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『コロの夢』コロの話第5話(全5話)

誰もいなくなった家を
風だけが訪ねてくる
閉まったままの雨戸が
カタカタと音を立てる

じいさんはもういない
最後に 犬よぅ……と呟いて
コロに手を伸ばし 笑った
穏やかな 優しい顏をしていた
コロの遠吠えが尾を引くように
空に吸い込まれていった

コロは家を離れた
月日が流れ 季節が巡り
そしてまた戻ってきた時
じいさんの家はもうなかった

それからもコロは生き
青い空に昇っていく夢を見た
やあ、ピョン やあ、じいさん
また会えたね

コロは笑っているようだった
コロは眠っているようだった
青い空が広がる その下で
コロは冷たくなっていた

荒神咲夜・りまの作『コロの夢』
(画像は拡大できます)

第4話を公開してから、ずいぶん日が経ちました。
コロは架空の犬です。でも今まで飼った犬とだぶってくるし、りまのがつけてくれた絵の犬を見ているうちに、前回で終わりではなく、実在する犬のように最後を看取ってやりたいと思うようになり、第5話を書きました。
悲しい終わり方になったことで否定的に捉える方もいらっしゃるかもしれません。でも、死は動物との関わりの最後として避けられないもの。共に生きたら、旅立ちを見送る責任があると僕は考えています。今はコロという犬への責任を果たせたような気持ちです。
読んで下さって、本当にありがとうございます。皆様には本当に感謝しております。

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