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Shari!

今日は吉開菜央監督の『shari』を観てきました。

この作品ずっと観たかったのですが、一般公開が終わったあとに作品の存在を知ったので、ずっと拝見できなかったんです…。

たまたま作品の予告を観て惹かれ、【これは絶対に自分の好みに合う作品だ!】と確信してからは吉開監督の『shari』についてなどのインタビュー動画を片っ端から拝見し、首を長くして本編を観れる日を今か今かと,待ち望んでおりました。

配信で観れる機会もなかったので、観たい気持ちが溢れ過ぎて、作品のスチールを携帯電話の待ち受けにしていたほどです。

そして今回、高円寺シアターバッカスにて吉開菜央監督の特集があると知り、意気揚々と足を運びました。

やはり、とてもとても好きな作品で、素晴らしく感動しました。

吉開監督はダンサーということもあり、身体への意識や、感覚的なものへのアプローチ、音や感触などのこだわりが強いのだろうというのは予告やインタビューから感じていました。
そしてさらにこの作品では監督自身が大量のあみもので作られた《赤いやつ》を被り出演し、作中での語りなどで言葉も多く使っていて、また監督や撮影した斜里の人々の《声》も表現の要素として使っている。
まさに監督の身体も想像力もすべて注ぎこまれている作品…なのですが、ここで素晴らしいのがやはり《知床・斜里―Shari―》という土地とそこに住む方々の存在と言葉。

監督のエキスが全面に出そうしまいそうな作品なのに、この土地の歴史や自然やそこに生きる人々の生活の圧倒的リアリティが監督の感性と混ざり合い、とても絶妙なバランスで混ざり合い、《フィクション×ノンフィクション》という枠に収まらないほどの素晴らしいケミストリーを生んでいました。

この作品からは、眼で見るだけでなく音から刺さる感触や匂いやも雪や風の冷たさまで感じることができました。
そして《食べる》という行為から誘発される感覚が凄かった。
鹿肉の美しさ。鹿肉を切って焼いたのを見ただけで、お腹が鳴り、食欲が湧きました。
食欲をここまで刺激する映像って本当に凄いなと思いました。
グルメ映像などで誘発される『飯テロ』の感覚ではなく、『肉を喰らいたい!』というもっと原始的な欲を刺激されたような感じでした。

作品を観て、この作品はまるで山を登るように体力を使い過酷な製作だったのだろうなと思いました。

しかし、山頂に登ってみた景色は、製作された方々にしかみれない素晴らしい景色だったんだろうな、そして過酷な創作を経たからこそ撮れたものを今、自分は観客として観ることができているんだなという感動がありました。

本当に素晴らしい作品でした。
熱のある作品。温度のある作品。

配信ではなく、小さくとも劇場のスクリーンと音響で観れて、本当に本当に良かった。

また、どこか別の劇場でも観れる時は観に行こうと思います。

吉開菜央監督特集は高円寺シアターバッカスさんで4月26日(水)18時と20時の2回。
あとは4月30日(日)13時より上映とトークショーがあるようなので、気になる方はこの機会に是非。


やっと観れた。嬉しいです。

松岡眞吾

2023年4月24日

https://www.shingo-matsuoka.com/

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