見出し画像

トリミングサロンへのIT導入時におけるトリマーが抱える不安と抵抗

 

 顧客管理システムを200以上のペット・トリミングサロンに販売してきた中で、IT機器導入に対して不安や抵抗を持っているトリマーの方々を多く見かけました。
抵抗については強いもの弱いものケースバイケースですが、
不安感についてはほとんどのトリマーが持っていたと言ってもよいかもしれません。
ですが不安を持つことは特別問題ではありません。
不安だ、というかたは一番最後まで飛ばして見てください。

では原因は何かと、調べてみたところ、
どうやらこれはトリミング業界に限ったことではなく、
抵抗というものは、組織として新しい変革を行う場合には起こりえるものとして説明がつくことがわかりました。

この記事をご覧いただくことでIT化を進め、トリマー負担を軽くしたい
売上を上げたいという経営者の抱える悩みが少しでも解決できれば幸いです。

以下より「※」マークは私の認識・発言だと思ってください。
それ以外は基本転載です。
TAC出版:企業経営理論より


戦略的組織変革

※ 変革の目的の一つとして、効率化や単価UPで達成する売上増による、
トリマー待遇の改善があります。
その成果を離職率の低下や新たな雇用へ繋げたいと考えている経営者は多く、その一つの方法として電子カルテによる顧客管理やネット予約の導入
新しいトリミング施術方法
に注目が集まっています。

 様々な社会情勢や環境の変化が起きている中で、組織は従来の戦略を見直し、新たな環境との関係を抜本的に再構築する必要に迫られる。


戦略的組織変更への「抵抗」

たとえ業績が悪化して危機的な状況を迎え、革新的(戦略的)組織変更の必要性が生じても、実際には実現に至らないことがある。

※ 変革の必要性があるにも関わらず実行できないことがあるようです。
成功するか失敗するか以前の問題として、
抵抗により変革を実行できないことが問題ですね。
これには次の理由が考えられます。


理由1.変革には既存の行為を継続する場合には現れないコストを伴うから

① 変革のコストの典型は埋没コストといわれる回収不能なコストです。
現在のプログラムを継続している限り発生しないコストでありながら、それを捨てて新しいプログラムを採用する場合に発生するコストとなり、組織が現状に執着する原因となる。

※ 日常行っている業務にプラスして新しい事に取り組むことはなかなか難しいということでしょうか。


② 組織内外の利害関係者たちは、既得権益を失うことにつながる現在の組織均衡状況を変えるような組織変更については、強い抵抗を示す可能性が高く、これが組織変革への抵抗要因となる。

※ 経験年数が長い方ほど新しい道具や手法を受け入れられない理由の一つかもしれません。


理由2.組織は変革の必要性を認識することができない可能性があるから

① 直面する環境の多様性や不確実性を除去するために、組織は外部環境の変化に関する情報を集め処理するプロセスをさまざまなルールや手続きとしてルーティン化する。しかし、こういったルーティンは、基本的に既存のビジネスを管理・運営するために構築されているので、それに直接関係を持たない情報やデータ、たとえば戦略的改革の必要性を示す外部シグナルは排除される傾向にある。

※学校や職場で習得してきたペットやトリミング技術に関する情報を取り入れることは自然と行えるが、それ以外に必要な情報は排除してしまいがち、ということですね。

② 組織やその利害関係者たちが満足水準を超える利潤を得ており、とりたてて不満がないという状況においては、あえて現在のプログラムや戦略よりも優れたものを探索しようとする動機づけは失われてしまう場合がある。
(有能性のわな)

※ペットが好きなトリマーにとって、現状が満足する環境である場合、
新しい道具やIT機器の導入により売上あげて所得を増やすという理由では動機づけにはなりにくいケースが多いです。


理由3.たとえ業績が悪化しても、なお既存の行為を継続使用とする強い力が作用するから

① 失敗に対する責任を認めることで心理的コストが上昇するため、経営者や管理者は新しい行為よりも従来の行為にコミットする

② もし管理者が適切なデータを入手することができても、そのデータを解釈する認知枠組みは既存の組織文化に依拠しているために、それらの重要性を過小評価してしまったり、不適切な解釈をしてしまったりする可能性が高い。

※①失敗は怖いので慣れ親しんだ方法をとってしまう。失敗は成功のもと!結果ではなくチャレンジすることに比重を置いてみましょう。
※②データが取得できても、その重要度が現場に伝わらなくては意味がなく、また適切な解釈を行わないと対策も打てない。
ちなみにデータ見方や分析方法については私も日々勉強中です。
最初はみんなできなくて当たり前ですから、
私が得ている知識の範囲ですが、できる限りお手伝い致します。

変革への抵抗 理由1~3をまとめ
1. 変革にはコストが生じている
2. 必要性を認知していない可能性がある
3. 既存の行為を継続しようとする

※これで抵抗の要素は理解できました。
では実際にどうしたらよいのかを見てみます。

戦略的組織変更の「遂行」

1.変革の必要性を認識する
 変革にあたっては、まず経営者もしくは経営者グループによって変革を創始する必要性が認識されなければならない。そのためには、組織の既存の情報処理手続きによって加工された情報ではなく、よりリッチな情報を獲得し、経営者は自身の責任でその意味するところを解釈しなくてはならない。リッチな情報とは 多様な解釈(意味・教訓)を導き出せる程度が高い、すなわち潜在的多義性が高い情報(経験)のことである。

※ 経営層が必要性を認識して、ネット上の加工された情報ではなく、
様々な解釈ができるような情報に自ら触れて、それをどう経営に生かすかを自らかみ砕いて理解しなくてはいけない。

※ ここでは経営者となっていますが、
本件ではトリマーが変革の必要性を認識する必要がありますので、可能であれば他店舗の視察・研修などが可能な場合、トリマーを直接その情報と触れさせることでトリマー自らがその情報を解釈することで必要性を理解できます。


効果的な解釈(認識)を行うための3つの要件

① 現在の日常業務では使われていない、変革のために利用可能な組織的スラック資源(余裕)を保有すること。これがないと多様な解釈をする余裕がなくなる。

② 既存の情報処理手続きによって加工されておらず、多様な解釈が成立し得る生のデータへ直接コミットすること(生データへのアクセス)

③ 組織の既存の手続きや、規則では処理できない問題が発生していることを示すシグナルであるコンフリクトを多様に解釈し、根本的な原因を探索すること。

※① 日常業務の片手間だと、変革を起こしている余裕がない。
担当者やプロジェクトチームを編成し、通常業務の負担を減らしその変革に集中できる環境を作るのが望ましということ。

※② ネットなどで加工された情報ではなく、生のデータを見ることが大事です。

※③ すでに衝突・不一致・対立などが起きている場合は、変革の遂行を阻害している可能性があるため、原因を把握して解決しなくてはなりません。

2.変革の実施・定着

組織変革を実施していく移行過程では、変革への抵抗や変化に際しての混乱、変化に端を発する権力抗争が生じるため、これらへ対処する必要がある。
基本的な対策は、移行過程のマネジメントを専門に担当する担当者およびチームを結成し、トップマネジメントがそれを支援することである。
ここでトップに求められるのは、組織に学習する価値観を埋め込むという制度的リーダーシップである。

※制度的リーダーシップ:上司と部下との関係に焦点を当てたリーダー行動を超えて、価値観を注入し組織全体を率いること。

変革への抵抗まとめ

 変革には抵抗があるものだと知った上で、
変革の必要性の認識を行うことで変革への抵抗を減らすことができる。
しかし抵抗をゼロにするのは難しいため、
事実上トップダウンで遂行を決定することはいたしかたありません。
ただし経営者は変革の難易度を理解し、
スタッフが変革にコミットできるよう、環境作り、担当者の選任、支援を行うことが必要です。

最後に 「不安と抵抗は別物」

※ 見たことない事や、未経験の事には皆さん同じく不安を感じます。
食べたことない食べ物を食べる時、行ったことない国へ行くとき、
みんな少なからず不安になります。

不安は経験すれば消えます

やる前は不安だったものが一度試してみるとだいたいが、意外といい!とかこんなもんか!と乗り越えることができます。

仮に万が一失敗してもいいじゃないですか、それは成長に繋がりますし、
失敗は成功のもと。

一番もったいないのは行動しないことです。

当社の例でいうと200店舗のご利用があり、一店舗平均3名のトリマーが在籍しているとして、600人以上のトリマーの方々がご利用されています。
中にはパソコンなんて触ったことないという方もいましたが皆さん1か月もあれば慣れてしまいます。

このように、
抵抗も不安も理由がありそれぞれにきちんと向き合えば必ず解決します。
IT導入したいけど先延ばしにしているという方。
お悩みなどがございましたらお力になれるかもしれませんので、
一度ご相談くださいませ。

こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!