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元女性自衛官までの道。

時は遡って中学3年生の時。

本気で将来のことを考えていた時に
大好きな叔母がガンを患った。
鍼灸でガンの緩和ケアが出来る事をこの時知る。

そこから東洋医学に惹かれて
将来は女性に向けた鍼灸院をしたいと
思う様になっていった。

病からくる不調も美容もケア出来たら嬉しい。
とにかく、人の役に立ちたい。

そこから一貫して私の夢は鍼灸師だった。

高校はスポーツ推薦で普通科に進学。
将来は鍼灸科のある専門学校か
大学で東洋医学を学ぼうと思っていた。

しかし

高校卒業の年には違う道を選ぶことになる。

2012年3月31日。

当時19歳。

高校の制服を脱いでその数日後に、
私は迷彩服に袖を通すことになった。

私の肩書きは「女子高生」から
「陸上自衛官候補生」になった。

人生で1番浮かれる年頃の19歳。

子供から社会人になって行動範囲も広がる。
バイトしてお金を稼いで好きなものを買う。

髪を染めたい、ヘアアレンジしたい。
好きな服を着たい。自分を楽しみたい。
色んなファッションを試したい。

そんな願望をすべて抑えることを決めた春。
入隊前日に髪をバッサリ切って少しだけ泣いた。

入隊を控えている同級生は皆んな男。

女は秋田県で確か7名程しか採用されなかった。

漠然とした不安を抱えていたけど

自分が何に悩んで
何を恐れてるのかも分からない。

そんな想いを抱えて過ごした出発前日を
今でも鮮明に覚えている。

持っていくものリストをキャリーケースに詰めて準備をしている時、脱衣所に置いていたお気に入りのポロシャツが乾いてなくて母親にキレた。

ありったけの罵声を母親に浴びせた。

理不尽に怒っていると自分でも分かっていたけど、こんなワガママを許してくれる存在がいなくなることが心細くて、何かに八つ当たりをしたくて仕方なかった。

その時急に玄関のチャイムが鳴って
「夜の21時に誰だろう」と思っていたら
地元の同級生がサプライズで来てくれていた。

「村、すごいよ。」
「大変だと思うけど、頑張れ」
「かっこいいよ」

そう言われてあり得ないほど泣いた。
※村が当時のあだ名だった

(本当は行きたくないの)
(皆んなみたいに学生になりたかった)
(オシャレしてバイトして)
(普通に好きな事を学ぶのが夢だった)

全部の言葉を飲み込んで

「ありがとう」って言った気がする。

次の日、私と同じ様に髪をベリーショートにした仲間達と宮城県行きの新幹線に乗った。

私、大人になるんだ。

立派な自衛官になる。

心はそんな思いでいっぱいだった。

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