国際バカロレアの教育から学ぶ1
はじめまして。
Salt 運営委員会の有馬実世と申します。
大学卒業後、2校のカトリック学校で教えていました。
今は大学院で、国際バカロレア(International Baccalaureate、IB)の教育をフィールドに、教育評価の研究に取り組んでいます。
このコラムでは、カトリック教育のあり方について考えるための視点を、IB教育から得てみたいと思います。
それぞれのカトリック学校の教育を振り返り、これからの教育のあり方に、その豊かさを生かすためのヒントとなれば幸いです。
初回は、なぜ、IBの教育から学ぶのか、について考えてみます。
IBの教育は、ジュネーブに本部をもつ国際バカロレア機構(International Baccalaureate Organization、IBO)が提供する国際的な教育プログラムです。
2022年3月31日現在、159の国・地域の5400校が、IBの教育プログラムを提供しています。
IBの教育では、「IBの学習者像IB (Learner Profile)」として、IB認定校が価値を置く人間性を次の10の人物像として表しています。
・探究する人
・知識のある人
・考える人
・コミュニケーションができる人
・信念をもつ人
・心を開く人
・思いやりのある人
・挑戦する人
・バランスのとれた人
・振り返りができる人
「学習者像」について、カトリック学校で育てたい人間像と親和性があるとの指摘があります(品田 2018)。また、IB認定校となったカトリック学校による「学習者像」の解釈は、IB認定を受けない他のカトリック学校にとっても、有意義であるとも言われています(White 2012)。
アメリカのイエズス会学校の取り組みを参考にしながら、国内でも、育てたい生徒像を明示した「プロファイル」作りに取り組まれた学校もありました(高祖 2012)。「プロファイル」として示されていなくても、それぞれのカトリック学校では、目指したい生徒像を掲げている学校が多いのではないでしょうか。
皆さんの学校では、どのような生徒に育ってほしいと、考えられていますか?
それらをどのように、示していらっしゃいますか?
それぞれの学校で育てたい生徒の姿を、Saltで、共有してみませんか?
《引用・参考文献》
・髙祖敏明「教育改革のチャンスを活かせるか」『福音宣教』第66巻第11号、2012年、pp. 3-9。
・品田典子「日本のカトリック教育にとって初体験の『新たなステージへの大転換期』に考える」『福音と社会』第300・301合併号、2018年、pp. 20-29。
・International Baccalaureate Organization webページ https://www.ibo.org/
・White, John, “The International Baccalaureate Diploma Programme in U.S. Catholic High Schools: An Answer to the Church’s Call to Global Solidarity”, Catholic Education: A Journal of Inquiry and Practice, Vol.15, No.2, 2012, pp. 179-206.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?