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国際バカロレアの教育から学ぶ4

 前回に引き続き、「IBの学習者像」から、カトリック学校が学べることを考えてみます。今回のテーマは、「一貫教育」についてです。

 実は「IBの学習者像」は、国際バカロレアの教育が始まったときから掲げられていたわけではありません。学習者像は1990年代、国際バカロレア機構(IBO)が大きな転換期を迎えた頃に正式に取り入れられました。

 1990年代、IBOは就学前から大学進学前までの一貫した教育プログラムを提供する機関となっていました。1994年には中等教育プログラム(MYP)を、1997年には初等教育プログラム(PYP)を正式にIBOの一員とすることを決定していました(MYPはディプロマプログラム(DP)に接続するカリキュラムとして国際学校の教師たちによって開発されていました。PYPは、International Schools Curriculum Project(ISCP)で開発が進めらていたプログラムです)。

 3つのプログラムは、相互に影響し合いながらカリキュラム開発を進めました。
 学習者像は、カリキュラムの質を保障するためにPYPで考案されていた「児童像(Student profile)」がもとになっています。「IBの学習者像」は、PYPでどのような児童に育ってほしいか、との議論の末に作成されていた「児童像」を多少変更し、2006年に発表されました。以降、学習者像はすべてのプログラムで使用されることになったのです。

 「学習者像」は、児童・生徒の発達段階に応じて、教育活動の中で活用することが目指されています。一貫校としてIB教育に取り組まれている学校の先生は、学習者像を用いることで、子どもたちの学習がスパイラルに広がっていくことを実感されているとお話しくださいました。

 日本のカトリック学校の中にも、一貫教育を実践されている学校がたくさんあります。
 教育の一貫性を担保するために、どのような取り組みをされていますか?
 異なる学校種の先生方と、どのようなお話をされていますか?
 Saltは今後、様々な学校種の先生方が、実践を学び合う場となることを目指しています!

〇参考文献
International Baccalaureate Organization, History of the Primary Years Programme, 2013.

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