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せいてんのへきれき

3.豚足野郎


『また逢おうね』
そう約束してエリカと別れた

1人車に乗り込み助手席のちいさな箱を見たとたん
あの豚足野郎が言った言葉を思い出して少し吐き気がした。


『私物を入れる良い箱を差し上げます。取っ手のついた使いやすい
とてもいい箱ですよ。』

『スタッフがお手伝いしますからこの部屋を出たら速やかに荷物をまとめてください。』

『あぁそれから、これより先社屋を出るまでは誰とも口を利かないように。
 "さよなら"くらいはいいですけどね』

まるで昔観たハリウッド映画の1シーンのようだった。
突然レイオフを言い渡された主人公が小さな箱を抱えて
ビルの下からオフィスを見上げるそんなシーン
そうしてどん底に落とされた主人公はそれからどうしたんだっけ?

わたしにはまだ自分の身の上に起きたことが理解できていなかった。
頭の中では理解しているつもりだがあまりに一瞬に人生が変化してしまったために脳がフリーズしていた。






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