『風の旋律』
晴れた空の下
続く石畳の通り
かつて旅人が行き交い
賑わっていた街道筋
アーケードの下
駅まで続いた商店街
閉ざされたシャッターには
昔の日付けの閉店のお知らせ
傾いた屋根 崩れた塀
落ちた瓦 破れた壁
割れた窓から荒れた庭へ
風が通り抜けていく
輝きがまばゆいほど
できる影は濃く
見える星が多いほど
夜の闇が深い
かつての賑わいが
残照のように漂う中
風が奏でる
忍び泣くような旋律
その寂寞とした旋律は
吹き通る風の思いなのか
それとも今なお残る
よすがなのだろうか
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