ドS理容室サカキ~①エラ張りのチカコ~
※この小説は1話完結ですが、「ドS理容室サカキ~序章~」(無料)を先にお読みになると、より一層お楽しみいただけます。
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今日の客チカコは、20代後半と思しき年頃。背中を半分覆うほどのたっぷりのロングヘアをしていた。
「この日のために頑張って伸ばしたんです」と丸い瞳をことさら大きく見開いてチカコは言った。
カットクロスを巻くためにクリップで髪をまとめると、ロングヘアで隠されて分からなかった、エラの張った強情そうな輪郭が出現した。
この女、このエラのことを気にしているに違いない。
これを利用する方向でいこう・・・
私の使命は、髪フェチ女たちの恥ずかしさを最大限に引き出してやること。
それがM女たちの真の願望であるし、私の悦びでもある。
髪フェチ女たちの恥ずかしさのポイントは、各々異なる。それを短時間で見つけ出し、断髪の方向を決める。方向性が定まれば断髪は成功したも同然だ。
本日の『使命』が定まった私は、目の前に座る怯えたような表情の女の、そう遠くない将来の絵図を思い浮かべて心の中でほくそ笑んだ。
カットクロスを巻き終わりクリップを外すと、たっぷりのロングヘアがチカコの肩を覆った。長いだけではなく、毛量もかなりのものだ。これは断髪のしがいがある。
簡単にブラッシングをして、ハサミを持った。
左耳あたりの髪をクシで軽く持ち上げ、何も言わずに耳下あたりにハサミを入れた。
ジョキッ。
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