2.家宅捜査からの逮捕状
その当時、賭博の現場に出てなかった私は友人から連絡がきた。
「警察入ったらしいよ!大丈夫?」
寝ぼけながらその報告を聞いた。
急いでスタッフに連絡をしてみたが連絡は繋がらない。
その時に逮捕も時間の問題だと確信した私は、"もしもの為に"と捕まった際の留置所に持っていく物を準備した。
いつ刑事が来てもおかしくない状況で毎朝8:00を警戒してた。
スタッフ達が逮捕されてから2週間経たない頃に
"ピンポーン"
とインターホンの音で朝目が覚めた。
いわゆるおはようピンポンだ。
ある程度覚悟をしてたから家宅捜査〜逮捕状まではスムーズに進み、逮捕状を読まれそのまま警察のバンに乗り警察署へ。
容疑は賭博場開帳図利と組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律だ。
手錠は車の中でされた。
錆びた銀色のずっしりとしたよくTVで見るあれだ。
警察署に到着し、車から降りた瞬間何十人もの警察が私を待っていた。
大袈裟な気もしたが気には留めなかった。
その中で一際目立つ、体格が良く暴力団にも見える人物がいた。
今回私を担当する刑事だった。
今回の逮捕で私は全ての証拠と言い逃れできない現場でのスタッフの逮捕があったので、すでに白旗を振っていた私に対して、暴力団っぽい顔の刑事は威圧的な態度はとってこなかった。
まず警察署に着くと持ち物検査から尿検査、本人確認、指の指紋を全部とられ昼食。
昼食は冷えた少量のお弁当にお茶。
そうカツ丼なんかではない。
昼食を食べ少し落ち着いた時に「とりあえず22日間はでれない」と悟った。
覚悟はしていたから特に焦ったりすることもなかった。
その日の取り調べは本人確認や家族構成、現在の仕事やその他諸々個人情報を聞き出され、私は言える範囲は全て正直に答えた。
嘘をついたところで後々バレたら取り調べに悪影響がでてしまうから。
その日の調べは終わり、待ちに待った地獄の留置所生活が始まる。
予めスウェット上下や小説等を持って行ったので有り余る時間をうまく使うことはできそうだ。
明日からは取り調べが始まる。
先に捕まったスタッフの調書と照らせ合わせながら嘘がないかどうかの取り調べが始まるだろう。
刑事、検察はどう話をもっていき、何の罪名で起訴をするかストーリーは出来上がってるはずだ。
当時私は現場にいなかったが、賭博場開帳図利の罪になるだろうと思った。
そして暴力団に資金が流れてないかということで
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反の罪状もあった。
資金を洗浄するマネーロンダリングの名目もあった。
この罪状で争うことになるだろう。
刑事に留置課まで連れて行かれ、留置担当に引き渡された。
留置所に入った時に、まず持ち込みした物や身につけてる物を全て預けて書類にサインした。
出る時に一つ残らず返してもらうためだ。
そして決して逃げることのできない、そしてこの20日間程滞在することになる部屋に案内された。
鉄格子があり床は畳、壁はコンクリートで造られた部屋だ。
もちろん1人部屋ではなく2人部屋だ。
私は挨拶をし、部屋のルールを先にいる"先輩"に聞いた。
◯トイレは座ってすること
◯部屋の掃除(トイレ、床、)はローテンション
この2つだ。
何の問題もない。
私は頷きさっそく簡単な自己紹介をした。
私「◯◯です。賭博開帳で捕まりました。よろしくお願いします!」
と軽く元気よく挨拶した。
部屋の"先輩"は
中国人のヤンさん(罪:オーバーステイ)
流暢に日本語を話す40代の中国人だ。
彼も自己紹介をしてくれて、とりあえず人間関係の第一関門突破した。
部屋で気の合わない人やヤバい人間だったら地獄の留置所生活になるからだ。
そこから夕食を食べ終え、ヤンさんとなんやかんや話して忙しい1日を終えた。
明日は地検やら裁判所やら取り調べやらで忙しい日々が続くと思うと憂鬱になる。
とりあえず明日に備えて寝よう。
戦いは明日から始まる。
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