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マヌカンについて

立体裁断には欠かせないマヌカンについてお話しします。

立体裁断の原型マヌカンは各種いろいろです。
各メーカーさんにより特徴があり、「これが絶対完璧!」というマヌカンはないと思っています。
使用目的によりマヌカンの選択、またトワールにパターンの基本操作が必要になりますが、これはマヌカンの特徴によりそれぞれ違ってきます。

基本的に立体裁断はヌードマヌカンに対しゆとりを入れヴォリューム、シルエットを加えていきますので、原型となるマヌカンはとても重要です。サイズはもちろんのこと、洋服のイメージも変わってきます。


1)Salon de Moulageで現在使用しているヌードマヌカン

sdm200831_アートボード 1

ウェストが細いのでサイズを大きくして使っています。
ウェスト以外は9号サイズの寸法はクリアされ、特に胸幅と背幅寸法の設定がよく考えられていると思います。


2)ストックマンのオートクチュールマヌカン

sdm200831_アートボード 1 のコピー

胸が高く背中の厚みも十分にあります。
3サイズは日本のゆとり入りマヌカンに近いのですが、これを見ると日本女性との身体サイズの違いをマヌカンで伺うことができます。
アームホール周辺、後ろ、特には前は胸が高くリアルに作られているので、日本のマヌカンより難しさがあります。
基本線でバストライン(BL)とウェストライン(WL)の丈が長く、日本のマヌカンとは全く違います。
学生だった頃、なんでフランスのお洋服は脇線が長く見えるのだろう?とずっと思っていました。バストラインとウェストラインの丈の長さの違いだったのですね。
この単純な基本寸法の違いが洋服に与えるイメージの大きさに改めて驚きました。


3)ストックマンのプレタポルテ用マヌカン

sdm200831_アートボード 1 のコピー 2

2)と同じメーカーのマヌカンなのですが、肩傾斜が全く違います。
肩パット入りのマヌカンとして使ったら、オートクチュールマヌカンより胸の高さを抑えてあります。


4)ゆとり入りマヌカン

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ヌードマヌカンで作ったトワールの着込み分量を見るときに使用しています。ネック周り、肩の厚みなどもこのマヌカンで確認しています。



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2体のトワールの比較
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1)のSalon de Moulageで使用しているヌードマヌカン(以下①)と、2)のオートクチュールマヌカンで作ったタイユール(以下②)を比較してみます。
・背幅寸法は同寸です。
・着丈はそれぞれの基本センヒップ丈より控えての着丈です。
・襟の寸法は測っていませんがラペル止まり、衿幅はほぼ同寸です。
・袖幅も袖丈、形状もほぼ同寸です。
・日本のマヌカンに来せたトワールは袖幅後ろが0.6cm狭いです。


①Salon de Moulageで使用しているヌードマヌカンにゆとりを入れて作ったタイユール

sdm200831_アートボード 1 のコピー 4

日本人サイズで小ぶりに仕上がっています。


②オートクチュールマヌカンで作ったタイユール

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①に比べ前バスト寸法が大きいため、寝かし分量が大きく必然的に前バスト寸法が大きく、当然胸幅寸法も大きく、ウェストまでの丈が長いので同じテクニックで制作してもDiorのような雰囲気のタイユールになっています。


③ストックマンのプレタマヌカンに肩パッドを外して②のタイユールを着せる

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②のマヌカンは胸が高すぎで、プレタのマヌカンに着せた方が私は好きです。


④ゆとり入りマヌカンに①のタイユールを着せる

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コロッとした感じでタイユールのシャープさが失われています。


⑤ゆとり入りマヌカンに②のタイユールを着せる

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前上半身のサイズが大きくマヌカンには合いません。
また、ヒップ寸法はサイズの問題ではなく、マヌカンの形状の問題で収まりが良くありません。ヒップ寸法を幅で出したオートクチュールマヌカン、厚みで出したゆとりマヌカンの違いでしょう。


写真ではわかりにくい部分も多いかもしれませんが、ここでは一見してわかりやすいところを紹介しました。
それぞれの特徴を把握しながら、マヌカンの選択、利用をしてみてください。

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