[ソウル暮らしのおと]似て非なる?!韓国語と日本語の慣用句
今日は、「ことば」に関するお話。韓国語の慣用句についてです。
日本語で会話したり文章を書くとき、何気なくたくさんの慣用句をつかっていますよね。ところが、外国語として日本語を学ぶ人にとって、この慣用句というものはなかなか覚えられない「頭の痛い」ものです。この「頭が痛い」も慣用句ですね。
同じように韓国語にもたくさんの慣用句がありますが、韓国語の慣用句は日本語の慣用句と似ているか、ほぼ同じというものがとても多いのです。ところが、中にはちょっとずつ違ったり、日本語ではまったくなじみのない慣用句もあったりします。
ここでは、慣用句の中でも体に関する表現を中心に、いくつかご紹介します。
日本語とまったく同じ言葉で同じ用法の慣用句
・「頭が痛い」は、[コルチガ アップダ(골치가 아프다)]。コルチというのは頭の俗称。困りごとを抱えて悩ましいという意味、そのまま同じです。
・「耳を傾ける」=[クィルル キウリダ(귀를 기울이다)]。 クィ=耳、キウリダ=傾ける。注意深く聞くという意味。
・「胸をなでおろす」=[カスムル スロネリダ(가슴을 쓸어내리다)]。 カスム=胸、スロネリダ=なでおろす。安心するの意味。
このような慣用句は、単語さえわかれば直訳すると意味が通じるので便利ですね。ところが困るのは、次のような例です。
日本語と似ているが部分的に違う慣用句
・[パリ ノルタ(발이 넓다)]
→直訳すると「足が広い」。意味は、方々に知り合いが多いこと。日本語だと「顔が広い」というのを、韓国語では「足が広い」なんです。下手に日本語を直訳して「●●さんは顔が広いですね!」…などと言ったら、おかしな勘違いを生んでしまうかも。
・[モリルル マッテダ(머리를 맞대다)]
→「頭を突き合わせる」。頭を突き合わせてとことん話し合った、などと使います。なんとなく意味は通じますが…日本語では、突き合わせるのは「ひざ」ですね。よく間違えやすい表現です。
・[ソヌル シッタ(손을 씻다)]
→ 「手を洗う」。悪い事との関わりを断つ、という意味です。…そう、日本語では手ではなく「足を洗う」ですよね。日韓両言語で使うと、あれ、どっちが合ってるんだっけ?と混乱することも。
さらには、こちら。
日本語では聞き慣れない慣用句
・[ソニ クダ(손이 크다)]→「手が大きい」。
けちけちせず、気前がいいということです。買い物にいくと一度に大量に買ったり、料理もたっぷり作ったりする人が「나는 손이 커요(ナヌン ソニ コヨ)=私、ケチケチしないタチなんだ」と言ったりします。
・ [イビ クィエ コルリダ(입이 귀에 걸리다)]→「口が耳にかかる」?!
口が裂けること?想像するとちょっと怖いですが、じつはこれは、大きく口をあけて笑うという表現なのです。嬉しかったり、満足してにんまり笑ってる表情を指していいます。
・[イベ プッタ(입에 붙다)]→「口につく」。
これは、言い慣れる、口癖になる、という意味。「あまりに何度も言うので 입에 붙었어(イベ プトッソ)=口癖になった」、「좀처럼 입에 안 붙어(チョムチョロム イベ アンブト)=なかなか言い慣れない」などと使います。
・[ヌニ マッタ(눈이 맞다)]→「目が合う」。
言葉どおり目と目が合うことも言いますが、たいてい、ひかれあう、 恋に落ちる、という意味でつかわれます。簡単に「あの人と目が合った」などと言ってしまうと、誤解を生みかねません!
以上、ここでは主に体に関わる慣用句を取り上げてみました。覚えておくと何かに使えるかもしれません。
[KBS World Radio「土曜ステーション」2020.10.10放送]
http://world.kbs.co.kr/service/program_main.htm?lang=j&procode=one