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詩『海へ』

一滴の水が生まれた
地中から湧き出し 山を下る
転がりながら勢いを増し
ポーンと弾んで 川に落ちた

たくさんの水の粒と一緒に
岩にぶつかり 魚に追われながら
急流になり 滝となって落ち
ごうごうと響き渡った

流れは緩やかになり
ごつごつした岩もない
岸に近づきすぎた水の粒は
淀みにはまり 止まった

日差しに吸い上げられ
空に昇って雲になる
雨となって降り
再び川に落ちた

ゆったりとした流れの先は
太陽をまぶしく照り返し
果てがないほど広がっている

一滴の水が 今
海へ

イワン・アイヴァゾフスキー『海の夕日』

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