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パスタの卵焼き Frittata di pasta

frittata di pasta  フリッタータ ディ パスタ { 余ったパスタで卵焼き }


夏はローマが空っぽになる。旧市街は世界中から来る観光客で一年中大賑わいだけれど、観光客が訪れることのない住宅地や、地元の人たち御用達の商店が軒を並べる界隈では、7月の半ばくらいから徐々に人がいなくなり、8月15日の聖母被昇天の祭日を境に空っぽになる。もちろん店も休暇に入る。何しろ暑いのだ。その上ほとんどの家にはエアコンがない。そんな環境では勉強も仕事も捗らないので、海か山でたっぷり自然の恵みを受けて鋭気を養い、9月からがっつり働くのだ。

夏休みの計画を何も立てていなかった私に、フェッラゴスト ( 8月15日の祭日の呼び名 )を一人で過ごすなんて良くない、とパオラは言ってくれて、彼女の運転する車で彼女の姉たちや親戚たちと一緒に私もローマを脱出した。

彼らと一緒に山と海で数日過ごしてから、勉強を理由に私だけ先に一人でローマに戻ることにした。パオラは喜んで家の鍵を渡してくれた。街が空っぽになるこの時期は、どこの家でもいちばんの悩みは泥棒なのだ。泥棒にしてみたらこんな稼ぎ時はないわけで、実際一年前の夏も、下の階の住人が泥棒の被害にあったそうだ。
インターフォンが鳴っても、絶対に建物入り口の玄関扉の開錠ボタンは押さないように、洗濯物を頻繁にテラスに干すように、と念を押されて、私は少し緊張してうなずいた。

この家の台所で自分一人のために料理をするのは初めてだった。海からの帰りのバスに乗る前に駅構内の惣菜屋で買ったパスタを少し食べて、残りを冷蔵庫にしまった。夜はこれを卵焼きにしよう。

フリッタータ ディ パスタは、残り物を無駄にしないで美味しく食べる南イタリアの家庭料理だ。パスタの種類はスパゲッティでもショートパスタでも、なんでも良い。「卵で閉じればなんでも美味しい。」と言うのは、ほぼ間違いない。ぜひお試しあれ。

frittata di pasta

材料

スパゲッティ 150gくらい
( 昨日の残りのスパゲッティ、ショートパスタ、なんでも。茹でただけの味付け前のものでも、ソースが絡んですでに味がついているものでも大丈夫です。)
卵  4個
牛乳 100ml
擦り下ろしたパルミジャーノまたはグラナパダーノ 40g
モッツァレッラ 1個 ( なくても良い )
ミントの葉  小さめのもの 5枚くらい
エクストラバージンオリーブオイル、塩コショウ適量

パスタが固まっているようならオリーブオイルを少し加えてほぐす。
ボールに卵、牛乳、擦り下ろしたチーズ、ちぎったモッツァレッラ( お好みで )、ちぎったミントの葉、塩コショウを入れて、良くかき混ぜる。
パスタを加えて、良く混ぜ合わせる。
フライパンにオリーブオイルを加え、オイルが温まったらパスタを入れる。
蓋をして弱火で10 ~15分。
蓋を取り、中身をひっくり返してから、蓋をして更に弱火で5分。
油を切るために、出来上がった卵焼きをキッチンペーパーの上に移す。

出来立ても美味しいけれど、冷めても美味しい。翌日も美味しくいただけます。

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