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短編小説

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読み物。君と僕の日々の物語。 どこからでもいけますが、古い方から順番がおすすめです。
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#図書室

『体温』

読み慣れない漢詩に、 あくびが漏れる。 班別発表の準備で、 今日の国語は、 図書室での授業となっていた。 「杜甫って誰だよ…。」 「李白じゃない方だよ。」 楽しげな様子で ノートのメモ書きを増やす クラスメイトの返事に、 なるほどと思いつつ、 何の気無しに伸びをする。 丁度、二つ隣のテーブル席から 窓際の棚に向かう、 君の姿が目にとまる。 (そこ、絶対授業と  関係ないとこだよね。) "近代"と書かれた棚の札を ちらりと見て、 僕も席を立つ。 首をさすりながら