【感想】THE CANDLE LIGHT@ウディコン#12
【63】THE CANDLE LIGHT 短編(30分~)制作:鉄人37号 様
に関する感想です。ネタバレあります。全エンディングを見ています。
→まとめ記事へのリンク
~お薦めポイント(ネタバレ抑え目)~
荘厳な洋館、美しい絵画、ロウソクの灯が織りなす陰影、目が離せないグラフィックが魅力的な一本道ADVです。
この美しさは言葉では表せないので、実際に見るのが一番です。
※少しだけホラーとも取れる演出があるので、苦手な方は注意です。
グラフィックの美しさが抜群なだけでなく、それを効果的に魅せる工夫が随所に盛り込まれています。
ロウソクの灯りが視界を制限していることにより没入感が高く、絵画の説明はその場で表示せずに後から閲覧できることで、進行がスムーズです。
オブジェクトを調べることがエンド分岐に関わるものの、ヒント機能がしっかりしています。
漫然と進めるだけではダメですが、雰囲気を損なうような難しい探索でもありません。
屋敷に飾られた絵画は、館の主の生涯を仄めかしています。
時折足を止めて、コレクションから絵画の説明を読むことで、なぜ主人公がロウソクの灯を灯しているのか、謎が解けていくでしょう。
1周は30分程度かつ2周目からはフロアごとのリセット機能が解放されるため、1時間もかからずに全エンディングを閲覧できます。
ゲーム終盤のフロアは、ある種の神々しさを感じる圧倒的な威容を持っており、クライマックスに向けて気分が盛り上がります。
もの静かな余韻を残す物語、是非味わって欲しいです。
~良かった点など感想(ネタバレ全開)~
エンドII→III→Iの順番でクリアしました。
洋館も絵画もとにかく美しいのですが、それが仄かな灯りで照らされると、幻想的な雰囲気で一層素敵なのです。
ロウソクを灯すゲームシステムから、集中して画面を見る必要がありますので、細かい陰影の変化なども余すところなく見られます。
魅せたい点とゲームシステムが良くあっているという印象でした。
調べるべき場所は、マリーベルの天才的な直感で「!」を出してくれるのですが、一歩も下がれないので1周目は数個取り逃しました。
たぶん作者様の思惑通りなのかな。
ヘンリーの想い、マリーベルの正体が明らかになり、最後に結末が仄めかされる。
何が起きたかはほぼ分かりますが、感情面は明言されないので、プレイヤー側に想像の余地があるのも良いと思いました。
短編ですし、文章はほとんどないのに、小説を読んだような余韻が残るのは、それだけ奥行きのある世界が表現されていたということでしょう。
各フロアの名前や絵画のタイトルがどれも抒情的でとても好きでした。
会ったこともないヘンリーの生涯に想いを馳せ、悪魔に魅入られた彼の狂気と末路に少し恐れを抱き、一途な恋心を応援してあげたくなる。
絵画と少しのメッセージだけで物語が彩られているのが良いです。
エンドIIIはバッドエンドですが結構好きです。
ものの本によれば悪魔は契約、約束は必ず守るのだとか。
約束によってこの館に縛られているのかなと思うと、彼の執念が伺えます。
あるいは、見方によっては、それも彼女にとっては折り込み済みで、彼の絵画に魅了されているという解釈もできるかも。
色々考えるのが楽しいと思いました。
エンドI、IIではヘンリーの想いがはっきりしますね。
道中でほぼ明らかにはなっていますが、約束の内容が語られるので、彼の執念を思うと少し悲しくなります。
報われてくれ!と思いながらエンドIを見るとやるせない気持ちになります。
グランウォード家は確かに呪われていたのかもしれません。
個人的には、彼の妄執の果てをみることができて満足でした。
~気になった点など感想(ネタバレ全開)~
短編でしっかり配慮されているので、気になる点はあまりないです。
移動速度が速くて取りこぼしやすいかなと思っていましたが、バージョン1.05で遅くなっていますね。
唐突なスライドパズルは別になくても良いかなと思いました。ミニゲームが好きな方には良いですが。
オートセーブで進捗が上書きされてしまうので、タイトル画面からも収集済みコレクションが見られると良いですね。
~攻略 プレイメモ(ネタバレしかない)~
ロード画面で挟まれるヘンリーの独白が好きなので、それをメモ。
何種類あるのか気になる~。
※追記 5種で全部らしいです。やった!(バージョン1.05時点)
No.4
父は、僕を毎晩怒鳴りつけていた。
母は、泣きながら僕を見ていた。
身体が弱く
乗馬や狩りより、
絵を描くことが好きだった僕に
彼らは失望していたのだろう。
No.5
僕らは幼い頃、
とても仲が良かったはずだ。
…それなのに何故、
こうもいびつに歪んでしまったのだろうか。
父が遺した財産のせいか、単に僕が弱かったからか。
No.15
いつも控えめだった君は
あの日、お気に入りだった
若葉色のドレスがよく似合っていた。
そのドレスを
真っ赤に染めてしまった血の色が、
僕の脳裏から離れない。
No.19
あの瞬間、
僕は縋ってしまったのだ。
それはきっと、神ではなく
もっと違う、「何か」だったのだろう。
No.28
内気で泣き虫屋のエミリー
君は、ノーマンにいたずらされてよく泣いていたね。
そのせいか、君はよく僕の後を付いて歩いた。
君のお陰で僕はさみしくはなかったんだ。
どこへも行かず、
ずっと傍にいて欲しかった。
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