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旅の記憶~人の温かさ~

最近とんと旅に出かける機会が減りました。
だから余計に、旅の思い出が懐かしく愛おしく。

今日は私の旅の話。そして両親の旅の話から、人の温かさやお国柄に触れた話を書いてみようと思います。

■家族と出かけたドイツへの旅にて

2年前の初夏、夫と子ども、私の母の4人でドイツを旅しました。
今思うと、よくあの時に行っておいたものだと。

独身時代は毎年のように遊びに行っていたのですが、この時は新婚旅行で出かけて以来、10年以上振りのドイツでした。

日本での日常でドイツ語を使う機会は全くなく、旅できるくらいのドイツ語を思い出したいとドイツ行きを決めてから慌てて復習。1週間だけの旅行なのに、荷物もあれやこれやと一人旅の時と比べるといろんなものを用意したので結構重くなりました。

さて、そんな準備期間もあっという間に過ぎ、いよいよドイツに向けて飛行機が出発。久しぶりの約12時間のフライト、フランクフルトの空港がだんだん近づき、濃い緑の森、オレンジの屋根、「あー、ドイツにまた来られたんだ・・・」と、一瞬嬉しさでいっぱいになりましたが一人感傷に浸っている間はなく、家族の中でドイツ語を話せるのは私だけという現実がプレッシャーとなって襲ってきました。

それでも何とか無事に入国。そして日本から予約していたホテルへ向かう電車の中、ドイツらしい?というか、ドイツに来たんだーと思えた印象深い出来事がありました。

私たちが乗った電車は、同じく空港から中央駅方面へ向かうたくさんの人たちが乗り込み結構混んでいました。私の母は足の心配もあって念のため折り畳みのステッキを持ってきていて、空港についてからそれを片手に歩いていました。

すると、私たちが乗って少しもしないうちに、幼い子どもとステッキを持って立っている母を見た周りで立っている人たちが座れ座れと言い始めたのです。混んでいて空いている席はないのに。
そして今度は座っている人に向かって、「聞こえているはずなのに席を譲らないなんて信じられないわ」みたいなことを話し出しました。ちなみに話している人たちは見知らぬ人同士、そのうち一人はよく見たら乗ってきたルフトハンザ航空のCAさんでした。

最終的に一人の若い男性が母に席を譲ってくれたのですが、まだドイツ語の感覚が戻ってきていない私は、どの人にも「Danke schön(ありがとうございます)」を言うのが精一杯(笑)

そのCAさんはその後も一人の男性とあーだこーだひとしきり話をした後、「Tschüss(じゃあね)」と言って、電車を降りて行ったのでした。

日本ではまあ出会うことのない場面ですよね。

他にもこの旅で気づいた(思い出した)ドイツならでは?のこと。
・雨が降ってもやっぱり傘を差している人は少ない。
・歩行者優先、やっぱり車は止まってくれる。これに慣れてない日本人はつい横断歩道を渡るのを躊躇。「渡って」と手で何度も合図される・・・。
・おもちゃ屋さんに入ったら、ユニコーンのぬいぐるみがいろいろ。女の子には馬はもちろん、ユニコーンも人気らしい。
レゴの馬小屋セットも女の子向けのコーナーに並んでいた。
・ちゃんとした?レストランでも食べ切れなければ持ち帰りさせてもらえる。
・ドイツのパンはやっぱりおいしい。
・スーパーにBio製品が前より多く並んでいた気がする。
・レジの人が前より親切になったように思えた。
・アイスの値段が上がっていた(他もだろうけど)。
・旅行者でカメラを持っている人はほぼいない。皆、Handyで撮っていた。

いつか母をドイツへ連れて行ってあげたい。学生時代にお世話になった向こうのお父さんお母さんにも会ってもらいたい。そんな想いが実現した楽しい旅でした。

またドイツに行ける日が早く来ることを願っています。

■両親の北海道旅行、その途中で起きた出来事

これは5年くらい前のこと。

父と母が車で北海道まで旅行に出かけた時の話です。

車で出かけると言っても、西日本の田舎から東京にいる弟のところに寄り、そこから仙台まで行き、その後、フェリーで苫小牧までという北海道までの道のり。

心配だし時々電話をするように母に伝えていたこともあり、無事に弟のところからも連絡が入り、次はフェリーに乗る時かなと話をしていました。

次にかかってきたのは、「もうちょっとで車だけ北海道に行って、私らフェリーに乗り遅れるところだったわー」という母からの電話でした。

意味がよく分からず話を聞くと、今は無事に船に乗っているとのこと。
フェリーの出発までに時間があったので、食べ物を買いに行こうとスマホで地図を見ながら港から歩いていけるショッピングモールに向かったらしいんです。

それでちゃんと食べ物を買って、さあ港に帰ろうと思ったら途中から「あれ?この道で合ってるっけ?」となったんだそう。

まあ、これは母というより父が道に迷ったということですね(笑)父は自分は方向感覚がいいと普段から思っているので、母が途中「おかしいんじゃない?」とか、いろいろ言っても多分聞かなかったはず。

暗くて雨も降る中、時間はどんどん過ぎていくし、二人でこれはいよいよまずいと思ったそうです(笑)

それでとりあえずまたショッピングセンターに引き返し、その駐車場で出会った若いご夫婦に声をかけて事情を話し、港への行き方を訪ねたんだとか。
すると、そのご夫婦は「今から歩いて戻っていたら出発の時間に間に合いませんよ。送りますから乗って下さい」と言ってくださり、父と母はその言葉に甘え乗せてもらったんだそうです。

車の中で、自分たちはどこから来たとか、北海道に行く話をしたりして、うちの両親のそんな話にも付き合ってくれたそのご夫婦。
父も母も帰ったらお礼がしたいと、名前や住所を教えてもらおうとしたらしいのですが、「自分たちはただ港まで送っただけですから。楽しい旅をしてくださいね」と言って笑顔で断られ、結局聞けず仕舞いだったということです。

父と母はその後、無事に北海道に行くことができ、楽しい旅をして帰ってきました。

あの時、父と母を港まで送ってくださったご夫婦の方に、この場を借りてお礼を言いたいです。
「あの時は父と母がお世話になりました。本当にありがとうございました」



旅の記憶。
思い出すのは食べ物や風景ももちろんそうですが、一番はやっぱり人との出会いやハプニングですね。

旅は帰ってくる場所があるから、安心して旅ができる気もします。
またゆっくり旅がしたいな。

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