エッセイ「短髪の夫」


私は夫が好きだ。

夫と結婚したのにはいろんな理由があるけど、彼が短髪なことはかなり大きな要素だったといえる。


私は女性の断髪に萌えるタイプだけど、男性の短髪もたまらなく大好きだ。好みの男性に限るけど。


夫は、私が知ってる限り、いつも短髪だ。

サイドは5ミリに刈り上げ、上部はちょっと長めが定番。ソフトモヒカン?ソフトスポ刈り?正式名称は知らないけど、とにかく短髪。かっこいい。


一度だけ、彼が坊主にしてきたことがある。私的にはとっても良かったのだけど、気に入らなかったのか評判が良くなかったのか、すぐに止めてしまった。似合ってたのにな。またやってほしいな。


夫は1か月~1か月半に一度は床屋に行く。床屋は、速さ自慢のチェーン店に行くことが多いみたいだけど、その時々のタイミングによっては個人営業の理髪店に行くこともあるらしい。


夫が散髪してきた日は、興奮を抑えつつ、しかし抜かりなく、「散髪してきたの?」と聞く。

毎回同じ髪型なのだが、担当者によって仕上がりが微妙に異なるのがまた楽しい。刈り上げと長髪部分(といっても1㎝ぐらいの長さだけど)の差がくっきり出てる時や、襟足のカミソリの剃りがキレイに入っている時は、もう、うっとりしてしまう。何時間でも見つめられてしまう。しないけど。でもバレないように写真は撮る。バレるけど。


夫がご機嫌の時は、散髪屋さんでの出来事を語ってくれる。

「年取ったら髪が柔らかくなってくるって言われた~」とか

「あまり刈り上げてもらえなかった」とか

「ひげ剃りがヘタだからちょっと文句言った」とか。


私、変態だから、床屋ネタは何を聞いても楽しい。


散髪に行きたての夫の髪を撫でまわすのも最高に楽しい。

夫はここらへんの私の変態っぷりには気づいてると思う。毎回だから(笑)。私も気づかれてると察知しつつ、それでもいいからと触ってしまう。


だいたい1週間過ぎると伸びてきたことを実感する。襟足のムダ毛が伸びてくるのだ。短髪だから目立つのが早い。


そして2週間過ぎると、撫でても刈り上げ感がなくなってくる。


そして次の散髪を待ち遠しく思いながら、ちょっとザリザリ感のなくなった刈り上げを撫でるのもまたいいなと思う。


結婚して数年が経つけれど、夫が散髪してくるたび、今も私はトキメき続ける。


素敵な夫だと思う。

自分は、変態だと思う、そんな毎日。






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