職後の継続雇用も期限がやってきて、退職なさったと聞いた。

課長は、仕事以外は8割、仕事は3割ほど嘘を交えるクセモノな方だったため、しかも真顔で極めてナチュラルに嘘を付くため全く見抜けず、本人知らぬところで嘘が広がる、というなかなかな状況を作り出す天才であった。

人を傷つける嘘はなかったので、例えば、声の良い社員をあの人は合唱部だったからねー、と課長が話していたので本人に聞いてみると、運動部だった…とか。
たまに昼休みにたいやき買ってきてくれたりして、普通に昼休みオーバして帰ってくる姿は、オカタイ職場に上司自ら潤いを与えていたと思う。もちろん本人は極めてナチュラルなだけで、意図していたのかどうかは分からないけれど。

ポップアップ絵本を閉じようとしたら、裏表紙に付箋(しかもかわいいの)が貼ってあって、

素直に喜ぼお!

と鉛筆で書いてあった。
それを見て、少し泣けた。
今も昔も、特にここ最近の今は、なかなか素直に喜ぶことが更に下手になっていて、ズドンと心にきた。

当時は、可愛い本を贈ってもらえて「素直に喜ぼお」だと思っていたし(本にはピンクのリボンがついている)、このプレゼントの前に、クリスマスあたりに本を配布してくれたときは、私宛の本が「爬虫類」(好きだけどさ)だったからかもしれないけど。

そしてケースに、当時包んでくれていた封筒も折りたたんで滑り込ませていたようで(私が)

ガーリーへ
(次女)

と書かれていた。
そうか、私はガーリーなのかあ。
自分の作るフェルトの作品たちは、いつもどこかしらガーリーで、意識はしたことなかったけれど、なんだかいつも、どうにか可愛くなっちゃうなあ…とは思っていた。

当時はカッチョイイ系デキる社員を目指していて
は?私がガーリーって、課長いったいどこみてんだか?
と思っていたけれど、見抜かれていたように思う。

当時、事務の仕事は女性4人で従事していて、私達は「若草物語」の四姉妹ととても特性が似ていたと思う。
今の私はとてもジョーとかけ離れているし、同僚の彼女たちも今はどうかはわからないけれど、当時の気質は若草物語そのものだったな。鼻息荒かった。

そして課長も若草物語ではないかもしれないけれど、私達を長女、次女(二女)、三女、四女と認識していたのが面白い。因みに次女の私と三女の彼女は同い年。彼女はベスみたいに優しく柔らかく心の強い方だった。
ブイブイ鼻息荒い気質の人は、意外にかわいいものが好きかもしれない。

課長、元気にしてるかな。
なんだか色々感じさせてくれた、今朝の偶然の出来事でした。この偶然がなにかしらの布石になっている気がする。。。

ちょっと全部、読み返そうと思っている。
そして昼間に本屋で見つけられたのは、文庫版星の王子さまのみ。今よみたいのは、どちらかというと若草物語かなあ…。
ちょっと後でまた、別の本屋さん行ってみようかな。

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