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「近い」ですべて選んできたことをわからせてくれる、『スキップとローファー』

 中三のときの担任の先生が「自分が行ってた高校はよかった、高校選びは大事」みたいなこと言ってたけどそういうのぜんぜんわからん、自分の行ってた高校がよかったか悪かったかとか考えたこと未だにない。っていう話を確か土曜日か金曜日かにまめぞうとしてた。

 日曜日からアニメ『スキップとローファー』みはじめた。とてもよい。ちょっと『氷の城壁』みたいなかんじ。いまふうで、質感温度感みたいなのがすごいリアルで。主人公が能登のさきっちょ出身っていうのもなんかいい。マンガも気になってたけどけっきょくアニメから入った。

 で、スキップとローファーみてると、自分の人生における選択のかたよりを思い知らされた。

 小学校は当然いちばん近いとこ行って(家のまんまえ)、中学校もいちばん近いとこ行って、高校もいちばん近いとこになんも考えんと行った。大学は雪がふらなそうな地域で勉強せんでも入れそうなとこに行った。その後いっぺん福井で就職して、大学院は自分の思う専門があるとこでいちばん近いとこ行った。そのあと就職は近くのてきとうなとこにした。転職も近くで(福井で)とりあえず見つけた。

 そのときそのときでいろいろ考えてはいた気もするけど、けっきょく進路みたいなのを選ぶときには「近い」でほぼ済ませてきた。

 で、そのことをほとんど何とも思ってこんかった。他の動機で選ぼうという発想がほぼなかった。

 スキップとローファーみてると思い知らされるのはそこなんやってな。
 ちゃんとしたやつはいわば色んな動機を持ってて、そのうえで選択肢をみることができてる。周りもみんな「近い」で選んでるような流れで生きてるやつらはそういうような動機をそもそも知ることがない。

 育ちみたいなのを意識したのは大学生のときやった気がする。それまでは「育ち」っていう観点でみてなかった。そういうもんが影響するってことを考えてなかった。家庭の事情みたいなもんが人間性みたいなもんに大きくかかわることぐらいは思ってたけど(それが大きい悩みのタネでもあったけど)、家とか育ちとか、そういうふうなみかたはなかった。

 あるていど大人んなると、「ああひとのこういうとこってそういうとこからでてくるんか」みたいなことを思うようになる。あってるかどうかはしらんけど。まめぞうの家に初めて行ったときとかもびっくりした。「ふつうの家」って聞いてたけど、むちゃくちゃちゃんとしてて。

 江頭ミカ、いちばん共感できるキャラやけど、ミカもバリバリそういう観点そういう動機を最初から持ってるんやってな。岩倉みつみはそのへんは天然っぽく処理されてる。うまい。

 「ああいい高校ってこういうことなんやな」と思う。知らんかった。まあ大学はちょっと思ったけど。それもたまたま学部と院と2ヶ所ちがうとこに行ったでやろけど。院やとほかのとこの話とかもいろいろ聞くのもある。

 「上」みたいなもんがある。しかるべき場所には、そこを目指してるひとたちが集まってる。「高い」ひとたちが集まってる。

 だからってじゃあ今から人生巻き戻して「上」みたいなもんを目指したいかというと・・・・めんどくさい。めんどくさいし、やっぱりやり直せるポイントってのはこの世界のにはないもんなんやってな、たぶん。それぞれの人生があるってことなんやろう結局。愚にもつかんこたえやけど。

 「めんどくさい」とか「やりたくない」とかっていう考えは偉大やと思う。表も裏も人類の大いなる遺産に触れてる。

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 金がいっぱいあったらとりあえず「せなあかん」でやってるようなことぜんぶやめたい。

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