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「カトリック学校における教育の宗教的次元 ―評価と刷新のためのガイドライン-」④下「第四部 授業における宗教教育と教育における宗教的次元」


こんにちは、Salt運営員会委員の小林由加です。④上に続く④下では、いよいよ宗教教育のコンテンツや技法、それにかかわる宗教科教員や養成に求められていることをご紹介します。
 
(三)キリスト教の出来事とメッセージを体系的に示すためのアウトライン
 カトリック学校の宗教教育に求められることは、生徒がイエスを知り、イエスの呼びかけを自分への招きとして聞くようになることです。授業のレベルに合わせ、聖書の基礎知識、福音と神の啓示、教会の伝統を示しますが、中心はイエスが救い主であると生徒自身が発見することです。教師は、生徒の善き意志と恩恵に協力し、生徒が自分の中にある神秘に気づくように手助けをする役割なのです。教え込むのではなく、手助けがポイントです。
 
(四)キリスト教的生活を体系的に提示するためのアウトライン
 キリスト教的生活には、キリスト教倫理の理解と実践、信仰生活を助ける個人の祈りや共同体の典礼、キリスト教的社会倫理の学びと良心の糾明などが含まれます。教師は生徒たちが全人的な人格形成のプロセスを理解し、実現できるように導かねばなりません。生徒たちが、イエスの言葉と模範に、生活のためのインスピレーションを見出すとき、神の似姿へと成長して行きます。
 
(五)宗教科の教師
 宗教科の教師に求められる像とはどのようなものでしょうか。
 「宗教教育の有効性は、宗教科教師の示す個人的な信仰の証しと堅く結びついており、この証しが授業内容にいのちを与えるのである。それゆえ宗教科の教師は、自然的にも超自然的にも多くの賜物に恵まれていて、その恵みを証しすることができる男女でなければならない。また彼らは、文化的にも専門的にも教育学においても徹底した養成を受けていなければならないし、真の対話ができる人物でなければならない」 
 
 そして、宗教科教員の養成のために何が必要なのでしょうか。
「今日のカトリック学校では、信徒の宗教科教員数が増加傾向にある。司祭や修道者が養成課程で自ずと身に着けるキリストの死の五と教会の神秘についての特別な経験に基づいた知識を、信徒の宗教科教員も身に着ける機会が提供されるべきである。そのため、私たちは未来を見据え、宗教科教員のための養成センターを設立する計画を進める必要がある。また、カトリック教会の大学や学部は、将来宗教科を担当する学生が期待に見合った有能さと適正をもって職務を果たすことができるようになるための相応しい養成プログラムを準備するために、なしうることを行わなければならない。」
 
 今回の記事の紹介を通して、私自身も宗教科教員の一人として、また大学で宗教科の教員の養成にかかわる一人として、自分を見つめる機会を与えられたと思います。ここに示された教師像には遠いですが、希望を持って歩みたいです。

・「カトリック学校における教育の宗教的次元―評価と刷新のためのガイドライン-」(1988年公布カトリック教育省文書)解説・翻訳 浦善考、『神学ダイジェクト113号』上智大学神学会神学ダイジェスト編集委員会、2011年。
・『キリスト教的教育に関する宣言』(『第2バチカン公会議公文書全集』)サンパウロ、2001年。

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