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原作ファンが映画『違国日記』を観た感想(マイルドめ)

映画『違国日記』を観に行くにあたって、原作を最後まで読み通した。

つまり、発売日に買って読むような熱心なファンではないと理解してもらって良い。
何度も読み返したりしつつも最後の数巻は追うのをサボってしまった感じのゆるめの「好き」だと思ってもらって良い(心の中では「かなり好き」なのだが行動が伴ってないのでしょうがない)。

原作ファンが叩いている、という構図はシンプルだし、原作が一番なのだから
「「「そりゃあったりめぇよ!」」」
と思うのだが、

とりあえず「原作ファンはどこをどうしてほしかったのか」の一例をちゃんと言語化しようかなと思って書き始めてみた。


かなりピンポイントだしそんな長くありませんが、原作未読の方は2巻まで読んでからこの文章を読むことをオススメします。
あとちゃんと最後に良かった点を書くのでそちらのみ読んでも大丈夫です。


【気になった点】
私はただ「ここのセリフをカットしないで欲しかった!」の一択である。2つのシーンから抜粋。


▶︎お通夜のシーン

両親が事故で急死し、親戚一同が集まるお通夜。朝の両親は実は籍を入れておらず、皆はそれを葬式で初めて知る。
未婚を隠していた両親の噂話(悪口?)をしたり、引き取り手がまだ決まっていない朝を憐れんだりする声がそこらじゅうから聞こえる。

朝は誰の会話に混ざるわけでもなくぽつんと座り、会話を聞いているような聞いていないような様子であり、ぼんやりしている。
そんな中、槙生が朝に「愛せるかどうかわからない〜それでも良ければうちに来なさい たらい回しは無しだ」と言うシーン。

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ずっとずっと待ってしまった〜〜!!!
朝がたらいってどう書くんだっけと涙を流したあと、槙生が「あなたの母親が嫌いだから愛せないかもしれない、でも、」と伝えた後のセリフ

「あなたは
15歳の子供は

こんな醜悪な場にふさわしくない
少なくともわたしはそれを知っている

もっと美しいものを受けるに値する」

1巻 page.2より

児童文学家でもある槙生が「普通の大人」になれないジレンマと、反対に15歳の少女をこんな風に見放す大人でいるくらいなら普通なんか糞食らえだ、とでも言うような芯の強さを感じるセリフだったので、カットはとても残念だった。



▶︎卒業式のシーン

両親の事故以来、初めて中学に登校した朝。その日は中学校の卒業式であった。

友人らと昇降口で雑談をしているところに、朝の一番の親友えみりが
「朝から直接LINEで連絡を受けた事故のことをママ(えみりの母)に話したら、ママが勝手に先生に電話して、先生が学年の連絡網に回した。本当にごめんなさい」と朝に謝る。

朝はその時もう槙生と生活を始めていたので自宅の電話も取れず、学校に連絡をしていなかった。ただ、周りには普通に接して欲しかったし、もう卒業式だけだから学校に連絡する必要もないと思っていた。

職員室に呼ばれた朝は先生に「なんでみんなに伝えたんですか」と問い詰めると、
先生は「知らせておかないといつかどこかのタイミングで周囲(学年の人や親たち)が知った際、不用意な言葉を投げられて傷つくかもしれないし、あなたのためを思って」と答える。

朝は先生に「ふつうで卒業式に出たかったのに!」と怒りをぶつけ、学校を飛び出す。


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これはセリフが多かったのでカットは否めないのですが、「不用意な言動で傷つく」と朝に伝えておいて場違いな(そうはいっても今はその言葉を使うタイミングじゃねえだろ〜みたいな)セリフで朝を叱る教員の不用意さのブーメランが際立つピリッとしたシーンだと思っている。

カットとなったセリフはいくつかあり


「みんなもうあたしのことをあたしじゃなくて「親が死んだ子」ってしか思わない‼︎」

先生
「田汲さん ちょっと落ち着きなさい
職員室ですよ」

(職員室を走り去る際にゴミ箱を引っ掛けて倒していった朝に)
「田汲さん‼︎ 直していきなさい 自分がつらいからって八つ当たりは許されないですよ」

共に2巻 page.7

大人の正当性の主張はもちろんのこと、子供の子供っぽさも実はあたりまえに醜いのだということを痛みと共にぶつけている情報の多いシーンだったので、これらのセリフは残しておいて欲しかったな〜〜〜と思いました。


【まとめ・良かった点】

原作既読ですが、私自身はおおむね楽しく観られました!
(持病の悪化で退席してしまい、最後の方見られていないシーンがあります。最後まで観たらまた印象が変わるかもしれませんが、今回伝えたいことはおおむねまとまったので一旦この文章を書かせてもらっています!)

原作の槙生の狼のような孤高の雰囲気はほぼゼロと言って良いですが、
キャスティングに合わせた改変で、無理に冷たい役を演じさせることをせず「人見知り」一本で貫き、時に過度の人見知りをコメディタッチに描いたのは映画特有の良さだと感じました。

大人が友達をしているシーン(包団結成)は、醍醐のキャッチーな人物像も相まってかなり好きでした!!

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以上が今回の感想です。
久々に文章を書いたのでかなり読みづらいところもあるかと思いますが(完全に敬語に変わってしまったし)、
「なるほどこういう意見もあるんだな〜」と思っていただけたら幸いです。


結果長文になってしまいました、お読みいただきありがとうございました!

映画から入ったよという方、原作もぜひ!!楽しめると思います。

サポートは書籍代、湿布代などに充てさせていただきます!🙇‍♂️