「Mama, I Want To Sing」
禁じ手。
高校を卒業した、1996年。
なんとなく進んだ某短大で美術コースを専攻したものの、美術への学びの意欲は低下し授業が終わると即帰路。
毎日のように某JAZZ研の部室に入り浸り音楽にのめり込んでいた。
※JAZZ研の話はまた今度
気持ちは音楽へ完全に舵を切っていて「短大を辞め、音楽の道へ進みたい」と本心を打ち明けるタイミングを伺っていた。
そんななかブロードウェイのゴスペルミュージカル『Mama, I Want To Sing』日本公演情報を掴んだ。
青山劇場、1996年公演のSister Carrie役はなんと、その時大好きで聴いていた「Free」Deniece Williamsだった。
バイトで貯めたお金でチケットをプレゼントしつつ、プレゼンだ!これで母を説得するしか道はない。
振り返ると進路は全部自分で決めてきた。なるべく新しい土地、新たな人間関係に飛び込みたくて単独行動した。都内の女子高校、短大、出逢ったゴスペル、のちの師匠亀渕友香さんの存在。その度、母へプレゼンして進んできた。インターネットが普及していなかった90年代、どうやって情報へ辿り着いたのだろう。全然覚えていないけど、熱意ってすごいですね。
■Mama, I Want To Singとは教会のゴスペル隊からスターの座に上り詰めた少女とその家族の物語は、1960年代に実在したR&Bシンガー、ドリス・トロイをモデルにした実話で、トロイの実の妹であるヴァイ・ヒギンセンがプロデュースを手掛けた感動作。チャカ・カーン、シャーリー・シーザーといったR&Bやゴスペルのトップシンガーも歴代キャストに名を連ねており、かつて日本でもゴスペルブームを巻き起こした超名作ミュージカルである■
敬虔なクリスチャン、聖歌隊で歌って育った主人公は成長とともに世俗音楽、ショービジネス界へ飛び込みたいのだけど愛するがあまり心配する母に反対され、懸命に『Mama, I Want To Sing!』と伝えるのだった。
家族とその周りの人を巻き込んだ壮大な親子げんかというか、家族愛と主人公の成長の物語です。
私はそのストーリーを知れば知るほど自分に重ねてしまったのだった。
母へチケットを渡した時からストレートな公演名、伝えたいメッセージ丸出しだった。
公演は見どころ満載で、終始ハッピーな気分だった。
躍動感とキャスト一人一人のエネルギーはもちろん、それが重なったとき押し寄せる感動の連続。鳥肌が立ちっぱなしだった。ただただ圧巻。
余韻も覚めやらぬ帰り道、ついに母に打ち明けた。答えはOK。
厳しく釘は刺されたけれどプレゼンはうまく行ったのだった。
ミュージカルの感動を拝借してしまった、禁じ手。
ありがとう「Mama, I Want To Sing」
ありがとう音楽の力。
プレゼンが失敗していたとしたら、今頃私は何をしていたんだろう。
(主人公のドリス・トロイと↓)
(↑ドリス・トロイのママ、そう本物のMamaです!)
その2年後には『Mama, I Want To Sing』のプロデューサーで主人公の妹Vy Higginsenによる
”The Mama Foundation for the Arts
Vy Higginsen's School of Gospel,Jazz and R&B Arts Gospel Workshop(1998)” へ参加していたのだった。
抑えられない歌への思いが、大きな波となって動き始めていた。
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