【紹介・感想】ウディコン#13(9/23更新)
今年も大変楽しいコンテストでした! 63作品中の19作品をクリアして投票できました。この前書きを書いている時点で投票期間の終了まで3時間。結果発表はたぶん21日か22日ごろになるでしょうね。甲乙つけがたい逸品ばかりなので上位にどの作品がくるのか、推し作品はランクインするのか、ワクワクドキドキです。
はじめに
ご存じない方に向けて簡単にご説明すると、WOLF RPGエディターというゲーム制作ツールで作られたフリーゲームのコンテスト(年一回)です。RPGエディターといいつつ自由度が高いようで、驚くほど色々なジャンルの力作が投稿されます。今年で13回目。公式ページは↓。
今回も適宜この記事を追記していく形にしたいと思いますので、記事タイトルの更新日付を見て気が向いたときにご覧いただければ嬉しいです。
リドミなどに絶対にダメと書いていない限りは自分でプレイした際のスクショを1枚だけ載せさせてもらっています。著作者の表記をして、自分なりの文章を添えているので引用の範囲だという認識でいますが、もし良識の範囲を超えていると思われた作者様はご指摘ください。
全体の感想
作者さんもプレイヤーも情熱がすごいコンテストだよなあと改めて思いました。フリゲの感想を書き始めたのもウディコンの影響ですしね。
昨年に続けて沢山遊べたので、同じ作者さんが新作でエントリーされているのを見てとてもハッピーな気分に! とはいえ、新たな出会いも大事。新規開拓とリピートの比率は半々くらいになりました。
イチオシは『精霊さんと世界樹探索』(可愛くやり込めるローグライト)、『銀竜奥義伝』(ポップで手軽なSRPG)、『色は黒に包まれて』(克明に苦難を描くADV)、『黄泉廻道』(セリフに味のあるファンタジーADV)ですね。合計で44点以上を付けた作品。しかしまあ加点の匙加減で覆るくらい僅差。あえて絞るのはもったいないくらい面白い作品が揃っています。他のプレイヤーさんの感想を見て遊びたくなったやつが沢山あるので、この記事も好みの作品を探す一助になれば嬉しいです。
投票の話
ウディコンは一般投票で順位が決まるので主旨に則って投票しました。根が理屈っぽいせいか、点数をつけ始めると減点方式な感じになっちゃうんですよね。だから普段は点数を付けないのですが、真剣に悩むのもまた楽しいものです。ざっくり以下の基準になりました。去年とは違うかも。価値観は日々アップデートされるということでひとつ。
熱中度:80%重視する。熱中=ハマり度と思っている節があります。長めならノンストップで遊びたくなったら10だし、ミニゲームなら何度も遊びたくなったら10だろ!という気持ちで付けました。
斬新さ:50%重視する。王道には王道たる所以があると思っているタイプなのでデフォの重みで。意欲作が多くて、点数は高めになりました。
物語性:80%重視する。物語性はキャラクタや世界観など全て含まれます。物語大好きなので重視度が高いです。なぜか採点は厳しめに。
画像/音声:40%重視する。真っ黒な画面でも楽しく遊べちゃうタイプなので少し低めに設定。どの作品も雰囲気がすごく良くって最高。
遊びやすさ:60%重視する。ストレスフリーは楽しさの純度を高めるために大事だよなと思っているので少し高め。なぜかこれも厳しめ採点。
その他加点:ノベル系の作品もあるからか、ゲーム性だとか戦略性という項目はないんですよ。そのあたりに魅力を感じたら。あくまでオプション。
※エントリー番号順。
精霊さんと世界樹探索
【エントリー番号】1
【制作】R's 様
【ダウンロード】ふりーむ
【プレイ時間】8時間~
【ジャンル】RPG
【傾向】ローグライト、スキルビルド、やり込み、女の子、可愛い
【筆者プレイ日】2021/7/18
【筆者プレイ状況】クリア
【一言紹介】可愛い精霊さんと一緒に爽快ハイテンポバトル!
【紹介】
主人公は世界樹を目指す。遠い記憶の底にある、大切な約束を果たすために。旅のパートナーは水の精霊ディーネ、土の精霊ノエル、風の精霊フィー、火の精霊サラ。個性豊かな彼女たちとの大冒険が始まる。
精霊さんを纏って戦うという珍しい形式の半アクティブタイムバトルです。纏っている1人は装備したスキルを発動して攻撃します。スキルを使うと疲労が蓄積するので、適度に切り替えて休ませてあげましょう。敵との属性やスキルの相性、スキルの詠唱寺間など、戦術を考える楽しみがたっぷり。お気に入りの精霊さんをひたすら強化して1撃粉砕するのもオツなもの。自由度も中毒性も高いです。
シナリオ面もボリュームがあります。精霊さんと主人公の絆が育まれた状態からスタート。徐々に出会いのエピソードなども見られるように。存分に甘々な睦み合いを楽しめますが、もし苦手ならスキップも可能。主人公は喋らないタイプ。たぶん主人公の年齢や性別は明記されていないので、好きに想像して感情移入しやすいでしょう。閲覧済みイベントの回想機能あり。
【感想】
はちゃめちゃに楽しかった! 去年の妖精さんとダンジョン攻略も個人的なイチオシなので真っ先にプレイしたんですが、予想を遥かに上回る超ボリュームでビックリした! シナジー効果の強いスキルを考えて大ダメージを出すのが絆の力って感じがして大好き。各種ドラゴンの強さが推奨レベル前後で苦戦する良い強さで、攻略本を見ながらスキルを組んでというプロセスも楽しいし、勝てたときの喜びも大きい! なんというか、初期スキルは振りなおせないから、比較的低レベルで勝ちたければ臨機応変な組み合わせを考えなきゃいけない。これがヒジョーに良かった。真ボスはまだなのでじっくり遊ばせて頂きたい!
そして精霊さん可愛いね! 恋愛シミュレーションゲームの好感度MAX状態みたいな会話を堪能できるのでとても幸せ。皆との出会いエピソードを見た後はギャップで余計に愛いやつめという気持ちになる。ちなみに最推しはディーネ。いや、最後の日の会話は皆ズキューンと胸を打ち抜くセリフをくれるので悩みまくったのだけど! お姉さん系の正統派ヒロインが過ぎるし、ずっと旅を共にしてきたっていう時間の重みがやっぱり強い。君がいたからここまでこれたんだって、素直に思った。お互いに教え合い、尊敬できる関係。素敵すぎるな。
銀竜奥義伝
【エントリー番号】2
【制作】LAKO 様
【ダウンロード】ふりーむ
【プレイ時間】2時間~
【ジャンル】SRPG
【傾向】育成、中華風、ポップ、お手軽、ふわふわ、ケモノ、コメディ
【筆者プレイ日】2021/7/23
【筆者プレイ状況】ハードクリア(2400点)
【一言紹介】5分からサクッと遊べる育成系SRPG
【紹介】
メイメイは地元じゃ負け知らずの格闘家の少女。完全に調子に乗っていた彼女だが、同じ年ごろの旅の少女に完敗。銀竜谷での修行を決意する。秘伝の書をゲットすればダイエットにもなるかも? 笑いあり涙ありの奮闘記。
SRPGにはプレイ時間が長いものが多いですが、本作は1プレイが短く手軽に遊べます。操作キャラクタはメイメイだけですし、敵の数も限られるので、普段はSRPGを遊ばない方にも気軽に触れて欲しいです。負けてもゲームオーバーにはなりませんし、得られた経験値で自由に育成して再挑戦できます。慣れてくると、難易度を上げたり、ハイスコアを目指すというやり込み甲斐もあります。
サムネイルの通り戦闘アニメーションが凝っていて、技のバリエーションも豊富。触っているだけでも楽しくなれます。加えて、銀竜谷の風景の愛くるしさときたら、本コンテスト随一と言って過言ではないでしょう。キャラクタの立ち絵は可愛らしく、ふっくらしています。チャーミングで能天気なメイメイと好々爺と見せかけてムッツリなお師匠のコンビが笑いを誘いますが、感動のシーンもありますので是非ご覧あれ。
【感想】
なんというクオリティ! 非の打ちどころがないってのはこういうのを言うんだ! イラストの可愛いさがとっても魅力的なのに加えて、操作全般が軽快で遊びやすい。敵キャラクタのデザイン、「みやぶる」を使ったときに見られる説明文、ミニゲーム「ツナの切り身」みたいな遊び心まで備えていて心底すごいなあ。
六角形マス目のSRPGってめっちゃ久しぶりに遊んだ気がする。雰囲気からカジュアルっぽいなと思って初見ハードで遊んだんだけど、ハードは難しかった! 序盤は全然勝てなくて、一人vs多数だから範囲攻撃が有利かな~とSP、精神力、技習得に力を入れて伸ばしたら中盤以降はグッと安定。一迅→白虎猛攻→水龍ノ舞が決まるとめちゃめちゃ気持ち良い! オンラインランキングにはとても食い込めないけど、もうちょいやり込みたいね。
キャラクタは特にお師匠が好き。お師匠すぐセクハラするwwwと油断していたら胸アツなエピソードがあって益々気に入った! いや、あるかもとは思っていたんだけど、リンちゃんのほうのお話がメインだと思っていたから、予想以上に掘り下げてくれて嬉しくなっちゃった。王道ではあるけど、奇をてらわずにしっかり面白いのってセンスだよなと思う。いや~、ストーリーも良かったので、これは昨年のエントリー作品も遊ばなきゃだなあ。
ニアとアインの冒険
【エントリー番号】15
【制作】YADO 様
【ダウンロード】作者様HP
【プレイ時間】1時間~
【ジャンル】探索アドベンチャー(エンド数2個)
【傾向】斬新、謎解き(アクションあり)、ほのぼの、殺伐
【筆者プレイ日】2021/8/4
【筆者プレイ状況】クリア
【一言紹介】あらゆる面で対照的な2つの世界を同時に味わえるADV
【紹介】
幼い少女ニアは、とっても珍しい「あかいおはな」を探して今日もプチ冒険に出かけます。その一方、青年アインは兄の仇である怪物を血眼で探しまわります。一見何の関係もない2つの物語はどこかで交わるのでしょうか?
これまでパズル以外で見たこともないシステムを採用した斬新な作品です。画面中央の体力ゲージで分けられた2つの世界を探索します。操作キャラクタを切り替えるのではなく、2人が全く同じ動きをします。ニアが左へ進めばアインも左へ進むという具合に。
メインの要素である謎解きは難易度が高めですが、村人からのヒントが多く聞けます。アクション要素も少しだけあります。「手に入れたアイテムをどこで使うのか」を考えるのが楽しいため、その手の謎解きが好きな方におススメです。
謎解きとシナリオの両面で、2つの世界が存分に活かされた力作であり、クリア後にフォルダに出力されるおまけを読むと、技術面でも工夫が多いことが分かります。
【感想】
かわいくて絵本のようなニアの世界と、薄暗くて生き抜くのも大変そうなアインの世界がグラフィックでも表されていて雰囲気が良かった~。とくにニアの世界では動物や植物たちがしゃべったり踊りだしちゃうのが大好き。たぶん片方の世界だけでも十分面白いゲームなんだけど、それが繋がってくるからビックリした!
繋がりが「わかる」と自然と謎解きもスムーズに。アイテムを流す意味がわかったときの気持ちよさ。1マップ1ギミックというのは気づいていなかったので、ちょくちょく詰まったけれど、1時間で行けたから大きな手づまりはなしかな。でもソムを偶然見つけたときは心臓が止まるかと思った。あとクマは足速すぎ! 詰むかと思ったけど運よく捕まえられてよかった~。
エンディングはちゃんと(?)作者さんの想定通りのムーブをしてバッドエンド後にトゥルーエンドを見られた。いや~クリア後に心をえぐられるとは思っていなかった! アインの世界を見た後だと、あのエンドスチルに人間の業を感じてしまう。この構成凄く好き。プレイヤーのみが知る真実。
チグハグ王子と未明の箱庭
【エントリー番号】16
【制作】さかあがり 様
【ダウンロード】ふりーむ
【プレイ時間】1時間~
【ジャンル】探索アドベンチャー(エンド数5個)
【傾向】謎解き、パズル、幻想的、恋愛、微グロ、獣人
【筆者プレイ日】2021/7/18
【筆者プレイ状況】エンディングコンプ
【一言紹介】美しく歪んだ箱庭を歩き回るパズルアドベンチャー
【紹介】
未明の魔女カンパネーレの箱庭に閉じ込められた獣人の王子ジェスロウ。美しくも不気味な箱庭を探索し、魔女の手から逃れるか、あるいは、魔女の玩具として果てるか、それとも...?
とても美しいグラフィックと作り込まれたマップが魅力的。あちらこちらと彷徨い、調べ回ること自体が楽しいです。とはいってもマップはお手頃なサイズなのでスムーズに進めることができるでしょう。メインの要素はパズル系の謎解き。ゲーム中にヒントは少ないので、詰まったら公式攻略を見るのがよいです。
ただ、実をいうともっと大きな謎かけがあります。カンパネーレ曰く「なぜジェスロウは王になれないのか?」。この理由について思いを巡らすのが本作の最大の楽しみです。終盤の選択肢でエンディングが分岐しますが、条件を満たさないと出現しない選択肢もあるので注意が必要です。彼らの「ほんとうのさいわい」が見られるTRUE ENDへ是非辿り着いてください。
【感想】
今回もめっちゃ可愛いなかに不気味さとかグロさが入り混じっていて良かった! まずジェスロウのケモノ形態が可愛いよね! 作者さんの描くケモノめっちゃくちゃ好き。そして人間形態になったらイケメンだった! カンパネーレもダンも可愛くて素敵! でも嘘つきを探すゲームとか、なんでもない部屋ではグロいシーンも普通にあるのでゾクゾクする。
この短いお話の中で彼の境遇や悩み、そして選択が描かれていて感動した。チグハグというのは環境のこともあると思うんだけど、使命感とやりたいことの板挟みというか、そういう精神面も表しているんだろうな。カンパネーレはたぶん前作をやっていると詳しくわかるのかな? 今作だけだと寂しがり屋の魔女っていう印象。「未明の」魔女っていうネーミングが美しいものの由来が分からないと思っていたんだけど、とあるエンドで納得した。
初見はHAPPY ENDだった。攻略見つつBADも回収。この作品は薄氷の上を歩いてHAPPYへたどり着けたと実感できたほうがいいなと思うので。FOOLが思った以上にFOOLで爆笑した! TRUEの後にオマケ部屋を見られるのも大満足だった!
売ルファール
【エントリー番号】19
【制作】小林先生 様
【ダウンロード】ふりーむ
【プレイ時間】1時間~
【ジャンル】RPG
【傾向】リソース管理、スコアアタック、くじ引き、ギャグ、フルボイス
【筆者プレイ日】2021/8/11
【筆者プレイ状況】クリア(61174G)
【一言紹介】リソース管理の駆け引きに熱中できるスコアタRPG
【紹介】
ウディタの案内人ウルファールが主人公のバカゲー...と見せかけて中身はトリッキーながらバランスの取れたRPG。孤島闘技場で勝ち抜いて得られる「引換券」を売って堅実に稼ぐか、くじ引きで賭けに出るか。
スクショを選ぶのが難しい。戦闘画面や敵グラフィックはよく見かけるものなのですが、それを理由に敬遠するのはもったいないです。短編かつゲーム性で勝負する内容なので、そういうのが好きな方は是非。熱中度が高いです。上位ランカーのスコアが中毒性を物語っています。
たぶん作者さん自身の裏声によるフルボイスは好みがわかれるかもしれません。失礼ながら、このチープさが笑いを誘い、殺伐としがちなリソース管理ゲーの清涼剤になっていると思います。ただ、どうしても苦手ならシステム設定からSEの音量をゼロにすればOKです。
【感想】
ありそうでないゲーム。こういうの好きです。さくっとお手軽に遊べつつ、緊張感もある。最初の島ではセーブ自由でチュートリアルをしてくれたり、入り込みやすい作りなのもよかった。独特のシステムで、最初は引換券を売るべきなのかとか、どれを購入するべきなのか、という感覚が全然わからないので、セーブ自由なうちに色々試せるのが嬉しい。
セーブが有料になるとケチりたくなるので、2~3戦に1回のセーブに落ち着くんだけど、これはちょうどいいドキドキ感だった。で、敵が結構強い! 資金に余裕を持たせようという考えは早めに捨てて、きっちり使い切って勝ちに行く必要のある歯ごたえだった! もちろん、くじ引きの結果次第では余裕ができるんだろうけど、堅実に引換券の売却をしてもギリギリ勝ち進めるくらい。初期に強力な攻撃魔法ジャッジメントを引いて小躍りしたり、後半の敵の火力で絶望したりと、苦戦しながらも運と工夫でなんとかなるバランスだった。
ちなみにガチ勢はくじ引きの乱数を調整するらしいので、SFCのゲームかよ!と突っ込んでしまった。でもランダム乱数よりもいいよね。攻略している実感がある。乱数はやり過ぎたらリセマラの温床なんだけど、本作ではゲームの規模感とシステムがよく合っているな~。要は楽しかったです!
ECO2
【エントリー番号】27
【制作】僕はネット民 様
【プレイ時間】2時間~
【ダウンロード】ウディコン作品一覧
【ジャンル】アクションRPG
【傾向】ハクスラ、エコ、やり込み、仲間モンスター
【筆者プレイ日】2021/7/23
【筆者プレイ状況】クリア
【一言紹介】個性豊かなモンスターと冒険して環境を守ろう!
【紹介】
自然を顧みない人間たちに対してモンスターの怒りが爆発。世界各地で発生する異変を解決しながら、環境保全の大切さについて学ぼう。
ザ・フリゲRPGといった雰囲気で、いい意味で肩の力を抜いてプレイできます。凝ったシナリオや演出に食傷気味の方におすすめ。純粋なハクスラ系の楽しさが詰まっています。戦って、仲間を増やして、素材で装備を強化して、また戦ってという一連の流れがサクサク進みます。
敵は強めですが、全滅のペナルティはないですし、仲間は自動で戦ってくれるのが頼もしい適度なバランスです。範囲攻撃を覚えるとグッと爽快感が増すのでお試しあれ。
森林破壊や水質汚染の重大さを学べる真面目なシナリオとは対照的に、敵のビジュアルやネーミングセンスは茶目っ気があり、ギャップでクスッと笑ってしまう素敵な雰囲気です。
【感想】
アクションには癖があって、最初は攻撃当たらねえ~と唸っていました。個人的には槍がお気に入り。武器によってモーションが違うんですが、槍は防御が高く、攻撃時に1歩下がるので敵の連撃を食らいにくい、気がする。
雑魚は逃げ回っていたら仲間が倒してくれるので安心。ほんとに頼もしい! ボスは仲間だけでは倒せないのでしっかり自分で削りに行く必要があり、ちゃんと立ち回りを考えるのが楽しかったです。
魔法で範囲攻撃ができるようになってからは更にサクサク進むようになって爽快! 夢中で戦っているうちに、気付くとドロップアイテムに強い装備が紛れていたり、鍛冶屋で新しい装備がクラフトできるようになるワクワク感も良かった。
あとモンスターデザインね。我がパーティの不動の4番はトリ・ファイナル・バード。名前とビジュアルが面白すぎて一目惚れしてずっと使ってた。すごく愛着の湧くイラストで素敵でした。
色は黒に包まれて
【エントリー番号】28
【制作】すたーあいす* 様
【ダウンロード】ふりーむ
【プレイ時間】2時間~4時間
【ジャンル】アドベンチャー(SLG要素あり)
【傾向】人生、転機、実話ベース、リセット不可、ホラー演出ON/OFF
【筆者プレイ日】2021/8/1
【筆者プレイ状況】読了
【一言紹介】苦難に直面した青年の成長を克明に描く実話型ADV
【紹介】
物語は主人公の夢から始まる。可愛い動物たちと暮らす御伽噺のような幸せな生活。一転、夢が醒めれば、慣れない仕事、険悪な人間関係、そして両親からの期待に苛まれて心休まる時はない。その重圧はやがて夢すらも侵食する。彼に訪れるのは最悪の結末...... 本当に、終わりでいいの?
心を抉られるようなリアリティがありつつ、先の展開が気になる面白さもある傑作です。コンテストでは物語性トップで投票しました。夢の世界はふわふわと愛らしく明るい色合いで、現実の世界は陰影がはっきりした暗い色合いで描かれ、物語によく合っています。
シミュレーションゲーム的な選択肢など、感情移入しやすい仕掛けもあり、順風満帆で失敗のない人生という稀な方を除いて多くの方に刺さるでしょう。むしろ刺さりすぎる心配をするべきです。序盤から中盤は暗く沈む展開が続きますが、一気に最後まで読み切ることをおススメします。
【感想】
ぐおお。これを面白いと言ってしまうと語弊があるかもしれないけど、面白い。主人公の緑くんの気持ちに共感する点が多くあり、彼の過去に何があったのか、この先どのような決断をするのか、気になってドンドン読み進めちゃう。頑張れって応援したくなる。
人間関係のギクシャクっぷりや仕事の描写が丁寧に描かれていて、すごくリアリティがある。これでもぼかしてマイルドにしてありそうだけど、職場がブラックで辛すぎる。緑くんの特性や家族とのすれ違いについても非常に考えさせられた。
家族なんだから言わなくてもわかってよ、じゃなくて、しっかり自分の意思を伝えられた時は本当に、緑くん成長したなあと、ウルっときちゃった。大事なのは、できるかできないか自体じゃなくて、できることとできないことを把握して向き合うことだと思う。
リセットできないから1個だけわからないのは、終盤の戦闘っぽいシーンでエンド分岐があるのかどうか。このゲームのテーマから考えると、たぶんステータスによらず同じ展開になると思ってるんだけど。ともあれ、結構ドキドキしたし、こういう集大成な展開は好き。
黄昏の時に巡り会うもの
【エントリー番号】29
【制作】ろぜちは080 様
【ダウンロード】ふりーむ
【プレイ時間】2時間~
【ジャンル】RPG
【傾向】超ダメージ、ショタ、ドラゴン、ファンタジー、ダーク
【筆者プレイ日】2021/8/3
【筆者プレイ状況】クリア(隠しボス含め)
【一言紹介】カンストダメージが楽しめる霧深い異世界の冒険譚
【紹介】
とある一族の末裔カナタ少年は、相棒のドラゴンと共に異世界に誘われます。赤紫に染まる黄昏の世界で出会う不思議な少年たち。そして襲い来る数多の魔物。強敵を退けて元の世界へ帰ることはできるでしょうか――。
序盤から敵のHPが数百万に達する異次元バトルが特徴的な作品です。当然、コチラも火力をガンガン上げて100万ダメージを連打しなければ勝利はおぼつきません。他のゲームでは味わえない破壊力の快感が魅力的。今作では強力な補助魔法の活用も鍵となります。
ストーリーは独立しているものの、ウディフェスに投稿された『探す王子の小さな探索話』など過去作をプレイしているとより楽しめます。そして何といっても精緻なボスグラフィックの美麗さは必見。一方、スチルではやわらかな色遣いの可愛い少年たちが見られます。お風呂シーンあり。
【感想】
今回は敵の火力が高くなって緊張感があったり、敵によって無効な攻撃があり技の取捨選択が必要だったりと、戦闘バランス面がとても良かった。このバランスは長編より短編に向いていると思うので、ボリューム的にも丁度いい感じ。
作者さんの作品を遊ぶのは3作目ということもあって、強めの技を覚えるまでレベル上げをしたり、ステータスアップアイテムは惜しまず使ったりと順調に攻略できて楽しかった! レベル上げがサクサクなのと、先に進む動線上はエンカウントしないシステムはやはりいい。
ストーリー面では、前作の主人公であるルウとテンが出てきてくれて嬉しかった。ショタ3人が仲良くて癒される。ドラゴンたちが襲い掛かってくる理由が初めて明かされたと思うんだけど、ちょっと衝撃。そうか、操られていたんだね。いっぱい傷つけちゃってごめんよ。
あと隠し装備(超強い...!)、隠しボス(超カッコいい...!)はロマンがある。ショタには半ズボンという作者さんの鋼の意思を感じてめっちゃ笑った。隠しボスは本当に綺麗で、にわとりじゃなくて鳳凰と呼びたくなるような神々しさに息を呑んだ。リドミに明記はされていないけど、ご自分で描いてるんだよね。すごすぎる。
ALICE IN ANOTHER WORLD -鏡の国のアリス-
【エントリー番号】30
【制作】とうがらし 様
【ダウンロード】ふりーむ
【プレイ時間】2時間~(初見4時間~)
【ジャンル】WWA、RPG、パズル
【傾向】高難易度、救済措置あり、SF、サイバー、痛快、スコアタ
【筆者プレイ日】2021/7/21
【筆者プレイ状況】クリア(アリス11万5千、マリエッタ10万7千)
【一言紹介】違法ハッカーを取り締まるサイバーロジカルバトル再演!
【紹介】
サイバー技術が発達した世界で人格と意思を持ったAIが大活躍。凄腕のホワイトハッカー「アリス」とその仲間AIたちは、防衛プログラムを突破して違法ハッカーを捕まえることができるのか?
前作『ALICE IN WONDER WORLD』の続編です。登場キャラクタは同じですが、シナリオは独立で、戦闘システムは一新されています。WWAというジャンルで、ランダム性がなくリソースの限られたパズルのような遊び心地のRPGです。SFが好きな方なら、そのテーマ性は前作のほうが色濃いのでおススメです。
本作は難易度は高いものの、クリアだけならばハードルは低いです。なぜなら、体力が尽きても何度でもコンティニューできるからです。初見では数字の多さに圧倒されるかもしれませんが、コツを掴むとパズルのピースがはまるような楽しさがあります。
攻略や育成方針のチュートリアルが大変丁寧なので、WWAを遊ぶのが初めてという方もお気軽にトライしてはいかがでしょう。拾いきれないくらいにネタ満載の軽妙なトークも道中に彩りを添えてくれます。
【感想】
たーのしー! 初見4時間と書きましたが、もっとかかったかも。プレイ時間の大半は、どのアイテムを優先して取るかという思考時間。回復手段は有限なので、スコアを上げるなら消耗が最も少ないルートを選ぶ必要がある。
初見はアリス。敵本拠地でしんどくなって再走した上で30万ドルくらい。再走すると、「見える、見えるぞ!」って感じで、前回より良いルートのアイデアが泉のように湧き出てきます。これがめちゃくちゃ楽しいので、1回だけで終わらせずに2回はプレイすべき。3週目くらいで大台である100万ドルを達成!
鏡の国ということで、「コピーはオリジナルと同じ人格を持ち得るか」というのがひとつのテーマなのかなと感じた。今回は表面的なコピーに過ぎなかったけれど、マリエッタたちが存在するということ自体が、完璧な再構築の可能性を示唆しているようで、恐ろしくもあるね。
城跡のアリュイラ
【エントリー番号】34
【制作】秋月ねこ柳 様
【ダウンロード】ふりーむ
【プレイ時間】8時間~
【ジャンル】アクション
【傾向】高難易度(4段階+α)、重力反転、メトロイドヴァニア
【筆者プレイ日】2021/9/8
【筆者プレイ状況】クリア(難易度パワフル)
【一言紹介】ふわりふわりと自在に重力操作...できたらいいね!
【紹介】
かつて世界を脅かした魔王が勇者により討伐されて幾星霜。魔王に滅ぼされた国々の城跡は今も世界各地にある。もしかするとお宝が眠っているかもね。おや?とある城跡に訪れたのは、一人の少女と、喋る帽子?
逆さまにひっくり返った迷路のような城跡を、重力反転の魔法を駆使して探索します。最初はジャンプしかできませんが、あちこちに散らばった魔法石や宝箱に眠る神器を集めるとアクションや行ける場所がドンドン増えます。城内はトラップだらけですが、攻略法を掴むとノーダメージで進むことができるように作られており、頭を捻るのも楽しみのひとつです。
常識人な主人公と俺様系の尊大な帽子との会話が面白可笑しく道中を盛り上げてくれます。どうやら帽子はかつて一国の主だったようなのですが、現在の間抜けな外見からは想像もできません。彼の言葉の真偽やいかに。世界観の論理付けも非常に面白いです。ファンタジーあるあるに何かしらの理屈が通っていて、会話で解説してくれます。
難易度は4段階ありますが、おおむね難しいと思います。筆者はアクションをあまりプレイしませんが、洞窟物語は頑張ればクリアできる程度の腕前。それくらいの人だと、一番やさしい難易度でも苦戦するでしょう。苦戦して上達することが楽しいゲームですので、心構えして自分に合った難易度で挑みましょう。
【感想】
やってやった!!!!! 初回プレイでは、50回死ぬと解禁されるパワフル+を使ったうえで100回くらい死にながらクリア。ああ、しかし何ということ。この救済措置を使うとあとがきが見れない! あとがき大好きマンとしては悔しすぎる。
1か月ほど経ってアクションをプレイするメンタルが回復したところで再挑戦。最新バージョンではセーブ画面への遷移音やダメージ音がマイルドになったことも再挑戦のモチベーションになった。200回近く死んだけどパワフルでクリア! 嬉しすぎる! ヤバイゾーンを突破できたときと、ラスボスの弾雨をかわせるようになってきたときが一番アドレナリン出てた。絶対に無理と思っていたものを突破できるとめちゃ気持ちいい。
後編はアクションが変わって飛行(多段ジャンプ)で進むんだけど、前半に比べると簡単に感じた。実際、ヤバイゾーンの手前まではスタンダードで行けた。ということは、ステージが高難易度ということ以上に、重力反転という独特の操作が難しさに拍車をかけてたんだなと。慣れ親しんだ多段ジャンプならサクサク進んだ(でも100回くらいは死んでる)ので、アクション自体の練度が大事だと痛感。
去年の作品『封獄のモノクローム』と同様に、ある程度ゴリ押しで進めてもいいし、ガチで詰めてもいいバランスとか、シナリオに随所で論理付けをしているところに作者さんの拘りを感じる。
W・ワドルーの冒険
【エントリー番号】43
【制作】バル 様
【ダウンロード】ウディコン作品一覧
【プレイ時間】2時間~(1ステージあたり)
【ジャンル】WWA、RPG、パズル
【傾向】高難易度、レトロ風、サクサク、スコアアタック
【筆者プレイ日】2021/7/28
【筆者プレイ状況】3ステージクリア(Sランク)
【一言紹介】昔懐かしい雰囲気×快適な操作性のパズルRPG
【紹介】
かけだしの ぼうけんか ワドル―は おたからを もとめて ダンジョンに いどむ。 ひとすじなわでは いかない きょうあくな モンスターを たおして いちりゅうの ぼうけんかに なるぞ!
WWAがまさか2作品も投稿されるとは。こちらはグラフィックも効果音もレトロ風です。レトロな見た目とは裏腹に操作は快適。最初からすべてのマップと敵ステータスを見通すことができ、隠されたギミックはおそらくないので、オープンな情報をもとに戦略を立てる楽しみがあります。どのルートを通るか、どのタイミングで強力な装備を取るか、どのステータスを優先して成長させるか。これらのバランス感覚が重要です。
難易度ごとにステージが変わります。最初はイージーしか選べませんが、イージーで良いスコアを取るとノーマル、ノーマルで良いスコアを取るとハードという具合に次のステージへ挑めます。宿屋で休むという救済措置があるものの、試行錯誤しなければクリアできない難易度です。
初期バージョンではイージーが最難関だったとの噂ですが、最新バージョンでは、進むごとに適切にステップアップできるようになっています。チュートリアルが丁寧なので、初めての方でも興味があればいかがでしょう。
【感想】
グラフィックとBGMがとてもいい! レトロ風のドット絵と電子音には中毒性の高い何かが含まれているんじゃないか。ハードでは段々と禍々しい感じになっていくダンジョンの様子も好き。ついにここまで来た!って気分が盛り上がる。
ホント難しいので、1ステージのボリュームが丁度よく、詰まっても手軽に再走できて助かった! イージーとノーマルは力こそパワーという方針で割と行けたと思うんだけど、同じ方針だとハードの海底神殿がどうしても突破できなくてめっちゃ苦労した。
防御の高い敵が出てくることを意識しすぎて攻撃力偏重になってたんだけど、試しに防御力重視で進めたら何とか突破! WWAってシンプルな攻撃力-防御力の殴り合いなので、防御力を上げて低火力モンスターを雑魚化するのも強い。ステータスの上げ方で劇的に結果が変わる面白さを実感できた。
ストーリーは超シンプルで謎解きに集中できる感じ。すごいおたからがゲットできたらすごくうれしい。全クリしたときは、ワドル―と一緒に超うれしーーっていう気持ちを味わえた。クリア後にバージョンアップがあって裏ステージが追加されたらしいので気になってる。
Hopeful
【エントリー番号】44
【制作】サカモトトマト 様
【ダウンロード】作者様HP
【プレイ時間】15分~
【ジャンル】パズル
【傾向】直感的、ほのぼの、ファンタジー、仲良し
【筆者プレイ日】2021/7/31
【筆者プレイ状況】全ステージクリア
【一言紹介】イラストだけで物語が紡がれる紙芝居風パズルゲーム
【紹介】
2人の少女のプチ冒険。言葉にせずとも温かい想いが溢れています。
ゲーム中に文字が一切表示されません。ステージを進めると直感的にルールがわかるようになっています。言語の壁を越えて遊べそうな面白い試みですね。短い時間でサクッと楽しめます。
ここでルール説明をするのも野暮ですが、最初のとっかかりだけ簡単に。緑の少女を緑の旗へ、赤の少女を赤の旗へ、同時にゴールさせればステージクリアです。上下左右(ボタンをマウスで左クリックか、キーボードの矢印キー)に移動できます。2人を別々に操作できれば楽勝ですが、彼女たちは同じ方向に動くので思い通りにはいきません。
上記の画像は2ステージ目。あれ?ゴールできませんね?普通に動いていたら、緑の少女と赤の少女は仲良く横一列です。ゴールは縦なので形が合いません。40回ほど動くと「!」マークを押してヒントが見られます。これはまだ序の口。頭を捻るのが楽しい作品です。
裏面までクリアしたらゲームのフォルダに何か増えていないか見てみましょう。謎のトマト男がカギです。
【感想】
赤毛のシェリーちゃんが、病気のお母さんのために薬の材料を取りに村の外へ。そんな小さな友達のために一緒に冒険してあげる魔女エルミアちゃんっていうお話だと思う。シンプルに胸を打たれる優しいイラストだった! BGMが綺麗なピアノメロディなのも好き。ちなみに2人の名前は出てこないので、作者さんのTwitterを見たよ。
実は2ステージ目で、「え、進めないじゃん」と詰まった。で、わざわざ角があるのが何か怪しいな~と思って「調べる→完全に理解した」という流れ。実感を伴ってルールを理解する瞬間って楽しいよね! そういう楽しみが丁寧に作られていて良かった。
その後はコツを掴んで楽勝楽勝~と思ってたけど、裏の10ステージ(だったかな?)はかなり苦戦した。ヒントがあっても難しくていい感じ。パズルって、一度思考が固まってしまうと簡単なことに気づけないのが悔しい。
裏面クリアで出てくるトマト男はマウスオーバーするとプルプル動くので、それを愛でるだけのオマケだと思っていた。発想がアホすぎた。ツイッタでオマケファイルが生成されるよと聞いたおかげで読めたので感謝!
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