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コロナ禍の韓国⇔日本渡航記録1〔出発前編〕

2021年11月20日から12月8日まで、日本に「帰って」きた。
ここでは、このコロナ禍における往来で発生した特殊状況——出入国の手続きや日本での「14日待機期間」の短縮方法などについてのみ、備忘録として書き残しておこうと思う。

あくまでも個人的な体験記録であり、現在韓国在住の在日コリアンが日本に再入国/出国→韓国に入国、という結構特殊なケースなので、これを参考にする人はあまりいないとは思いますが、両国の渡航に関してはケースと時期によって違いが生じるので正規の案内等をよく調べてご参考下さい。

この時期に日本に行ってきた理由

私は日本生まれの韓国籍の在日コリアン3世で、日本での在留資格は「特別永住」だ。今は韓国に住んで7年がたつが、東京に実家があるので年に何度も行き来をしていた。
日本では2012年に制度が変わり、日本に在留資格のある外国人が、国外に出て日本に戻って来る際に必要な「再入国許可」に「みなし再入国許可」というものが導入された。日本に3カ月以上の在留資格を持つ外国人の場合1年、特別永住者の場合2年以内に日本に戻って来るなら、再入国許可を申請しなくても良い、というものになった。
これまでは、海外に出るたびに出入国管理局に出向いて死ぬほど待たされて有料の再入国許可を取らなきゃならなかったので、これをしなくてもよくなったというのはありがたいことだった。2年以上一度も日本に戻らず外国に滞在し続けるということはこれまでなかったので、いつもこの「みなし再入国」を使って行き来をしていた。
だから、2019年の年末に実家に帰り、また韓国へと発った際も、みなし再入国で日本を出国したのだ。その直後にコロナパンデミックで日韓の行き来がほぼできなくなるなんて、だれが考えようか。
その「みなし再入国」で日本に入れる期限は、私の場合、2022年1月1日だった。この日までに再入国しないと、『特別永住者の地位が失われることになりますので、注意してください』と入管の案内書に赤い文字で書かれている。
知人が問い合わせたところによると、コロナという不測の事態においても、「みなし再入国の期限の延長」は考慮されないとのことだった(これについては言いたいことは山ほどあるが)。
そんなわけで、2021年末までの間に何がなんでも一度日本に帰らねばならなかったのだ。なので、今回の日本行きの一番の目的は「入国すること」だ。

時期と期間の設定

日本に入国はできるが、問題は「期間」だった。
外国から入国する場合、日本で14日間(到着日の翌日起算で)の「自宅等での待機期間(隔離)」、韓国で14日間の「自宅隔離」を経るのが基本だったが、韓国では2021年5月以降、国内でワクチン2回接種完了者は自宅隔離が免除になった(※)。それでも、最低でも16日間ほどを考えてスケジュールを組まなければならなくなる。それほど空けるとなると仕事の調整がなかなか難しく、せめて日本での待期期間がもうちょっと短くなるとか免除になることに期待して様子を見ていた。
ようやく10月から日本での待期期間が「10日間に短縮可能」という情報が入った。もうこの辺で手を打とうと思い、10日間プラス数日のギリギリのスケジュールを組んだ。ところが、後になって「10日に短縮」はいろんなトラップがあって適用が難しいことを知る。慌ててフライトを変更し、結局、11月から12月にかけて19日間の予定を調整した。

※途中一次的に隔離免除が中断、その後また再開。ところが12月3日からオミクロン変異種のため全入国者10日間自宅隔離となった。これについては詳しくは後述する。

日本入国に必要なもの

韓国から日本へ行くにあたり、まず必要なのは、出国前72時間以内にコロナ検査をして陰性と証明された「出国前検査証明書」だ。日本所定のフォーマットで、検査方法も指定されている(抗原定性検査(簡易検査)はダメ)。

この検査証明を発行してくれる病院または検査所は限られているので、いちいち問い合わせて「日本入国に適用できる検査と証明書発行が可能か」を確認しなければならなかった。検査費と証明書発行費は病院によってまちまちで、10万~20万ウォンが相場(?)と聞いた。
ネットで調べて、近場で金額が安めのところを順に3カ所電話で問い合わせたが、「うちは日本認定の検査証明ではない」などでアウトだった。
幸い、家から近い病院で1カ所、該当する検査証明書を発行できると確認できた。検査費7万ウォン+日本のフォーマットの証明書発行3万ウォン=計11万ウォン(約1万円強)。
日本のフォーマットで発行、といっても、フォーマットは自分で印刷して病院に持参し、そこに手書きで書き込んでもらい、病院の印鑑が押されて完成というものだ。これで、ああ3万ウォン…。

出国前々日にPCR検査を受け、翌日朝、陰性証明書が発行された。
発行されたらその場で、証明書に検査を受けた日にちと「時間」がちゃんと書き込まれているかチェックしておいたほうがいい。「出国前72時間以内の検査」なので、出国時に空港のチェックインカウンターで陰性証明書が適時に出されたものか、細かく確認されるからだ。

ちなみに、韓国では現在は選別診療所でのPCR検査は無料で、私はこれまで4回ほど鼻に綿棒を突っ込まれる検査を受けたが、この病院での検査が一番、強烈に痛かった。思わず検査員を恨みそうになったが、狭いボックスの中で腕だけ外に出すという不自由なかっこうでずっと人の鼻の穴に綿棒を入れている女性の検査員さんを見ると、気の毒で何も言えなかった。

もうひとつ、必要なものはワクチン接種証明書だ。とはいえ、日本での待期期間を短縮しないならば、これは必ずしも必要ではない。
私は韓国でワクチン接種を2回終えたときに、念のため発行してもらった紙の証明書があったのでそれを携帯した。韓国では「COOV」という疾病管理庁のワクチン専用アプリがあるので、そのアプリで表示される接種証明でもOKらしい。

日本での待機期間の短縮方法

いちばん右往左往したのが、「日本での14日間の待期期間を10日に短縮」という情報に関してだった。
まず「(日本の提示する)条件を満たした有効なワクチン接種証明書を保持」し、「日本入国後10日目以降に自主的にPCR検査または抗原定量検査を受けて陰性」の証明を厚生労働省に届け出た後で認定されれば、晴れて待期期間終了、つまり「隔離解除」となる。

悩んだのは、自主的にPCR検査となると、また相当お金がかかるということだ。日本では1万5千~3万円ほどと聞いた。それに、検査結果→厚労省届出→解除認定まで1,2日はかかる。結局、14日の隔離を12日に短縮のために3万円……って。冗談じゃない。

ところがそもそも、10月初めごろの時点で、韓国のワクチン接種証明は日本では「有効ではない」(つまり認められていない)ことを遅ればせながら知った。なんでよ?!同じファイザーとモデルナじゃん!とカッカしていたが、じゃあもう短縮は対象外ということで諦めていた。
その後、10月下旬頃にようやく韓国も日本が認める接種証明発行国リストに入り、一応短縮できる条件にはなった。
あとは検査費だが、調べたところ厚労省認定の検査で郵送キットでできるものがあり、費用は2千円台だった(!)なんだそりゃ。
待機期間を短縮するかどうかは、とりあえず日本に渡ってから考えることにした。詳しくは後述する。

つづく。