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僕たちはデザインにどんな投資をしていけばいいのか ─noteのデザイン投資は「なんとなく」で決めている?─

これはDesignship 2022の発表資料です。当日ご覧になれない方のためにこちらで資料を公開したいと思います。

-------👇ここから発表内容👇-------


こんにちは。note株式会社 執行役員CDO(Chief Design Officer)の宇野です。

このDesignshipには以前よりご縁あって、今日は1年ぶり3回目(関連イベントを入れれば4回目)の登壇です。よろしくお願いします。

僕たちはデザインにどんな投資をしていけばいいのか

本日のお題は「デザイン投資」。近年よく耳にするようになった単語ですね。

僕のいるような事業会社に留まらず、つい先日デジタル庁がデザインシステムを発表して話題になりました。

またグッドパッチさんが「ReDesigner Design Data Book」という名前でデザイン投資の実態をレポートしてくれています。

年々デザイン投資の規模は大きくなっており、デザイナーの方であれば転職時会社を選ぶ基準にしている方もいるのではないでしょうか。

一方で何のためにやるのか、何をすればいいのか、どうやって決めればいいのか、だいぶ曖昧な領域の話でもあります。

なので、今日はそんなデザイン投資について僕が考えていること、また実例としてnoteという会社がどんな投資を行なっているかをお話します。

宇野雄 / Yu Uno note株式会社 執行役員 CDO

改めてnote株式会社の宇野です。2月に入社したばかりの新米社員。

ここ数年はいろんな事業会社でデザインの責任者をしたり、友人と週末起業をしてアプリデザインしたり、自分で会社を作ってデザイン顧問/アドバイザーをしたりしています。

デザインへの投資ってなんだ?

デザインへの投資ってなんだ?

それでは本日の本題「デザイン投資」のお話に移りましょう。


Q. デザインへの投資と聞いて何を思い浮かべますか?

皆さんは「デザインへの投資」と聞いて何を思い浮かべますか?ちょっと考えてみてください。

投資 利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること。転じて、その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと。

「投資」ちょっと硬い言葉ですよね。

ざっくり言うと利益を得る目的で、将来のために金銭や力をつぎ込むことです。

さまざまな手段があるなかで、デザインでどれだけのモノ/コトを動かすか

デザイン以外のことでもいろんな課題解決の方法はありますが、そのなかでデザインにどれだけデザインに力を入れるか。その領域に対してどれだけお金やヒトを投じるのか。


僕が考える"デザイン" 見えないものを見えるようにする 触れないものを触れるようにする 感じられないものを感じられるようにする これらを行うコト、およびそこでできあがるモノ

さて、ここで今日僕が話す「デザイン」の定義をしておきましょう。あくまでこれは正解というわけでなく、僕が今考えていることです。

これらに投資することが、今日のデザイン投資という言葉です。


投資例 noteの場合 人材 ツール 文化/社会

これはnote社で行っているデザイン投資の一例です。

例えばnoteにはCXOの深津さんとCDOの僕、デザインのプロフェッショナルとして2名が経営メンバーに入っています。ちょっと珍しいかもしれませんね。これは僕らnoteがデザインを重要な経営指標と捉え、多様な意思決定に対応するためです。経営に対してデザイン投資をしています。

また、様々なデザインツール、デザインシステムなど作られている会社さんも多いですよね。これらも社内の共通言語を増やしたり、生産性向上につながる立派な投資です。

アクセシビリティなども社会との接点を増やすための投資。

今回のDesignshipへの協賛もそういった活動の一部と言えるでしょう。


なぜデザインに投資するのか?

なぜデザインに投資するのか?

では、ここからが本題。なぜ僕らは「デザイン」に投資するのか?


デザイン投資の難しい3つの理由 1. 決して万能ではない 2. 結果が出るまで時間がかかる 3. 投資対効果が わかりにくい

デザインへの投資って難しいんですよね。なかなか踏み切れない気持ちもよくわかります。

非常に汎用性の高い技術だと思っていますが、とはいえ万能ではないです。すぐに結果が出ないものの方が多いです。その結果、投資対効果(ROI)もわかりにくい。

ブランディングなどはわかりやすい例ですね。2年〜3年、場合によっては10年以上かかることも珍しくありません。

なので、投資効果がないという決断をしなければならないこともあります。デザイン投資というのは、そんな不確実性の高いものにたいしての意思決定が必要です。

Q. じゃあなんでnoteはデザイン投資をしているの?

さて、じゃあここからはnote社とそのCDOとしての僕の話。なぜそんな不確実性の高いものに投資をするのか。


デザインには 「様々なものを動かせる力」が あると信じているから

前提として僕が「デザインってすごいんだぜ」って信じているからです。そしてそれが好きだから。0.1mm, 1pxにこだわったデザインの美しさを知っているから。さらにはそういった表層的なものだけではなく、その深層にある本質的な課題解決をデザインでできるようにしたいから。

そしてそれをnoteという会社は信じています。


デザインはデザイナーだけに
任せるには重要過ぎる


IDEOのCEOであるティム・ブラウン氏がTEDで話して有名になった台詞です。

デザインをデザイナーだけでやる時代はとっくに終わっているんですね。

※この台詞のオリジナルはデザイナーのレイモンド・ローウィ氏で、ティム・ブラウン氏がが引用したものが有名になったそうです)

デザインはデザイナーだけで
やるのはもったいない

さらにもう一つ。これは僕がオマージュして考えたもの。「重要すぎる」はそうなんですが、それ以上に「もったいない」って思うんです。

こんなに楽しくて、こんなに力強く、こんな素敵な課題解決の手法は、デザイナーだけが独り占めするよりはみんなでやった方がより良いものができると考えています。

このような考え方の延長線上にデザイン思考やデザイン経営があるのですが、それはまた別の機会に。

A. デザインをみんなのものにするため

ようやっとここでなぜnote社はデザインに投資をするのかの答え。

デザインをみんなのものにしたいからです。

note社で働く全員がデザインという武器を持つことで、より良い事業をつくり、より良い会社になれると信じているから。

なので僕にとってデザイン投資はデザイン組織やデザイナーへの投資ではありません。(もちろん結果としてそうなることはありますが)会社全体への投資であり、経営資産を増やすことにつながると考えています。


Q. じゃあどうやってデザイン投資を決めているの?

そこで疑問が生まれますよね。時間がかかり投資対効果がわかりにくいものに対しての投資の意思決定。どうやってるのか?


A. なんとなくいい感じだと思うか

はい。雰囲気です。


(もちろん色々考えますが)最後はホントに勘

はい。勘です。

こんなこと言うとCFOに怒られちゃいますね。もちろんギリギリまでいろんな判断材料は集めます。データを集めますしインタビューをしたりもします。でも最後の1ピースは経験と知識に紐づく勘。

極論ですがエビデンスを揃えることができるものは僕が意思決定する必要はありません。それに対しての投資対効果を他のものと比べれば良い。そこがわからないものに対して意思決定をするのが、経営の一角を担う僕の役割です。

もっとデザインの力を広げていくために

もっとデザインの力を広げていくために

最後に、もっとデザインの力を広げていくために僕が考えていること、noteがやっていることをお話させてください。


noteはたくさんのデザインに愛されている もっとたくさんの人にデザインを届けたい


noteというサービスはたくさんのデザインに愛してもらっています。デザインについての経験や体験知見をたくさんの方がnoteというサービス上で残してくれています。読んだことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

僕たちは創作のためのメディアプラットフォームです。こういう場を作ることでデザインの世界が活発になると考えています。

これは大きな意味でデザインコミュニティへの投資といえるでしょう。そしてその場に対してデザイナーを始めとするたくさんの方が、経験や体験を記事という形でその場へ投資してくれている。それがnoteという場所です。


「#デザイナーになったわけ」 with Designship ぜひnote書いてください


その一環で今noteではDesignshipと連携企画で、#デザイナーになったわけ with Designshipを実施しています

僕も恥ずかしながら学生時代のことを思い出して書いてみました。

いろんな業界、年齢の方が書いてくださると、これからデザイナーを目指す方を勇気づけることができたり、一緒に昔を懐かしんだり、ちょっとエモい気持ちになれること請け合いです笑

イベントのお知らせ

デザインイベントのお知らせ Lead Designer Meeting 30歳からの自分の育て方

最後にイベントのお知らせです。

今回のDesignshipでも協賛をされている、ヤフー・Visional・STORES・noteの4社で共同開催をします。

noteのイベントとしては久しぶりのオフラインイベントです。

テーマは「30歳からの自分の育て方」です。ちょっとずついろんな経験を積んで、マネジメントを始めてみたり、一方で先輩たちの背中が遠すぎて悩んでみたり、一つの節目を迎える世代ではないでしょうか。

そんな世代の皆さんをお呼びしていろんなお話をできれば嬉しいです。

皆さんにお会いできることを楽しみにしています。


ご清聴ありがとうございました。

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宇野雄 / note inc. CDO
頂いたサポートは次なるUIデザインやその記事に役立たせて頂ければと思います!