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詩『風の中の二人~Strangers in the wind』

とある街角
風が吹き抜け 
新緑の街路樹の葉が揺れる

日々の暮らしに追われても
捨てられなかった夢
疲れた体を起こし
一人ペンを走らせる

古いアパートの部屋で
ペン先からこぼれた物語は
現実には彼が見失った
希望に満ちていたけれど……

とある街角
緑を濃くした街路樹を
風が静かに通り抜ける

現実に翻弄されながら
失わなかった夢
色とりどりのパレットを持ち
一人キャンバスに向かう

両親と暮らす家で
絵筆から溢れた先には
彼女がこよなく愛した
光が満ちていたけれど……

どれほど文字を詰め込んでも
埋めきれない原稿を

どれほど色を重ねても
塗りつぶせないキャンバスを

満たすものを探すように
行き交う人々に混じり 歩く
通りを風が吹き抜けた ほんの一瞬 
視線が重なり すれ違ってゆく

二人が住む街
風が街路樹の葉を散らす
今は知らない同士だけど 
出会う日は すぐそこに

この詩の元になった ♪‘Strangers in the wind’ 解釈はともかく直訳すれば「風の中の他人同士」 この言葉のイメージで書きました。
 ‘We're strangers in the wind.’ という締め括りが好きなこの曲、よろしければ聴いてみて下さい。

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みんちりえ( https://min-chi.material.jp/ )

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